熱く生きる

著者 :
  • セブン&アイ出版
3.85
  • (37)
  • (56)
  • (41)
  • (7)
  • (1)
本棚登録 : 500
感想 : 63
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784860086275

作品紹介・あらすじ

日大医学部を卒業後、どこの医局にも属さずに、ひたすら腕を磨いてきた心臓外科医が、2012年2月、天皇陛下の心臓バイパス手術を執刀した。偏差値50もなかった三浪の時代を経て、あえて厳しい道を歩んだプロフェッショナルの「思いと情熱の磨き方」「人生の切り拓き方」-。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 発売当初に購入し、途中で積み読のまま、本棚にあった本。
    8年ぶりに手に取り、途中から読みだした。

    素晴らしいプロフェッショナルな先生で、執刀してもらえる患者さんは幸せなのだろうと思う。
    仕事に対する熱い想いや向き合い方には敬服する。

    ただひとつ気になったのは、家族との向き合い方。この年代の方は、家庭のことは奥さんに丸投げ、自分は仕事だけに全力投球。それでは現代ではやっていけないと思う。家庭も仕事も両立できる姿を見せないと、外科医を目指す若者は増えていかないのでは?と老婆心ながらに思った。

    自分が歳とったせいなのか、8年前と今の感じ方の温度差に自分がびっくり。
    本を読むタイミングにも旬があるのか?
    自分が少しは変わったのかなー?

  • 熱い気持ちが伝わってくる。

  • 自己啓発本とビジネス書の間。
    タイトルのとおり熱く生きる。
    目の前の患者に全力で、できることを全てやる。
    どの分野でも、僕のフィールドでもそれは変わらないはず。
    目の前に全力になれれば、飽きるはずはない。ゴールはないんだから。
    ありがとう。

  • 道を見失ったときにもう一度読みたい。

  • モラトリアムの期間を「ネジを巻いている時間」と表現されているのが印象深かった。天野先生が言うから説得力が出るのかも。

    以下はメモ

    p.53
    厳しい局面では、取るべき行動も、あるべき姿も方向性を変えるぎりぎりの分水嶺も、最終的には自分でつかみ取らない限り、確実な前進はない。

    p.145
    そして、手術の具体的な説明に加え、手術のリスクもきちんと話す。再手術の場合なら、4つくらいのパターンで説明する。
    ①「前の手術の手術水準と今の水準」
    ②「前の手術で、結果的に問題点として残ったこと」
    ③「事前の診断でわからなかったことが起きる可能性」
    ④「事前の診断どおりだったが、手術中に、予測しえなかったことの起きる可能性」
    そして、事前の診察からの手術の予測と、収束のパターンを説明する。

    p.146
    患者さんたちは、手術の向こうに「死」というケースがあることも想像のなかにはある。が、あえてそれを考えないようにし向けている。外科医はその扉が決して開くことのないよう、努力している姿勢を伝えなければならないのだ。

    p.152
    医療に限らず、自分で選んだ仕事をしていて自分の行っていることに「飽きる」という感覚があるとしたら、中途半端に妥協していることにほかならない。それは「このぐらいでいいだろう」という甘えにもつながっているからだ。

  • ドラマに出てくるような熱血医師とはまさにこのんな人のことを言うのだろう。こんな人が自分の主治医なら信頼して命を預けられるのだと思う。自分も日頃から医師と接する機会が多い中でなんでこんな人が医師をやっているのだろうと思うことは多々ある。医師も人間だから仕方ないと思う反面、誰でも出来るわけではない崇高な仕事だということを自覚すべきである。
    これだけ情熱を持って患者と向き合う医師がいるのだから使命感を持って働くべきである。
    著者のように自分も人の人生を左右する仕事に就いているので妥協を許さず自己研鑽を積み上げていきたい。

  • ●心臓外科医として、これまでに6500例を超える手術を行ってきた。1年間の手術は500例以上ある。
    ●「医療の恩恵を受けていて医師になろうと言う思いがある」「自分の後先を考えることなく、患者さんを治療しようと言う情熱がある」
    ●能力があるのに、働かない連中は許せない。偏差値の高い大学を出ている人たちが「知らない」と言うのは怠慢以外の何物でもない。
    ●敗北をプラスに変える力。それは自分と向き合う時間だ。6500例、死亡率2%130回くらい。
    ●仮想情報をもとに3Dプリンターで手術部位の臓器切って模型を作って、ダヴィンチで手術のシミュレーションをしてから実際の手術に入ると言うことがいずれ可能になると言う。

