ヴぁんぷ!III (電撃文庫 な 9-14)

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  • Amazon.co.jp ・本 (424ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784840231282

作品紹介・あらすじ

2ケ月ぶりだね、日本の紳士淑女諸君!今日は少々血生臭い話をするとしよう。復讐-そう、復讐の話だ。活劇から悲劇に至るまで、様々な物語に取り入れられる王道とも言うべき要素だよ。復讐は常に新たな復讐の芽を生む。様々な物語でよくそう言われるものだが…仮に、相手の親類縁者全て、さらにはそのまた縁者をも復讐の対象とし、全てを滅ぼし尽くす覚悟だとしたら?おそらく復讐の連鎖は止まるだろうが、その者に安らぎが訪れる事は無いだろう。そんな覚悟をしてしまった者は、この世界と-己自身にこそ復讐をしたいのだろうからね。そして、吸血鬼たちの時間が始まる-。

感想・レビュー・書評

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  • 前後巻の後編。

    もしかしたら成田作品の中で一番僕の好みに合うシリーズかもしれません。

    痛快な悲喜劇こもごも。読んでてすごくワクワクします。
    デュラララが人間から離れた存在、人格を描いた著作だとすると、この吸血鬼モノはすごく人間くさい。人外というテーマが共通しているのに作品の空気が結構違います。

    余裕があるなら他の成田作品も数冊読んで、雰囲気の違いを発見するのも一興かと。

  • “「やれやれ。手前が海に飛び込みやがるからよ……途切れた匂いを見つけるのには苦労したぜ」
    溜め息混じりに呟いたのは——青く染まった頭髪を夜風に靡かせる、鋼のような牙と爪を持ち合わせた人狼の一人だった。
    人狼の一族は、吸血鬼と違って『食鬼人<イーター>』の気配感知に引っかからない。風の音と共に大鎧の背後に忍び寄り、そのまま鎧の頭部に足刀を食い込ませたのだ。
    大鎧が側にあった木に叩きつけられるのと同時に、山道の闇から無数の人影が現われる。
    三人ほどの若い人狼が大鎧を取り囲み——
    闇の中に——ヴァル達の見知った少女が立っていた。
    いつも通りの黒いドレスを纏っているが、何故かその服はあちらこちらがボロボロで、何か相当な事が彼女の身に起こったであろう事を想像させる。
    ヴァルは一瞬、それがいつもの少女だと気付く事ができなかった。彼女を取り巻く雰囲気が、あまりにも今までと違っていたからだ。先刻博士に抱いた物よりも、更に深い違和感が感じられる。
    顔も、瞳の色も、髪の長さも。
    全ては昨日までと変わらない筈なのに——
    ただ、彼女の口から紡ぎ出される声だけが、異常なまでに冷たくて。
    「自害するのでも……この島から逃げ出すのでも、どちらでも構いません」
    ゆっくりと歩を進める少女に、ヴァルは完全に恐怖を感じていた。少女の足音の一つ一つが、死刑を宣告する裁判官の木槌の音のように耳朶を打つ。
    スイカの少年を理由のわからない恐怖に陥れたまま、黒ドレスの少女は淡々と言葉を紡ぐ。
    フェレット・フォン・バルシュタインは、静かなる殺意を、目の前の大鎧に叩きつけた。
    「私の見る事ができる全ての世界から——今すぐに、消え去りなさい」”[P.293]

    後編。
    吸血鬼達が博士に加勢する辺りからの展開が好き。
    ミヒャエルがもっと好きになる。
    少女と死刑執行人の話……悲しい……。
    ルーディの物語がハッピーエンドになるって信じてみる。

    “しかし、声と力は確実にこの場所に存在している。
    子爵は最初はとまどったが、ヴァルの姿が『見えない』のではなく『気付けない』のだと悟り——子爵は体中を震わせて、一人の吸血鬼の誕生にその胸を躍らせた。
    【君は——君は——】
    子爵が次に紡ぎ出した言葉を見て——洞窟内の誰もがその目を見開いた。
    【君は——この島と同化したのだな!君の第二の、いや……第一の故郷である、我らがグローワースのこの大地と!スイカという卵の殻を打ち破り、君は今、この島の守護神と化したのだ!】

    後半に行くに従って大げさになっていくが、ともあれ子爵の手によって洞窟内に驚愕の言葉が告げられた。
    そして、その直後——洞窟内に、申し訳なさそうな声が響き渡る。

    「あの……その……どうやら、そう……みたいです。で、でも!守護神って……恥ずかしいんで……やめて下さい」
    姿の見えないその声は——なんとも頼りなさげだったが——ヴァルという存在が失われなかった事に、彼が生きていた事に、レリック達は心の底から安堵した。
    それに続き……『声』はさらに申し訳なさそうな声になって、洞窟内の全ての人間に一つの疑問を問いかける。
    「この人達……どうしましょう?」”[P.342]

