- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784863855137
作品紹介・あらすじ
松波太郎はそこにいた。
カルチャーセンターで共に過ごしたニシハラくんの未発表小説『万華鏡』が収録され、作家や編集者たちから寄せられたコメントに、松波太郎の説明責任までもが生じてくる文章と空白の連なり……松波太郎は、ニシハラくんに語りかける。「どうかな? これは何だろう? 小説なのかな?」
松浦理英子さん推薦!
「小説を書きたいという欲望に憑かれていた若くほろ苦い日々を、哀惜をこめて振り返る松波太郎は本物の作家である」
これはすべての作家が通って来た文学的青春への鎮魂の書である。小説とは何かも言えないまま、ただ書きたいという欲望に憑かれていた時代への。
――松浦理英子
小説のわからなさを、そのわからなさと共に生きていくことを、ひたすらに書いている。この小説を読み終わりたくないと思った。
――柴崎友香
カルチャーセンターは、社会で帰属する場を離れて〈個〉となった人と人が、遠い憧憬を胸に秘めて集う。それが稀に奇跡のように幸福な交流を、この地上にもたらす。
松波さんはその鎮魂と再興のために、この小説を、みんなの力を借りて作り上げた。
(この推薦文わかりにくいですか? 読むうちにほぐれて、あなたを照らす光になるはずです。)
――保坂和志
感想・レビュー・書評
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理解に難かったり、メタかと思えば超絶リアルだったりで、展開というよりも時系列を追う苦しさでニシハラの死と彼の描いた「万華鏡」で、私と彼女とその他の人格と周りの人々と事件を追体験した上でさらに作者の「カルチャーセンター」がそれを内包し、いつの間にか書評に入ってしめ括りにまで到達。こんな本は読んだことないが、かなり複雑でマニアックなものに触れて興味深かった。
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カルチャーセンターの小説創作クラスで出会った著者とニシムラ君とその他の人たち。ニシムラ君が発表した小説「万華鏡」を絶賛するもクラスの他のメンバーは共感を得ない。小説家を志す者たちと創作の苦悩と理想が、小説内小説、小説内評論などがメタ的に融合して虚実が綯い交ぜになった構成は斬新。
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すみません、正直よくわからなかったです。どこまでがフィクションなのか脳を揺さぶられる感じは嫌いではないですが、別にそこまで目新しいものでもないし。。
こういうのがいわゆる「文学」なんでしょうか?途中何度も放り出しそうになりました。
もしかしたら面白いのかもしれないけど自分にはそれを見いだすことができませんでした。残念。 -
久しぶりに、まったく刺さらない、手に負えない作品だった。
小説を書くカルチャーセンター通いの生徒たちの、とある若者の作品に対する論評のやりとりからスタートし、主人公(というか著者)とその若者を中心に話は展開するのだが・・・。
まったくやりとりかストンと入ってこない。会話の多い読みやすそうな字面なのだが、その会話の途中で発話者当人以外の思いが入る表現になかなか馴染めない。
「まぁ相対的な目標に立ったことがないんで」という言い方が何となく彼らしい。「大変かはわかりませんけど、すくなくとも明日は」
「うん」
こうした違和感を敢えて喚起させるように書いているのか?という部分が多く、それがおそらく、新しい小説表現を生み出そうと四苦八苦するカルチャーセンター通いの小説家未満の物書きたちの足掻きを見せられているかのよう。
「小説においては強烈なアンチの存在もまたその小説の真価を高める」
と、講師が指南していることを、そのまま読者にその存在になってほしいというわけでもなかろうが、すんなり読者を小説世界に取り込もうという雰囲気が感じ取れなかった。
我慢して我慢して読み進み、件の若者の問題小説が本書の中で小説内小説として丸々掲載され、その後は、その書評の羅列となり、「はぁ??」となって本を閉じてしまった。
どうやら、その書評も問題となる小説『万華鏡』のことだけではなく、そこに至る、すなわち本書『カルチャーセンター』の前段部分も含めての書評らしい。
そもそも、小説はフィクションだ。いかに読者を欺くかが筆者の腕の見せどころではあるが、これは欺かれたのかなんなのかも分からない、ねじれた世界観に、なんともいえない消化不良しか覚えず。かといって、もう一度、最初から読み返そうかという気にもならない作品だった。
“強烈なアンチの存在”が、作品の真価を高めるというなら、どうぞどうぞ。 -
小説家を目指してる人とかには面白いのかも。
私には、一章以降は難解で読み進めるのが難しかった。