  • 著者の医師道は一貫しているし、素晴らしい人格者だと思う。犠牲にしてきたものも多いが、それだけ外科医としての自覚が本のでさえ伝わってくる。

  • 順天堂大学心臓外科医 天野篤氏による、医療への思いを綴った本。日大医学部出身でエリートではない道を歩んで心臓外科の第一人者まで上り詰めた人物だけあって、言葉のひとつひとつに重みが感じられる。心臓外科手術の経験からくる自信であろうが、妥協を許さぬその姿に感銘を受けた。
    「20代後半の研修医になったばかりの頃から、私は月曜から金曜までを勤務先の病院で寝泊まりする生活を続けてきた」p10
    「熱い思いで一生懸命になることが大切なのは、何も医師の世界だけのことではない。会社であれ、お役所であれ、お店であろうが、その存在と仕事が、世のため人のためになってこそ価値がある」p14
    「手術中、予期しない事態にぶつかるとパニックになる医師。手術をしても結果を出せない医師。安全性の確立していないひとりよがりな手術を繰り返し、患者さんを傷つけている医師。こういう医師は今すぐに医師免許を国に返すべきだと感ずる」p17
    「(優秀な医師には)「よく学び、よく遊び」は許されない。医学生は「よく学び、よく学び」しかないと覚悟せねばならない」p23
    「患者さんの回復状態が芳しくない場合、その原因が、手術中の場面としてはっきりと目に入ってくる。手術中にほんの一瞬、数秒かもしれないが「思い迷った理由はこの状態だったのか」と思い知らされるケースが今でもある。私は外科医だから、そう気がつけば意を決して再手術を行い、全力であるべき状態に戻す行動をとる」p38
    「温存しとこうとか、あとで使おうというのはダメで、今持っている力は早く使い切った方がいい」p64
    「(失敗した部下について)いちばんやってはいけないことをやった部下を育てなければいけない。彼をとにかく一人前にすれば、そのあとの道も開ける」p109
    「手術が複数ある日は、朝食を軽くとって、昼食は缶コーヒーとスナック菓子で済ます。そして、夕食は集中治療室の隣の大部屋で弁当を食べる日がほとんど」p117
    「教授である私が病院に寝泊まりしているからといって、そのやり方をスタッフに求めてはいけない。順天堂の心臓外科教授としての私の収入はほかのどの医局員よりも多い。この点に関してはつね日頃から「収入が多い者は、誰より働かなければならない」という持論を持っている」p119
    「性格の悪い人間はダメだ。実際にそうでなくても、そう指摘されているのもダメ。人間的な信頼がきわめて大事になる」p136
    「不成功体験が成功体験に変わったときに、精神はより一段と強くなり、人間は大きく成長する。誰しも一朝一夕に今があるのではない」p156
    「普通の人と同じことをやっていたのではダメだ。普段からアンテナを張りめぐらせておいて、人より一歩先に行動を起こす」p169
    「出る杭は打たれるが、出過ぎた杭は打たれない」p170
    「取材を受けたり、テレビに出演させていただいたりするたびに感心するのが、テレビの制作現場で働く人たちは、どんな若者でもあいさつの習慣が日常的にあることだ。ところが、テレビの業界でできていることが、大学病院ではできていない。テレビの現場ではADが大きな声であいさつすると、初めて来た場所であってもリラックスできるし、打ち合わせでも話しやすくなる気がする。やはり、新人が慣れない環境でもうまくやっていく秘訣は「あいさつ」にある、と私は思っている」p216
    「(将来を嘱望された医師)が帰国し、海外で習得したり経験したすばらしい点をアピールしたとしても、日本の医療界には受入れる懐の深さがない。ここでも組織の論理や、医局制度などの「悪しき伝統」の上にあぐらをかいている」p224
    「(病院内の軋轢)「三歩進んで二歩下がる」という日々だった。ときには、引くことも技のうち。逃げつつ、勝ちを狙うために「死んだふり」をしてまた前進する。そして機を見て「倍返し」するのだ」p229
    「若い世代には「脇目もふらずにまずやってみろ!」と言いたい」p234
    「医者の世界、研究者の世界は概してひとりよがりだ。よその世界とのネットワークを持ちたがらない人も多い。見識を広めるためには、何よりも外の世界の人たちとの交流が必要だ。それは必ず自分に戻ってくる。外科医として、こういう時間をつくることは、自分という存在を真摯に見つめ、見直すことにつながるのである」p236
    「私は武士道を次のように理解している。「他の人々と共存し、支え合って自分の位置を築いている。だが、ひとたび、“いざ鎌倉”となれば、武士は身を投げうっても、人々のために尽くさねばならない」これは医師の道も同じである」p239

全63件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

天野 篤(あまの あつし)
心臓血管外科医。順天堂大学医学部教授。
1955年、埼玉県蓮田市に生まれる。
1983年、日本大学医学部卒業後、医師国家試験合格。関東逓信病院(現・NTТ東日本関東病院。東京都品川区)で臨床研修医ののち、亀田総合病院(千葉県鴨川市)研修医となる。1989年、同心臓血管外科医長を経て、1991年、新東京病院(千葉県松戸市)心臓血管外科科長、1994年、同部長。1997年、新東京病院での年間手術症例数が493例となり、冠動脈バイパス手術の症例数で日本一となる。2001年4月、昭和大学横浜市北部病院循環器センター長・教授。
2002年7月、順天堂大学医学部心臓血管外科教授に就任。
2012年2月、東京大学医学部附属病院で行われた上皇陛下(当時の天皇陛下)の心臓手術(冠動脈バイパス手術)を執刀。
2016年4月より2018年3月まで、順天堂大学医学部附属順天堂医院院長。
心臓を動かした状態で行う「オフポンプ術」の第一人者で、これまでに執刀した手術は9000例に迫り、成功率は99.5%以上。



「2020年 『若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

天野篤の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×