友がみな我よりえらく見える日は (幻冬舎アウトロー文庫 O 40-1)

著者 :
  • 幻冬舎
3.60
  • (45)
  • (81)
  • (101)
  • (12)
  • (6)
本棚登録 : 795
感想 : 109
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784877288136

作品紹介・あらすじ

ホームレス同然の生活を続け妻子からも捨てられた芥川賞作家、アパートの五階から墜落し両目を失明した市役所職員、その容貌ゆえに四十五年間、一度も男性とつきあったことのない独身OL…人は劣等感にさいなまれ深く傷ついたとき、どのように自尊心をとりもどすのか。読むとなぜか心が軽くあたたかになる、新しいタイプのノンフィクション。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • H30.11.27 読了。

    ・期待していたものと違っていた。

  • 自分にだけ課せられた「試練」を自分なりのやり方で乗り越えていこうとする「普通」の人たちの話。裏表紙に書かれているように読んだ後「なぜか心が軽く」なった。

  • エッセイとルポルタージュとの間の読み心地という感じがした。事実のみを記す中にも、著者の取材対象者への眼差しや、興味が感じられて、わたしも同じ場所にいて話を聞いている気分になる。生きるのがつらい時や、まさしく「他の人は〇〇しててあんなに進んでるのに私はなんてだめなんだ」って気持ちになった時にこの本のことを思い出したいな。村上龍の解説もよかった。ネガ編集者という仕事も初めて知り、村上龍『共生虫』も気になる。

  • ノンフィクション短編集。
    ホームレス同然の生活を続け妻子からも捨てられた芥川賞作家、
    アパートの五階から墜落し両目を失明した市役所職員、
    その容貌ゆえに四十五年間、一度も男性とつきあったことのない独身OL…
    劣等感を感じ未来に希望が持てなかった人がどう生きていくか。

    タイトルがせつないけど、うまいと思った。

  • もうタイトルからして、そそりますね。
    友がみな我よりえらく見える、そんな日、しょっちゅうです。
    友どころか、すれ違うお姉さんさえ眩しく。
    ネットでふと見るサイトさえ眩しく。
    ネットサーフィン中に自分と照らし合わせてマジ凹とかよくあります。

    そんな日に買ってみて、そんな日に読んでみたわけなんですが。
    癒されてしまったぞちくしょう。
    してやられた。

    ノンフィクションで何の作為も感じさせず、お前を癒すぞという押し付けがましさがないからこそ、なんとなく温まってしまったようです。
    取材している上原氏の軽いツッコミみたいなのは時々入りますが、それは思ったことをただ思ったままに書いたまでで、決して胡散臭いメッセージ性などないのです。
    なのに全体が暖かいのは、人間性でしょうか。
    出てくる人々も、けして不幸ではなく、可哀想でもなく。
    淡々と、ただ暮らしている。
    とても人間らしくて暖かい。

    悲観はやめよう。
    あたしもただ、暮らしていける。

  • 登場する人はみな、どこに出口があるのかも分からない悲観したくなるような状態で生きている。

    登校拒否になった学生の話で、同級生等から「もっと~すべき」等の所謂"常識"という重圧を掛けられるのが辛いという話は考えさせられた。

    学校という空間には、「積極的に友達を作らないといけない」というような雰囲気があるのは確かかもしれない。
    「学生時代の友達が、社会人になってから貴重な存在になる」みたいな話を学生だった当時に見聞きしたような気がするけれど、実際問題、学生時代の友達だから貴重とかは無いとは思う。

  • どこかの国では、さまざまな境遇にある人について理解を深めるという目的で、ホームレスの人などからその人の人生の物語を聞く取り組みがあるらしい。人間の図書館 とかなんとか呼ばれていた気がする。
    この本を読んでそれをふと思い出した。
    「登校拒否」の章では思わず涙が出てしまった。カズくんのテンポと、周りのテンポが噛み合わないことでいろいろな齟齬が生まれるのだけれど、それは果たしてカズくんが責められることなのだろうか?
    自分の気持ちをうまく言語化できない(言語化以前に、自分がどんな気持ちなのかもよくわからないというか)、普通 とされていることができない、その孤独と不安感はいかほどのものだったのだろうと思うと胸が痛かった。
    いまカズくんはどうしているのだろう。
    どうか呼吸のしやすい場所で生活を送れていますようにと思う。
    自分の常識で人をはかるのはしないようにしようと、深く思った。

  • お通夜に行った帰り道みたいな気持ちになる本でした。

  • もうスキ。ダイスキ。たまらなくスキです。すてきなイギリス映画観た感じですよ。
    なんてことはない、その辺にいそうな方々の日常が描かれているのだけれども、
    たまらないです。もう読んで。ぜひ読んで。すぐ読んでっちう感じです。

  • この本は一体どんな風に読んだら良いのだろう?と思いながら読んで、村上龍さんの解説で「なるほど!」ってなりました。普通の人の普通の人生が淡々と描かれているのに、何故か引き込まれる感じ。面白い!

全109件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1949年、神奈川県横浜市生まれ。立命館大学文学部哲学科卒。エッセイスト、コラムニスト。記録映画制作会社勤務のかたわら、雑誌「思想の科学」の編集委員として執筆活動をはじめる。その後、市井の人々を丹念に取材し、生き方をつづったノンフィクション・コラム『友がみな我よりえらく見える日は』がベストセラーとなる。他の著書に思想エッセイ『「普通の人」の哲学』『上野千鶴子なんかこわくない』『君たちはどう生きるかの哲学』、ノンフィクション・コラム『喜びは悲しみのあとに』『雨にぬれても』『胸の中にて鳴る音あり』『にじんだ星をかぞえて』『こころが折れそうになったとき』『こころ傷んでたえがたき日に』などがある。

「2021年 『晴れた日にかなしみの一つ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

上原隆の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
奥田 英朗
劇団ひとり
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×