- Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
- / ISBN・EAN: 9784875684398
感想・レビュー・書評
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読み物として十分面白い。これ一冊で体系的に文学史が理解出来る。ただ、芥川とか個人として有名どころの作家には触れられていないので残念だった。
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近代日本文学に絞った文学史を扱った大学受験参考書だが、講義調ということもあり大変分かりやすい。
単調に知識を羅列するのではなく、たとえば森鷗外の『舞姫』や漱石の『こころ』は、やたらページを割いて熱く語られる。筆者の文学史感に基づいて主観も交えつつ書かれているのが読みやすさにつながっているのだろう。
近代日本文学の大きな流れが整理できるためすでに読んだ作品の位置づけが理解できる。また、本書に紹介された作品の中から読んでみたいと思わせられたものも少なくなく、読書案内の役割も果たしている。
文学史をきちんと学ぶには次の段階の書物が必要だろうが、入門書としては十分である。受験生のみならず、広く一般に薦められる良書。
蛇足ながら、昔、筆者の参考書や音声講義で現代文を学んだことを懐かしく思い出した。 -
読み物として十分面白い。これ一冊で体系的に文学史が理解出来る。ただ、芥川とか個人として有名どころの作家には触れられていないので残念だった。
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受験参考書の中でも文学史の実況中継・講義録モノって、他に類書は見当たらないんじゃないかと思います(少なくとも私は見たことがありません)。
本書が扱うのは近代日本文学史。主に戦前までの文学史を4ブロックに分けて説明してあります。
国語便覧の文学史の解説だとどうしても硬くなって著者名と作品名の羅列になりがちですが、そこは実況中継シリーズ。明治からの時代の流れや西洋化とリンクさせ、物語のように流れがつけてあり読みやすいです。しかも、尾崎紅葉・森鴎外・夏目漱石などの作家やその他の作品については比較的厚く語られていて、読んだことのない作品についても「へぇ~そんな作品なんだ」と知らず知らずのうちに読んでみようと思わされます。
特に印象に残っているのが『舞姫』と『こころ』の解説。僕はどちらもあんまり良い印象を持っていなかったのですが、『舞姫』については自分が今の価値観でもってズレた評価をしていたこと、『こころ』についてはもっと深い読み方や解釈が可能であることを教えられました。高校時代の現代文の授業でも、こういうところをもうちょっと押さえた解説をして欲しかったなぁ…
近代文学に何となく興味はあるんだけど、同時に何となく手を出しにくいとも思っている人に読んで欲しい一冊です。受験生じゃなければ内容を全て覚える必要も無いので気負わず読めますし、そこで引っかかってきた作品を読んでみるのもいいと思います。 -
私は古典文学が専門であって、近代については高校生レベルなので
知識の整理のために読んでみた。
ひとことでいって、よい。
筆者は文学史を「物語る」というスタンスでこの本を書いており
そのスタンスが私にとっては非常にありがたい。
事実だけを羅列されても覚えられないので。
実際、この本にはある程度筆者の解釈が入っているので
専門家からすると疑問の残る部分もあるだろうとは感じる。
しかし、私の近代文学史観とほとんど重なっていたので、
勉強の補助として助かった。
ただ、おおむねの文学史は分かっていないと、
筆者がどこを飛ばしてどこを重視しているかが分からないので
「受験生」以外にとっては少々危険であろう。