無頼化する女たち (新書y 228)

著者 :
  • 洋泉社
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  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784862484383

感想・レビュー・書評

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  • 社会

  • 興味深い本でした。女性でも言ってしまいがちな言葉の端々に、色々なものが潜んでいるのだな、と感じました。

  • 課題図書

  • 何故ニッポンの女子はかくも荒野を目指すのか。いや目指さざるを得ないのか。結婚・出産といった世間で言うところの「普通の幸せ」にかけるコストが高騰する「幸せのインフレ」により、負け犬におひとりさま、カツマーに絵に描いた餅のワークライフバランスとまあ、独身でいるのも子供を産み育てるのも、とかく女子とは闘わなければならない生き物であることよ。
    無頼と化すしかないのだ道は。

  • 女性が書いたにしては、冷静に女性を分析しているかと。
    頼らない女性は確かに多い。

  • 多分読んだんだけど、内容が。。
    おもしろかった気がする

  • 女性の社会進出といわれて久しいが、今やあらゆる場面で女性の活躍が見られるようになっている。電車の車掌やバスの運転手、宅配便の配達員など、これまで男性の領域と考えられてきたところにまで女性が進出してきて、驚かされるなんてことも増えてきた。草食化する男子に対して、肉食化する女子。あたかもますます勢いを増しているかのように見えるが、本当にニッポンの女子は元気になったのだろうか? 実際には、そう単純に考えられるものではないようだ。本書では「無頼化」をキーワードに女性たちが置かれている状況を説き明かしている。

    まずはこんな指摘が目についた。「社会のホンネとタテマエの落差。これには、女子の人生のほうが翻弄されやすい。というのも、男子の人生は、シンプルにタテマエがそのまま適用されやすいからだ。そもそも、タテマエとは男子仕様にできているのである」。社会進出だの、経済的自立だの、タテマエでは鼓舞するようなことを言われながらも、結局、出産したら会社を辞めなければならなかったり、職場復帰も容易でなかったりする。確かに、女性には社会の矛盾が際立ったかたちであらわれるものなのかもしれない。

    1999年には雇用機会均等法と派遣法の改正によって、女性の非正規雇用化に拍車がかかった。従来のように、結婚して専業主婦になれるのであればまだマシだが、雇用の不安定化は男性の稼ぎ手を柱とした家庭のあり方を困難にし、「生涯未婚リスク」と「人生設計破綻リスク」を高めてしまった。かくして、頼れるものをなくした女性たちの無頼化が加速する。サバイバルの道を目指す者はカツマーとなり、保守化した女子は婚活に走るのだ。ところで、その昔、女性は25歳を過ぎて未婚のままでいると「商品価値」が下がり「クリスマスケーキ」と揶揄されていたのが、いまは31歳まであがって「除夜の鐘」なんだとか。不謹慎ながら、面白すぎる。

    本書では、酒井順子、勝間和代、香山リカ、上野千鶴子ら女性のオピニオンリーダーたちの言葉を振り返りながら、そんな時代に翻弄される女性たちの姿を浮き彫りにする。ただ、いかに社会の矛盾をつこうとも、筆者は彼女らが経済的に恵まれた「勝ち組」であることを忘れない。そこで、それと対極にあるような郊外の「ネオヤンキー文化」にも目配りし、「外部、たとえば商品経済のまばゆさや、中央集権的価値体系を最初から視野に入れない、対抗軸のない若者文化に属す女性たち。それがケータイ小説の書き手であり、読者であった」と表現している。かつてのヤンキーと大きく違って内側に閉じた世界観。それは「セカイ系」にも通じるように思われて、なかなか興味深く感じるのだ。

  • 女性関連の本は多々あれど、同じ世代の女性の著作なので興味を持って読みました。
    偉大なる女性問題研究の先人たちの著作と比較して、新たな視点はあまりなかったかなと思う。
    でも、よくまとまっていて、この本1つで大体の概要はつかめると思います。

    「無頼化」ってキーワード、面白いけど、インパクトが弱いのかなあ。。
    新書がオヤジ向けであることを考えると、悪くないとは思うんだけど。
    同じロスジェネ世代女性としても、受け入れがたいものでもない。
    むしろ積極的にうなづきたい。

    ということで、ジェンダー関連の入門書としてもオススメです。

  • 難しい単語ばっかりでものすごく読みにくかった…

  • [ 内容 ]
    「負け犬」「おひとりさま」「勝間和代本」ブーム…これらはニッポン女子の無頼化現象を示す。
    勝間和代のようなサバイバル・エリートは最先端をいく究極の無頼化女子でもある。
    彼女をロールモデルとしたカツマーの出現と婚活流行(保守化)はコインの裏表だ。
    普通の幸せの値段が軒並み高騰するハッピーインフレ時代、女性は幸福のリスクマネジメントを迫られつつやさぐれ、何らかの形で無頼化せざるを得ない。
    女子カルチャーの分析を通じてその構造を読み解く。

    [ 目次 ]
    はじめに ニッポン女子はなぜやさぐれてきたのか
    第1章 ニッポン女子のハッピーリスクと「第一次無頼化」の到来
    第2章 社会のゆがみとニッポン女子の「第二次無頼化」
    第3章 女のパロディとしての「第三次無頼化」
    第4章 サバイバル・エリートと婚活現象
    第5章 『おひとりさまの老後』革命
    第6章 ニッポン女子無頼化現象が示す真実

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著者プロフィール

國學院大學経済学部教授。1970年神奈川県生まれ。早稲田大学大学院社会科学研究科博士課程単位取得満期退学。修士(学術、哲学)。専門領域は文化社会学、ジェンダー論。詩集『音速平和』(思潮社)で中原中也賞、『Z境』(思潮社)で晩翠賞をそれぞれ受賞。主な著書に『「居場所」のない男、「時間」がない女』(ちくま文庫)、『無頼化した女たち』(亜紀書房)、『多様な社会はなぜ難しいか』(日本経済新聞出版)などがある。

「2023年 『離れていても家族』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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