海の島: ステフィとネッリの物語

  • 新宿書房
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感想 : 35
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  • Amazon.co.jp ・本 (293ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784880083544

感想・レビュー・書評

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  • 数日前に読み始め、きのう読了。「ステフィとネッリの物語」第一巻。
    ステフィのことがどうしても好きになれないまま、読了。たぶん、ステフィが口に出さない傲慢さをもっていて、それを自分にふりかかった理不尽な状況を理由に正当化している感じが好きになれなかった。断罪されてほしいわけではないけど、それへのマークが作品内にないと、傲慢さが、本来享受できたはずの「普通の生活」と受け取られ、「かわいそうなステフィ」「残酷なナチズム」とだけ読まれる可能性が高くなる。ウィーンでのステフィの生活も、それを成り立たせているものの無視による、ある種の残酷さの上にあるもの。ウィーンでの生活が、島へ来る以前/以後の対比のためだけでなく描かれると良いなと思う。
    表紙は、個人的にはもう少しカタめの印象の方がいいな。

  • ウィーンの裕福な家庭で育ったユダヤ人姉妹がナチスによる迫害を逃れるためスウェーデンに渡り慣れない環境のなかさまざまな経験をする話。養母がユダヤ教であるステフィをペンテコステ派教会へ連れて行き、「この子たちの中に邪悪さは微塵もないわ。正しい信仰のもとで育たなければ、可哀想ってものよ。」といった場面が印象的だった。

  • ユダヤ人として想像もつかない程のつらい毎日を送るステフィ。つらい生活の日常が手に取るように解り、人間として差別はいけないんだと心から思わせてくれる作品でした。

  • ナチスからの迫害を逃れるためスウェーデンに渡った500人のユダヤ人の子どもたち。ステフィとネッリの姉妹もウィーンの裕福な医師の家庭から言葉の全く通じない異国の小さな島にやってくる。
    姉妹が別々の家に引き取られるという設定が上手い。一見厳しくて冷たく見える養母メルタとステフィが心を通わせるようになるまでが丁寧に描かれていく。
    成績は良くても貧しさと難民という身の上のせいで学校でいじめられる様子。
    父母をスウェーデンに受け入れてもらおうと氷の上をイェーテボリまで歩いて嘆願に行こうとするエピソード。
    読んでいくうちにすっかりはまってやめられなくなる。

  • 両親と別れ、人種差別、偏見にもめげずたくましく生きるステフィに感動!

  • 不器用だから。お互いに。
    不器用だから、関わり方が分からなくて。
    言葉もうまく交わせないから、なおさらわからなくて。

    時間がかかるのです。
    その間、とてもつらいかもしれないけど、きっと大丈夫だから。
    いつか分かりあえるから。

  • 第二次世界大戦時のオーストラリア首都ウィーンの裕福な家庭で育ったユダヤ人の少女ステフィ(12歳)と妹ネッリ(7歳)が戦争開始直前の1939年8月に子どもだけ、スウェーデンへ移住する話。
    実際にスウェーデン政府は、救援委員会が里親を募り、ドイツやオーストリアからユダヤ人の子ども500人を受け容れたことがもとになっている。ステフィの手紙や言動からも事態が戦争に向かっていることがわかり、フィクションでありながらも、緊迫した政情で不安が募るところなど、リアルに伝わってくる。

    父が医者で裕福だったウィーンでの生活から一変して、妹と別の家に引き取られるステフィ。
    言葉のわからない異国での生活。
    親と離れ、妹と別の環境にいること。
    信仰の違い。
    学校での友達関係。
    いずれも見事に描き出され、一気に読ませる日本語も見事!
    はやく続編も読みたい。

    日本の読者の皆さんへ

    この本が、日本で出版されることを
    とても嬉しく思います。
    戦争と人種差別は人間を、
    とりわけ幼い子どもたちを襲い、傷つける、
    邪悪でおそろしいものです。
    人は皆、平和に生きる権利があり、
    そして人はだれもm
    人間として同じ価値を持っている、
    と私は信じています。

    アニカ・トール

  • 読後感が爽やかで、読んで良かったと思いました。第二次世界大戦時のヨーロッパ。ナチスによるユダヤ人迫害が強まる中、ユダヤ人の姉妹ステフィとネッリは両親のいるウィーンからスウェーデンに移住することになります。両親の安否を案じながら、新しい土地で新しい(別々の)家族の元でなんとか暮らそうとする二人。姉のステフィは島の子供たちや新しい家のメルタおばさんとの関係に悩む毎日。それでもいつかまた家族で暮らせると希望を絶やさず両親と祖国を思い続けるステフィ。ある日、意地悪な少年に酷い言葉をぶつけられ…。ステフィの気持ちが手に取るように伝わり、行く末が気になり、次々に読み進めました。12歳の少女の繊細な心の動き、怒り、罪悪感、やりきれなさ、悲しみが本当によく描かれて、自分のことのように思えました。耐えて耐えて、ラストに熱いものが込み上げてくる物語でした。史実が綿密に盛り込まれ、地図もついているので、二人の成長の他に歴史的、普遍的な人間のあり方についても考えさせられました。

  • 四部作だそうで、最後までぜひ読みたいと思った。
    里親の女性と心を通わせるようになる様子は、赤毛のアンを思い出した。
    翻訳もいいし、すばらしい作品だった。

  •  読んで良かった。何というか8月に入ってからが、とても良かった。また、泣いた。
     続編って、どうなっちゃうんだろう。図書館で借りたのですが、鉛筆で線引いて
     あったり、頁の角おりまくりだし、背表紙割れちゃってたりするのだけど、
     どこかで課題図書になってたりしたのかな。ここがポイントかぁ、とか慮り
     ながら読むのもたのし。でも、共用物は大切に。続編、楽しみなのである。

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