友がみな我よりえらく見える日は (幻冬舎アウトロー文庫 O 40-1)
- 幻冬舎 (1999年12月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
- / ISBN・EAN: 9784877288136
作品紹介・あらすじ
ホームレス同然の生活を続け妻子からも捨てられた芥川賞作家、アパートの五階から墜落し両目を失明した市役所職員、その容貌ゆえに四十五年間、一度も男性とつきあったことのない独身OL…人は劣等感にさいなまれ深く傷ついたとき、どのように自尊心をとりもどすのか。読むとなぜか心が軽くあたたかになる、新しいタイプのノンフィクション。
感想・レビュー・書評
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H30.11.27 読了。
・期待していたものと違っていた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
自分にだけ課せられた「試練」を自分なりのやり方で乗り越えていこうとする「普通」の人たちの話。裏表紙に書かれているように読んだ後「なぜか心が軽く」なった。
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エッセイとルポルタージュとの間の読み心地という感じがした。事実のみを記す中にも、著者の取材対象者への眼差しや、興味が感じられて、わたしも同じ場所にいて話を聞いている気分になる。生きるのがつらい時や、まさしく「他の人は〇〇しててあんなに進んでるのに私はなんてだめなんだ」って気持ちになった時にこの本のことを思い出したいな。村上龍の解説もよかった。ネガ編集者という仕事も初めて知り、村上龍『共生虫』も気になる。
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もうタイトルからして、そそりますね。
友がみな我よりえらく見える、そんな日、しょっちゅうです。
友どころか、すれ違うお姉さんさえ眩しく。
ネットでふと見るサイトさえ眩しく。
ネットサーフィン中に自分と照らし合わせてマジ凹とかよくあります。
そんな日に買ってみて、そんな日に読んでみたわけなんですが。
癒されてしまったぞちくしょう。
してやられた。
ノンフィクションで何の作為も感じさせず、お前を癒すぞという押し付けがましさがないからこそ、なんとなく温まってしまったようです。
取材している上原氏の軽いツッコミみたいなのは時々入りますが、それは思ったことをただ思ったままに書いたまでで、決して胡散臭いメッセージ性などないのです。
なのに全体が暖かいのは、人間性でしょうか。
出てくる人々も、けして不幸ではなく、可哀想でもなく。
淡々と、ただ暮らしている。
とても人間らしくて暖かい。
悲観はやめよう。
あたしもただ、暮らしていける。
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どこかの国では、さまざまな境遇にある人について理解を深めるという目的で、ホームレスの人などからその人の人生の物語を聞く取り組みがあるらしい。人間の図書館 とかなんとか呼ばれていた気がする。
この本を読んでそれをふと思い出した。
「登校拒否」の章では思わず涙が出てしまった。カズくんのテンポと、周りのテンポが噛み合わないことでいろいろな齟齬が生まれるのだけれど、それは果たしてカズくんが責められることなのだろうか?
自分の気持ちをうまく言語化できない(言語化以前に、自分がどんな気持ちなのかもよくわからないというか)、普通 とされていることができない、その孤独と不安感はいかほどのものだったのだろうと思うと胸が痛かった。
いまカズくんはどうしているのだろう。
どうか呼吸のしやすい場所で生活を送れていますようにと思う。
自分の常識で人をはかるのはしないようにしようと、深く思った。 -
お通夜に行った帰り道みたいな気持ちになる本でした。
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もうスキ。ダイスキ。たまらなくスキです。すてきなイギリス映画観た感じですよ。
なんてことはない、その辺にいそうな方々の日常が描かれているのだけれども、
たまらないです。もう読んで。ぜひ読んで。すぐ読んでっちう感じです。 -
この本は一体どんな風に読んだら良いのだろう?と思いながら読んで、村上龍さんの解説で「なるほど!」ってなりました。普通の人の普通の人生が淡々と描かれているのに、何故か引き込まれる感じ。面白い!