構造デザイン講義

著者 :
  • 王国社
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感想 : 36
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  • Amazon.co.jp ・本 (235ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784860730406

感想・レビュー・書評

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  • この本に出合えたことが幸せ。
    心の底から感動。東京大学の教授である内藤廣氏が書いた著書。深い。構造から見た建築の可能性を歴史を踏まえながら構成材料ごとに見つめる。建築を専門としている人、デザインをしている人に必読だと感じる。

    海の博物館の展示等では、蛇の骨のような構造体を用いている。

    シドニーのオペラハウスの形態は、構造解析するとき、初めはどうやればよいかわからなかったが、昼食時にオレンジ球面を切りながら、構造解析のインスピレーションを得た。球体の一部と考えれば、構造解析ができる、と。

    ガウディ曰く、「オリジナリティとはオリジンに帰ることだ」。

    世界貿易センタービルは、外側の外壁で曲げに対する力を負担し、中心部で鉛直力を負担している。チューブ構造だと思っていたので、少し勘違いしていた。

    「ヒルティ鋲」、ウチの先生がやっているものが出てきてとても親近感があった。内藤氏によると、納まりが美しくないとのこと。

    何年か前の土木のコンクリートのスランプ値は、3~5センチだったことを知る。スランプ値は18センチくらいが当たり前かと思っていたが、全然違った。3~5センチだとどれくらい硬くなるんだろう。

    コンクリートを打設しているときに小雨が降ってきたらどうするか?こういう事態に対して明確に物事を考えられることができる人間こそエンジニアと言える。

    「メガノソーティプティブ変形」。木材は湿度変動を伴いながら応力がかかり続けると、硬質ゴムのように軟らかくなる。この性質。

    構造的に奇抜な建築には、何のために、誰のため、にという精神が欠如している。新しい構造において、本当の意味での建築的な価値とは、「技術と芸術が結び合ったその時代の精神の現れ」のこと。

  • 東京大学で行われた講義を活字化したもの。
    ですので、読みやすく、分かりやすいです。
    得た知識は多くあるにしても、その内容は、
    構造の学生の僕としては、少し物足りない気もしました。

    しかし、内藤廣という「建築家」が
    どのように構造を考えているか、
    また、エンジニアはどうあるべきか。。。

    物質についての基本的な知識に加え、
    様々な考え方を学ぶことができると思います。
    読んで損はありません。

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著者プロフィール

1950年神奈川県横浜市生まれ。建築家。1974年、早稲田大学理工学部建築学科卒業。同大学院理工学研究科にて吉阪隆正に師事。修士課程修了後、フェルナンド・イゲーラス建築設計事務所、菊竹清訓建築設計事務所を経て1981年、内藤廣建築設計事務所設立。2001年、東京大学大学院工学系研究科社会基盤学助教授、2002-11年、同大学教授、2007-09年、グッドデザイン賞審査委員長、2010-11年、東京大学副学長。2011年、東京大学名誉教授。建築作品に海の博物館(日本建築学会賞、吉田五十八賞、芸術選奨文部大臣新人賞)、安曇野ちひろ美術館、牧野富太郎記念館(村野藤吾賞、毎日芸術賞)、倫理研究所 富士高原研修所、島根県芸術文化センター、虎屋京都店、静岡県草薙総合運動場体育館、富山県美術館、高田松原津波復興祈念公園 国営追悼・祈念施設(芸術選奨文部科学大臣賞)、東京メトロ銀座線渋谷駅など。著書『素形の建築』『構造デザイン講義』『環境デザイン講義』『内藤廣と若者たち』『内藤廣の頭と手』『形態デザイン講義』『内藤廣の建築1』『内藤廣の建築2』『内藤廣設計図面集』『空間のちから』ほか。

「2021年 『建築の難問 新しい凡庸さのために』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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