- Amazon.co.jp ・本 (306ページ)
- / ISBN・EAN: 9784861824296
感想・レビュー・書評
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人類が常に危機を克服して来たと考える人は、かつて危機を克服できなかったローマ帝国やマヤ文明のことを忘れている。解決できない危機は存在するのだ。物質的繁栄は飢餓を克服し、平均寿命を延ばしたが、経済発展により暴力強化につながった。そしてその暴力はサイバー・ワールドという新たな境地に到達した。いま我々の文明は危機にさらされている。
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170326読了
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この本 私のレベルでわかりやすく書かれています。いつか買いたい本です 枝廣淳子さんの推薦の本でも、あります
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古代ローマでの進歩は行政・政治・法律・軍組織の分野だった。技術は建築・橋梁・道路・水路に向けられ、農村部には向けられなかった。中世ヨーロッパでは、鉄製のシャベルや犂などの農具が増え、馬の首輪や水車が普及して農業の生産性が向上した。12〜13世紀に紙、印刷機、望遠鏡、楽器、ゴシック建築や振り子時計などが発明された。14世紀のペストの大流行による人口減少により、農民たちは強欲な領主のもとを離れることができる自由の身となり、封建制度が衰退した。16世紀半ばから17世紀半ばにかけて、宗教戦争が多発して大量の血が流れた。そのため、市民たちは武器を持つことを禁じされ、王の憲兵隊や裁きによって平安を保とうとする動きや暴力を区別する作業が進み、17世紀の中頃から殺人件数は減少していった(ミュッシャンブレ「暴力の歴史」)。人口が増えても耕作地の面積を拡大することは困難だが、機械の数を増やすことはできるため、工業社会では一人当たりの所得は安定的になった(収穫逓減の法則を覆した)。
コンドラチェフは、戦争が経済成長期に多発し、不況期には平和であることが多いことを発見した。ガストン・アンベールは、戦争が経済成長の末期に始まることを示した。戦争の経済的動機は、景気後退期の方が多い。
インドは独立後も、ほぼあらゆる生産過程において当局の認可が求められたため、経済成長は妨げられた。アメリカ大陸において、入植者が少数派であり続けた国家では、先住民の権利を無視して搾取したため、安全保障や所有権を約束する近代国家が設立されなかった。先住民を撲滅した国家では、移民を促すために、イギリスから社会制度を輸入して近代国家を樹立した。富を生産して経済成長するためには、資本、人材(教育、衛生)、効率的な社会制度(市場、司法)が必要になる。このうち、人材と社会制度は国家が生み出すものであり、最貧国にはこれらが欠如している。
1970年代の石油ショックによってインフレと不況が同時進行するスタグフレーションに陥った。政府は消費刺激策を打ち出したが、失業を減らすことなく物価の上昇を加速させてしまった。この失敗の結果、ケインズの理論が後退してシカゴ学派やマネタリストの理論が採用され、1980年代の経済の新自由主義が誕生した。 -
なんら一貫した見方を提示するわけでもなく、ただだらだらと無意味な文字の羅列をつづっただけ。読む価値なし。
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人口増加と、それを知識を拡げることで乗り切ってきた人類。新自由主義革命とグローバル金融システムから生み出される金融危機、ニューエコノミーとサイバーワールドといった新たな文化、知識を拡げることで乗り切れると信じたい。
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今までに断片的に読んできた幾つかの歴史に関する本の内容を、一つの流れにまとめ上げる手助けになるとともに、これから何を学んで行きたいかを考えさせられる良書。
うん、購入して持っておきたい本です。 -
こんなに邦題が長いのは、多分出版社の意向だろう。原題「悪徳の栄えー(不安になる)経済学入門」では本の中味が分かりにくいのでこうしたと思います。
人にもよるでしょうが、全般的に文明の盛衰に興味のある人間からすると、既に知っていることも多く、特に本書の中で新しい理論に出会うことはありません。
本のオビでは「ヨーロッパでジャレド・ダイアモンドの『銃・病原菌・鉄』を超えるベストセラー」との謳い文句だが、私からすると、まあ話半分かなという印象。
とはいえ、初めてこのような類いの本を読む人には、特に前半の西欧社会の部分において、なるほどと思う内容も多いので一読の価値はあると思います。 -
起こっていることは非連続だけど、歴史は連続的。だって起こしているのが人間で、人間の本質はそんなに変わってないから。新石器時代から21世紀社会まで一気に駆け上がるシムシティ的大局観で経済的成長を考えさせてくれます。それはまさにノーベル化学賞を受賞したクルッツェン曰く、の自然が支配する世界から、人類の支配する世界への移行です。プロメーテウスとエピメーテウス、そしてパンドラのエピソードが印象的です。パンドラの持つ生殖能力と貪欲さを抱えている我々はどこに向かうのか?行動してからではないと理解出来ない我々は地球文明という一つの塊になってしまったことで後戻りのできに時代にどう行動するのか?著者がこの地球文明を仕切っているアメリカに対して距離をとっているフランスの経済学者であることが論旨を豊かにしているような気がします。