ビジネス書大バカ事典

著者 :
  • 三五館
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感想 : 80
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784883205004

感想・レビュー・書評

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  • 巷に出回るビジネス書もどきをけちょんけちょんにけなしていて、出版社にも、読者にも、警告を投げかけている本と言えるだろう。

    いつからか、ビジネス書も、「似たようなタイトル」ばかりがならぶようになった。そして、「成功」、「成功」と唄い、人生の目的が「金と自由」を手に入れることになった金儲けの方法が書かれた本が溢れている。

    ベストセラー作家たちをつるし上げ、本の内容の矛盾を突き、こんなことは信じるな、と読者に警告する。

    まあしかし、これは本の文章を読んで楽しんでいることもあって、読みながら、吹き出してしまうことも多く、私にはウケた本である。とても。

    ”その通り!”と思うこともあれば、”そういう読み方があったか”とか。

    ま、同じく出版業界にいる私としては、著者の言いたいことはよくわかる。

    今はビジネス書の企画は、すべて「売れる」ことが目標となっていて(当然だが)、ひねりを利かせたタイトルが欠かせない。本が売れるか売れないかなんて、内容じゃなく、本のマーケティングであり、営業である。

    で、なんでベストセラーが出るかというと、当然、それを買う読者がいるからである。読者はタイトルや宣伝に惹かれて、つい買ってしまう。

    本一冊読んだところで成功するはずもないのに、それを読んで学ぼうとする。そんな読者が多数存在するからだ。新聞に400万部突破と出たら、どんな本だろうと、読みたくなるではないか。

    また、どうせくだらない本だろうと思っても、どんなくだらないことが書いてあるのだろうと思って買う人もいるかもしれない。

    ま、いずれにしても、すべての本が悪いというわけではないが、著者は、タイトルにひねりを聞かせて、成功とか法則とか宇宙とか引き寄せとか、そんなものがタイトルに来る本は、だいたい「もどき」でしかないと言い切っている。

    さて、それぞれ有名な著者の本を分析し、よくもまあここまで書けるものだという、書きたい放題の本なのだが、この本で一番いいたいところは、第8章~第10章にあると思う。この章のくだりを読んでいて、”まったくだ”と私は、気持がスッキリとした。

    そう、成功なんて考えなくても、ちゃんと人は成功できるようになっているのさ。

  • なんとなく自分自身が成功本に感じていた違和感を言葉に起こして、どストレートに書いていた本でした。
    「おうるああ」の部分で、あ、この人面白いと感じ最後まで楽しみながら読めました。
    ベストセラー読みしていたが、なんとなく違うと感じた人にはかなりオススメ

  • 目からウロコの本だった。


    著者の人生観が飾る事なく語られていて、感動もした。



    そして、自分が手当たり次第タイトルに惹かれて

    自己啓発本を読んでいたのが、

    それを鵜呑みにしてきたのが

    ちょっと恥ずかしくなった。



    目に見えない力を信じる心は純粋に持っておきたいけど、

    著者の現実的な考え方も、両方必要だと思った。


    よかったのは良書を紹介している章。

    とても、参考になりました。


    読みかけで放置していた松下幸之助の本を早速読もうと思います。


    自己啓発本好きな方は、絶対に一度は読むべきと思います。

  • げんきがでます。特に私のような自己啓発本に振り回された経験のあるものなら

    作者は「ビジネス書(もどき)は現実逃避でしか無いこと・そもそも人生における成功とは・安易に成功しようとするな、本物に触れるべき」ということを述べているのではないかと感じる。
    特に終盤に紹介される本物たちは「世の中うまく渡り歩いてやろう」なんて考えたことのある私には身につまされる思いであったとともに、奮い立たせるものもあった。

  • ビジネス書を「もどき」としてこき下ろしているが、面白い!
    評価は著者の独断であり、かなりきついが、いちいち読んだ本のここがどう、そこがこうとバッサリ切り込んでいる所は、多いに笑える。
    (トマ米地さんのあたりは、爆笑してしまった)大筋、自身の持つ感じにあっていたからかもしれないが、毒の強い文章でボリュームがあるのに、飽きずに読み切れた。(速読というか流し読みの予定が、読みふけってしまった)

    1章 なんでビジネス書を読むの?
    「成功本50冊勝ち抜け案内」(水野俊哉)
    「ビジネス書のトリセツ」(同)
    「成功本はムチャを言う」(新田義治)
    (2人ともビジネス書を信用している云々。)

    2章 恐るべき3人のつわもの
    ナポレオン・ヒルの追随者 = 本田健先生
    「ユダヤ人大富豪の教え」他
    ウインクで人を見分ける法? = 石井裕之先生
    「人生を変える!心のブレーキの外し方」他
    ヘンテコ大王 = 苫米地英人先生
    「頭の回転が50倍速くなる脳の作り方」他

    3章 三冊の元祖本と成功法則
    (この章の3冊は褒めている)
    「思考は現実化する」(ナポレオンヒル)
    「7つの習慣」(Sコビー)
    「人を動かす」(Dカーネギー)

