- Amazon.co.jp ・本 (420ページ)
- / ISBN・EAN: 9784872330939
作品紹介・あらすじ
故三島由紀夫が発掘、渋沢龍彦と共に激賞し、初版刊行以来、眩惑と官能の絢爛たる言葉の森が立ち騒ぐ不滅の魅力を発散し続けるマゾヒズム文学の最高峰。
感想・レビュー・書評
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日本人青年の瀬部麟一郎と婚約者でドイツ人のクララ・フォン・コトヴィッツは、墜落した宇宙船の中でイース人のポーリーンと出会い、未来世界に行くことに。二千年後の未来では、日本人は「ヤプー」と呼ばれ、白人の家畜にされていた…
ストーリーの展開はそっちのけに、用語の解説が延々と続き、ヤプーの利用法を中心に、社会構造、風俗習慣、科学医療技術、はては古代日本神話の真実まで、宇宙帝国イースのあらゆることについて書かれている。(『完結編』のあとがきによると、真の主人公は麟一郎でもクララでもなく、宇宙帝国イース自体。)
自虐的で露悪的な世界観はただただ圧倒的。「戦後最大の奇書」といわれたのも納得の、閲覧注意なユーモア小説。最高です。
上巻は、ポーリーンとの出会いから、麟一郎が尿洗礼(ユーリナリ・バプティズム)を受けてヤプーとなるまで。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
最後まで読んでおいて★一つはないだろうということであるが、この本の際立ち方が他の本と違うこととそれが良い方か悪い方かと問われれば、悪いほうとしか言いようがないため★一つである。
この本が某氏のお薦めの本の中に入っていたのが運のツキ。読み進めているうちに素晴らしい前向きな展開になっていくだろうと思っていたら、どんどんあらぬ方向に行ってしまって引くに引けない状況に陥ってしまった。グロテスクな描写が詳細すぎて本当に気分が悪いが、どんどん引き込まれる。これ以上の胸焼けはたくさんなので、あとはさらっとマンガで結末を知りたい。 -
読みだすと止まらない、黄色人種、且つ男性、だからこそ描ける残忍非道で嗜虐的な愉快爽快なストーリーが魅力的。新たな世界観、が単純、だけど妙に入り組んで居て、読みやすく面白い。サディスティックとマゾヒスティックが混在した、超越した展開での心理描写。憧憬等ではなく、客観的に視て愉しい世界は斬新なものを想わせる。活字であるからこそ、心理描写として読む事が出来るからこそ、堪能できる官能。
誰もが持つ、潜在的な嗜虐嗜好―其れは至極、当然な。
繰り広げられる、新たな展開が気に成って仕方ないのです。
…密に未来の国際情勢がクララに依って変えられるのでは無いか、と想ったりも。謂わば、未来へ彼女が行った事に依り、その未来が創られる、過去でのきっかけと成る様な。
唯文体・展開性は、ドグラ・マグラの其れよりも単純で在りながら説明的過ぎるのは、好きではない様な…。
差別と特定の人種の保護・平和の維持の観点は、現代におけるひとつのグループ(小さなものでは学校でのグループ、大きなものでは宗教、等)が其れ以外を排他しようとし、侮蔑する事により、其のグループ間での平和と人格の尊重が維持され得る事を暗示して居る様にも想える。
その辺りの矛盾と、現世社会との矛盾を、ナチス政権・白と黒(黒人差別)の観点と対照させてみるのも面白いかと、想ったりして居る。
しかしこれは現実問題の提唱の様にも想う。日本人が白人の国、謂わば先進国に利用される事になる、という事実を、戦後の状況下から見据えて居たのかもしれない。
中々に面白い本だった。 中・下巻が楽しみだ。 -
おそらく私の人生を大きく変えた一冊。
どの部分の話をされてもすぐに話せるんじゃないかな。
これ以外でハードカバーや文庫や漫画も持ってます。 -
・・・エロい?すごい世界。面白いです。
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下に任せます。
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何をどう言っていいのやら。徹底的に具現化するエグイまでの人間の欲望。
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言わずとしれた怪作です。安い太田出版の続編を探して古本屋に言って、幻想文学ファンと間違われてえらい高いプレミア本を売りつけられそうになった思い出の本でもあります。
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いやはや。哲学そのものはおいといて、SFの作品としても充分楽しめるとおもいました。(中へ)