船に乗れ! (3)

著者 :
  • ジャイブ
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  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784861767357

感想・レビュー・書評

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  • 主人公、津島サトルの高校時代を振り返る回顧録、という体裁で物語が進行する全三巻ものの第三巻。
    二巻目以降、ページを捲るたびに胸がチクチク痛みました。
    しかし、読了後感じたのはこれは再生と希望のお話だといくことです。

    ただ甘酸っぱいだけの青春小説は数多ありますが、しかしそのどの作品にもない深淵さを感じました。

    この作品は数十年先もずっと読み継がれていって欲しいと願います。
    その意味でこの作品は傑作だと思います。

  • 三巻まとめての総評。

    一巻の時、音楽に突っ走る彼らの疾走感が気持ちよく、爽快で、文章の書き方が過去形なのが鬱陶しく、現在形の方がいいのにと思っていたら。
    読み進めるうちに、物語に影が見え、暗雲が立ち込め始め、
    最後には、どうして、回顧録の形で書かれているのか納得がいった。
    主人公が努力を続けて昇りつめていくだけが、青春小説じゃない。
    落ちて転んで、やがては平凡な日常に呑みこまれていくのも、一つの軌跡なのだ。

    まあようするに、超面白かった訳です。

  • 音楽の描写が良かった

  • 第二巻で暗くなったのでどうしようかと思ったが、結局三巻は一気に読んだ。きれいにまとめたなあ、という印象。違った展開を期待していたのだが…

  • 2010年本屋大賞7位。クラッシックもの。かつ、哲学もの。主人公の津島サトルが三流音楽高校での3年間を、大人になってから振り返って語っているというてい。自分で何度も言ってるとおり、津島サトルがかなり生意気な男の子で。倫理の先生はほんとにすばらしい。金窪先生。2巻の最後でサトルが金窪先生を追放するのはほんとに辛い。思春期の子どもは本当に残酷。サトルの生意気さがことあるごとに鼻につくけど、要所要所ですごく泣ける。3巻で南がバイオリンのソロをひくところ。サトルがそれが最初で最後であるということに気づいたところ。しかし、あんなに野心を持っていた南が、ちょっとしたアバンチュール?で子どもを授かり、高校中退して結婚するなんて。子どもを恨まないよう、必死で結婚相手を好きだと言い続けたなんて。哲学者の言葉の部分とか、何度も読むことでいろんなことに気づくような気がする。しかし、あまりに思春期感が強くて、ちょっと読みたくない気もする・・・

  • ラスト3巻。主人公達もついに音楽高校を卒業する3年生になりました。2巻までに起こった事件の「その後」がきちんと語られるので、読後、スッキリとした爽快感があります。見事な完結だと思います。「クラシックに興味のない人でも楽しめる」と本の帯に書いてありますが、そうは言ってもやはり知っていた方がもっと楽しめるのだろうと思いました。知らない曲や主人公お気に入りのCD(カラヤン指揮の○○…といった風に)がたくさん出てきたので、覚えておいていつか聴いてみたいです。この作品は流行では終わらず、この先も多くの人達に読まれ続けていくと思います。

  • 高3のⅢ。独奏から合奏協奏曲へ。ラストは好みだとは思う。

  • 3冊を読んでどしっとおさまった感じですね。

    正直長編の1冊にまとめれたのではないかとおもうようなかんじもします。

    でもないようとしては実に現実味のある最後だったなぁ。

    特にハッピーエンドということもなく現実でいくつもこんな境遇にあうひとはいるんだろうなとも思えた。

    でも先生と仲直りできてよかったと思う。

  • 読み始めたら止まらなくて、
    夜3時まで一気に読んでしまった。

    高校生のオーケストラという
    多くの不完全さを含んだ演奏
    の描き方がすばらしい。
    いきいきと目に浮かぶ。

    音楽以外でも、
    青春時代の
    楽しいことや悲しいこと、
    眩しくもあり、恥ずかしくもあり、
    そして若さがもつ残酷な面も。

    静かに、でも強く胸をゆさぶられた作品。
    読後の余韻も長く続いた。

    内容は似てないと思うけど、
    読後の感動から
    宮本輝の「青が散る」
    を思い出した。

  • 図書館にて。
    ついにラストまで読み終えた。
    1巻で明るく始まったこの物語がこういうラストを迎えるとは。
    彼らと一緒に、メロディが聞こえてくるようなオーケストラの描写に酔っていたかった。
    ところどころ出てくる哲学的な部分にも惹かれたが、結局そちらが本筋だったような気がする。
    しかしながら、最終的には彼は悪い女にかかわったばっかりに身を滅ぼしたということな気がする。
    かわいそう、もったいないなと言うのが大きな感想。

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著者プロフィール

1963年、東京都生まれ。2003年、『アンダンテ・モッツァレラ・チーズ』(小学館)でデビュー。2014年、『世界でいちばん美しい』(小学館)で織田作之助賞を受賞。主な作品に『おがたQ、という女』(小学館)、『下北沢』(リトルモア/ポプラ文庫)、『いつか棺桶はやってくる』(小学館)、『船に乗れ!』(ジャイブ/ポプラ文庫)、『我が異邦』(新潮社)、『燃えよ、あんず』(小学館)など多数。エッセイ集に『小説は君のためにある』(ちくまプリマ―新書)など。

「2021年 『睦家四姉妹図』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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