    4章 本を読んで儲かるってホント?
    「株で300万円儲けた私の方法」(山本有花)他。。。

    5章 不当表示?誇大広告?めくるめく書籍タイトルの世界
    「夢をかなえる象」(水野敬也)他。。。

    6章 胡散くさい二人の導師
    胡散くさい導師 = 斎藤一人先生
    金ならあるぞ・・・
    「人生が全部うまくいく話」他
    とんだ食わせ者 = 小林正観先生
    釈迦気取り
    「100%幸せな1%の人々」他

    7章 その場しのぎの一姫二太郎
    カメレオンのように変身 = 神田昌典先生
    「あなたの会社が90日で儲かる!」
    「非常識な成功法則」
    「全脳思考」
    まじめなカリスマもどき = 勝間和代先生
    「お金は銀行に預けるな」
    「効率が10倍アップする新・知的生産技術」
    「起きていることはすべて正しい」
    「勝間和代のインディペンデントな生き方実践ガイド」
    (微妙に勝間和代さんに対するツッコミに遠慮が感じられる?先の2冊はどちらかと言うと褒めている。やはり今一番の売れっ子に若干遠慮?それとも掲載の2冊にはそれなりに敬意?多分後者・そろそろネタも尽きてきて。。。)
    なんでもレバレッジ男 = 本田直之先生
    「レバレッジリーディング」
    「レバレッジシンキング」
    「レバレッジ英語勉強法」

    ・ビジネス書もどきに拉致されないための7つの習慣
    1タイトルに騙されない
    2効能書きに騙されない(帯や前書き)
    3著者の経歴に騙されない
    4何十万部突破に騙されない
    5活字に騙されない
    6ブックレビューに騙されない
    7自分の価値観を持つ
    (??わりとこの下り、、もどきチック!)

    8章 成功することと人生
    成功という言葉に対する著者の考え?

    9章 読むなら、経営者の自伝
    「道をひらく」「商売心得帖」(松下幸之助)
    「スピードに生きる」(本田宗一郎)
    「不撓不屈の日々」(石橋信夫 大和ハウス)
    「経営学」(小倉昌男 ヤマト運輸)
    「人生と経営」(稲盛和夫)
    「俺が、つくる」(岡野雅行 岡野工業)
    「情熱・熱意・執念の経営」(永守重信 日本電産)
    「社長の哲学」(青木定雄 MKタクシー、鍵山秀三郎 イエローハット、鳥羽博道 ドトールコーヒー、矢野博丈 ダイソー)

    10章 仕事とは全人的作業である
    ・成功などどうでも良い。それは結果である。

    「定本 宮本から君へ」(新井英樹 マンガ)
    「マイクロソフトでは出会えなかった天職」(ジョン ウッド)
    「企業と人間」(佐高信、小倉寛太郎)

    付録 あのベストセラービジネス書を採点する
    「チーズはどこへ消えた?」=40
    「お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方」=5
    「こうして私は世界でNQ2セールスウーマンになった」=55
    「さおだけ屋はなぜ演れないのか ?」=65
    「千円札は捨うな。」=8
    「餃子屋と高級フレンチでは、どちらが儲かるか?』=50
    『なぜ、社長のベンツは 4ドアなのか?』=18
    『ザ・シークレッ ト』=0
    『「1 紗 ! 」 で財務諸表を読む方法』=68
    『1 秒を争う人のメール術』=45
    『たった1通で人を動かすメールの仕郷け』=10
    『ー冊の手帳で夢は必ずかなう』=25
    『「超」 手帳法』=50
    『情報は 1 冊のノートにまとめなさい』=75
    『東大合格生のノートはかならず美しい』=50
    『結果を出す人』はノートに何を書いているのか』=68
    『金持ち父さん貧乏父さん』=65
    『毎日、社長が感動して涙を流す理想の会社』=3

  • 自分自身も考えていたことだったので,すごく共感した。
    全部で10章からなるが,1-8章は巷ででている成功本がいかにうさんくさいかを論じている。タイトルどおりの内容である。しかし,この本の価値はそこにはなく,9,10章にこそある。
    9章 読むなら経営者の自伝
    10章 仕事とは全人的作業である
    両章とも,著者が経営者の自伝を引用し仕事を語る。

    「(中略)少なくともそういうたたき上げの経営者が書いた自伝は読んでおけばよかった,と今なら思う。経営者でなくても,かれらの考えや姿勢は学べたはずだからである。」

    うすっぺらい金持ちを目指した成功より,仕事,および人生への姿勢を学ぶほうがよっぽど大事ですよね。

    ちなみに,付録として,「あのベストセラービジネス書を採点する」というのがある。これがまたおもしろい。どんな本が採点されているかは見てのお楽しみとしておく。書評ブログとか書いてくれないかな,この人。

著者プロフィール

1947年大分県生まれ。明治大学政治経済学部卒業。洋書輸入会社に入社したが2006年に退社、執筆活動に専念。「ふつうの人」の立場から「自分」が生きていくことの意味を問いつづけ、『まれに見るバカ』(洋泉社・新書y)で話題に。その後も『アマチュア論。』(ミシマ社)、『会社員の父から息子へ』(ちくま新書)、『定年後のリアル』(草思社文庫)など著書多数。

「2017年 『ウソつきの国』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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