あいたい気持ち (幻冬舎文庫 い 7-5)

著者 : 狗飼恭子

• 幻冬舎 (1998年2月1日発売)

作品紹介・あらすじ

十九歳の誕生日を目前にして、琴子は「ここじゃない、どこか」に思いを募らせる。自分の世界に閉じこもった彼女がそこから飛び出すきっかけは、一人の少年だった。少年の叔父への琴子の切ない片想い、彼がその面影を追う謎の少女。新しい出会いが彼女を過去から解き放っていく-。ピュアなまなざしで「ここ」を見つめた、書き下ろし小説。

感想・レビュー・書評

[regulusさんの感想 · 2007年6月16日]

『
　分かんないよ。そんなのぜんぜん分かんないよ。ただ怖いんだ。怖くて怖くてたまらないんだ。<br>
　みんなが、私を嫌いな気がする。<br>
　私の中のたくさんの嫌な感情を、みんなはもうとっくに知ってて、でも知らない顔して噂話してる。私のことをみんなが笑う。その声だけが聞こえる。<br>
　私は救援信号の出し方を知らない。たとえそれを知っていたとしても誰も助けに来てくれないことだけ、私は知っている。子供じみた私の気持ちを、私の中の誰かが諭す。いい加減に大人になりなさい。他のみんなのように、自分の目で世界をきちんと捕らえなさい。<br>
　助けて。助けてくれなくても良いから、私を嫌いにならないで。嫌いになるくらいなら、私を忘れて。なかったことにして。出会わなかったことにして。ただ道端に生えていた小さな雑草になるから。青い花を咲かす、あの小さな小さな緑の草に。<br>
<br>
　私は強く思う。<br>
　でも、ただ思うだけ。<br>
<br>
「もう子供じゃないんだから」<br>
　そんなこと言われたって分かんないよ。<br>
　大人になる方法なんて。　』<br><br>
『　嬉しいことはすぐに忘れる。それなのに、悲しいことは心に積もる。富士山の上の万年雪みたいに、それはけして解けないのだ。』<br>
<br>
この人の本はどきどきする。おかしいけど、私はこんな風に思ってたんだってことが見えてくる。でも、なんか終わり方は好きじゃないんだよね。私はそんなあっさりと赦したりできない。私はたぶんすごく汚い。

[ユウさんの感想 · 2011年7月26日]

寝込んだ日に読んでみました。
・・・読み終わったことだけは覚えているんだけど、内容を忘れてしまった。。。
でも体調不良で寝込んでいるとき一気に3冊読めたぐらいだから、読みやすい本なんだと思う。
女だからこそ好き嫌いが激しく分かれそう。な気がします。

[tokoさんの感想 · 2008年11月10日]

いたいなぁと思った。しっとりだけどどっしりくる感じ。結構騙された。太一さんに惹かれていく琴子はあんまり理解出来なかった。

[モモさんの感想 · 2005年9月20日]

このひとの書くお話が好きになれないのは、あとがきが暗くておもしろくないからだと判明。

[yukiさんの感想 · 1998年3月2日]

人を思いやるって、一歩間違えるとエゴなだけで自己満足でしょ？難しいなあと改めて思った。