動的平衡 生命はなぜそこに宿るのか

著者 :
  • 木楽舎
4.04
  • (264)
  • (343)
  • (189)
  • (18)
  • (2)
本棚登録 : 2829
感想 : 322
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784863240124

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 最初のプロローグがちょっと小難しい感じだったけど、本文入って5ページ過ぎた頃から、わかりやすく説明してくれそうな著者の(私の勝手な)イメージ通りにわかりやすく人体や生命について語られた本。
    なぜ歳を取ると時間の経過を早く感じるのか、などは様々なところで語られているテーマだが、生物学者ならではの観点での説明できちんとした解説のもとで答えを教えてくれる。なるほど、歳を取ると1年が相対的に短くなるから、ということではなくちゃんと学術的に説明できるんだ。
    あと耳が痛かったのは、食に対してコストを払わなすぎではないか、という指摘。確かに食品に対しては数十円の違いで安い方を選んでしまっている。その節約が将来に渡って影響するのであれば逆に高く付く可能性はある。と言われてもなかなか改められそうにないが、安いものには安いなりの理由があることを食品についても考えなければならないし、生きていく上では食が最も大切であるということを念頭においた上で日々の食事を考えなくてはならないと反省させられた。

    あと面白かった話題箇条書きで。
    ・人間の身体は管
    ・人間の体に取り込まれたものはペニー・ガムではない
    ・ドカ食いは太る
    ・サプリメント意味なし
    ・遺伝子組換え作物の花粉が有機栽培作物に運ばれると有機栽培作物が被害を受ける
    ・最相葉月さんの本が面白そう。星新一のショート・ショートはやはり先の世界を見通していたんだ。
    ・ES細胞は空気を読む
    ・ミトコンドリアは細胞に共生してた別の生き物
    ・ミトコンドリアのDNAは母系でしか受け継がれな→ミトコンドリア・イブってそういうことだったんだ!
    ・ライアル・ワトソンの象と豚の話おもしろいんだけど、動物たちも会話してる、てのはそれだけ言われたら別に驚く話でもないか…。

  • 「動的平衡、生命の存在」という言葉をキーに、著者自身の専門でもある「生命」そしてそれらを分子のレベルから成り立たせているのであろう「動的平衡」に関する考究が展開された現在でも興味深い1冊。

  • 生物学者福岡伸一による生物エッセイ。
     2009年に刊行されていて僕の持ってる2016年まで版を重ね続けているのはそれだけの名著であることの証だと思う。まーオモシロい&興味深い内容の連続で一気に読み終えた。分子生物学が専攻の人なので、生物学とはいいつつも限りなくアプローチが化学なのでロジックとして分かりやすい。それに加えて言わずもがな文章がめちゃくちゃ上手いというのがある。「AがBになるからCとなる」みたいな論理立てを愚直に行うことで、難しいことも分かりやすく書かれていて尊い。
     本著で僕が何よりも勉強になったのは、人の線形的な思い込みと生物の挙動が乖離していることだった。線形的な思い込みというのは、インプットした分だけアウトプットが返ってくる比例の関係のことで、テクノロジーがここ数十年で著しく発展したことで、あらゆるものがそういった挙動を示すと認識しがちだけど生物は違う。この点を様々な事象を例に挙げながら解説してくれている。
     特に疑似科学に対する分子生物学の観点からのカウンターがぐうの音も出ない理論武装っぷりで、ぼんやりと思っていたことが明確に言語化されていた。コラーゲンを直接摂取したとしてもアミノ酸に分解されて吸収される、しかもそのアミノ酸は他の食物にもおおいに含まれているので意味がないなど。ダイエットのことも書いてあって、世の中にどんだけメソッドあんねんっていうくらいに乱立していると思うけど、本著に書いてあるシンプルな事実の数々は盲目に何でも信じようとする人にとって1つの指針になると思う。
     最近の遺伝子組み換えを筆頭とするバイオテクノロジー周りのビジネスとデカルトが提唱した生命に対する機械論を比較しながら、タイトルである動的平衡を唱えているところがかっこいい。機械じゃねーんだ、人間は。そして常にエネルギーを摂取する=食べることでflowし続けているのが人間だ、というのはテッド・チャンの「息吹」とバッチリ合うテーマなので併読すると人生が豊かになると思う。そしてあとがきに書かれている表紙の巻貝の意味が回収されてサムズアップ。完全に蛇足だけどタイムリーなPCR検査のことがあとがきに載っていて、発明者であるMullis氏は60-70年代の大学在学時代にLSDやりまくってたらしい。

  • 動的平衡よりも、生物学・化学の意義が語られている。

  • 面白いと言う評判を聞いていた本書を書店で見かけたので購入
    第1章から4章は特に面白く、脳にかけられたパターン認知のバイアスが自分たちの記憶を繋げて形成しており、おそらくだが全く同じ記憶というものも存在しないだろうし
    自分がみている世界そのものも、自分が今まで生きてきた中で経験される観点からでしか物事が見れないだろうと推察を与えてくれた
    同様に人間は自分の食べた物の栄養素でできており、体の構造を理解していないと巷のマーケティングに騙されるだろうし、本書には書かれていないが今後の食文化においてもより安心・安全が消費者に伝わり価格が設定されているものが良しとされる世界になるかも知れない
    特に1章は好きだ。非常に面白かった。脳のバイアスがどう構成されているか、といった部分には興味があるかも知れない

  • 生命とは絶え間ない流れの中にある動的なものである。
    人間は食べたもので形成されている。
    アミノ酸アイソトープでその代謝は、3日間であることがわかった。
    動的平衡の意味がわかってきた。

  • 志村氏推奨

  • おそらく、難解なテーマの内容が、簡潔な文章で書かれており、とても読みやすい。
    理解できた気になってしまうのが怖い

  • 生物学に疎くても入り良くて読みやすく、内容と同じくらい文章そのものがタイトルを現しているように感じた

  • つまらない。くりかえし。

全322件中 31 - 40件を表示

著者プロフィール

福岡伸一 (ふくおか・しんいち)
生物学者。1959年東京生まれ。京都大学卒。米国ハーバード大学医学部博士研究員、京都大学助教授などを経て、青山学院大学教授。2013年4月よりロックフェラー大学客員教授としてNYに赴任。サントリー学芸賞を受賞し、ベストセラーとなった『生物と無生物のあいだ』(講談社現代新書)、『動的平衡』(木楽舎)ほか、「生命とは何か」をわかりやすく解説した著書多数。ほかに『できそこないの男たち』(光文社新書)、『生命と食』(岩波ブックレット)、『フェルメール 光の王国』(木楽舎)、『せいめいのはなし』(新潮社)、『ルリボシカミキリの青 福岡ハカセができるまで』(文藝春秋)、『福岡ハカセの本棚』(メディアファクトリー)、『生命の逆襲』(朝日新聞出版)など。

「2019年 『フェルメール 隠された次元』 で使われていた紹介文から引用しています。」

福岡伸一の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
村上 春樹
ヴィクトール・E...
J・モーティマー...
三浦 しをん
ロバート ライシ...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×