M/D マイルス・デューイ・デイヴィスIII世研究
- エスクアイア マガジン ジャパン (2008年3月31日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (776ページ)
- / ISBN・EAN: 9784872951141
感想・レビュー・書評
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ジャズ界の超有名人マイルス・デイビスを、菊地成孔と大谷能生が東大の講義で語り倒す、という内容。はっきり言っておもしろい。全部で750ページくらいあるけどね。
1940年代のビバップから、クール・ジャズ、モーダル・ジャズなど当時最新鋭のアコースティック・ジャズを極め、1970年代にはファンクと融合、最後はヒップホップのブレイクビーツにのせてトランペットを吹く。このおっさんすげえ!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
マイルス研究としては現時点で一級品。ただし自己韜晦を軸とした論理は無理があるというか菊地成孔自身の話のような気がする。本作以上のマイルス研究が出ることが望まれるところ。
最後のマイルスバンドのメンバーの話はあまり多くないので、ケイ赤城さんのインタビューは貴重。やはりマイルスの死後、Jazzは決定的に弛緩してしまったのだと思う。 -
ミスティフィカシオン(自己韜晦)をキーワードに、膨大なボリュームでマイルスの人生を語った。奔放な比喩と多数の謎かけ、饒舌ながら英語のタームを次々に繰り出し、平易なふりで煙に巻く。本当は二人での講義を一人の語りに纏め上げたのも、二面性の暗喩と捉えるのはうがちすぎか。持ってるのが疲れるほど重厚な本だが、最後まで読ませる勢いと興味に溢れた本。本書を読んでマイルスをわかったと思うのは難しい。実際、"カインド・オブ・ブルー"の説明はばっさりカットしてる。にもかかわらず、あらたにマイルスの魅力に気づき、音楽を聴きたいと思わすベクトル感覚は凄まじい。一つのテーマを深堀する実力に圧倒され、今までとは違う切り口のヒントに満ちた快著。
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東京大学で行われたマイルスゼミの講義本が大幅加筆でよみがえる。