  • 図書館で借りました

    1~3まとめてレビュー。

     吸血鬼物。コメディ&シリアス。
     主人公の子爵。(っていうか語り部?)吸血鬼なのに、太陽浴びないと死にそうになります。
     舞台はとある島。時系列はおそらく、現代。テレビレポーターがこんな島の祭りにまで登場し、インターネットのオンラインゲームが普及して、子爵の趣味はネットサーフィン(なんだかな)。
     特殊な島で、老人たちは吸血鬼の存在を受け入れて、夜の支配者である子爵に敬意を持ってます。子爵を慕って吸血鬼たち(以外の化け物も多々棲んでるようだが)もこの島に多い。
     ここで繰り広げられる、復讐、逆恨み、恋愛、策謀等々のはちゃめちゃ劇。
     島の昼の支配者はダンピール(人間と吸血鬼のハーフ)。彼の両親は仲が良すぎて、子供をほったらかして二人の世界~を繰り広げ、結果息子が捻じ曲がったらしい。(子爵談)。小物と評され、当人も理解している割に、非常に上手く立ち回り、かなりの策略家。彼は軍師・策略家として、ぴか一。
     最強の吸血鬼、レリック。(子爵の養子)。
     レリックを愛する人間のヒルダ。
     吸血鬼の常識を完全に無視した子爵。

     でも、この島の中で、最強なのは、多分。
     ヒルダの兄ミヒャエル。人間なのに、打たれ強い。精神的に、肉体的に、およそ最強。きわめつけが、お日様の笑顔。瑣末を気にしない、大らかさ。
     レリックの妹、フェレットを熱愛し、むげにされてもめげず、化け物たちからもその大らかさから「大事な友達」認定され。島の中でたぶん、一番愛されている子。

     どたばた劇です。 

  • 表紙がすごく戦隊ものっぽいと今気がついた!

  • ブリジストン好きだなー。
    藍色さんも好きだが。

  • 2010/8

  • 吸血鬼シリーズ3冊目は前巻の続き。面白かった。にしても閑音さんの強さがいまいち根拠ない気がする・・・。市長さんと同じく小物のにおいがするのは気のせいか。成り上がってくとこも似てる。つかカジミールの人望のなさっていっそ気持ちいいな。冒頭のやりとり好き。哀れすぎる。でもどこまでも自業自得。子爵様がご健勝で嬉しい限り。「掴みどころのない人よ」て。・・・うんまあ確かにね。この人らのオンラインRPGてどんなやりとりがあるんだろう凄く見てみたい。ギャルドさんとか、西尾維新を連想させるキャラだよなぁ。登場人物が増えてきて収拾が。
    シリアスな面でも中々読ませてくれた。博士と教授。テオとルーディ。ヴァルとセリム。でもやっぱちょっと人が多すぎて散文になりがちか。あまり深くはない。ミヒャエルの負傷に怒ったヴァルと道化娘の場面が何か好き。あんなストーカーだけど皆さんに愛されている。怪我深刻そうで、心配。でも一度霧になって再構成されたら治るんじゃね?とか思ったり。どうなのレリック。

  • 後編です。
    死刑台のシーンが切ない…。

  • ヴぁんぷ!の第3弾です。
    もうこの巻は新キャラが出てきすぎてパニクりましたw
    もうミヒャエルが切なすぎて…フェレットが今後どう変わっていくのかが楽しみです♪
    最後の最後に色々どんでん返しがあってすごかったです。
    そして幻橙機のお姉さまがツボすぎました…。
    「組織」についてもきっと今後描かれていくのだろうなぁと思い、ますます楽しみ♪
    色々と追わなければならない要素が多くて大変ですが、それが成田作品の楽しみだとも思います。
    4弾にも期待!!

  • スイカ吸血鬼くんとルーディの復讐劇の結末編。なんかキャラいっぱい出てきてたので、ちょいごちゃごちゃしちゃいましたね・・・。でもテオの罪が許されるわけではないと思うのですが・・・。スイカとセリムの話はちょっと感動的。でも1巻が一番おもしろかったな・・・。

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著者プロフィール

東京都生まれ埼玉出身の小説家。『デュラララ!!』『バッカーノ!』『Fate/strange Fake』(すべて電撃文庫)などを執筆。小説以外にも『デッドマウント・デスプレイ』(スクウェア・エニックス)などの漫画原作のほか、ゲームシナリオやドラマ原作など多種多様な作品を手掛ける。

「2023年 『シャークロアシリーズ 炬島のパンドラシャーク〈下〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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