檻の外 (Holly NOVELS)

著者 :
  • スコラマガジン(蒼竜社)
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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784883862986

感想・レビュー・書評

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  • 『箱の中』の続編。
    三浦しをんさんが『箱の中』の解説で、『檻の外』の『なつやすみ』をもってこの物語は本当に完結する。とコメントされていたので、至急図書館で予約。

    間違いなく『なつやすみ』は二人の究極の愛に不可欠な物語だった。ひりつく様な心の痛み無しでは読めなかった物語を『なつやすみ』は、それらを昇華し優しさが心の隅々まで沁みわる内容であった。
    『箱の中』から始まった『堂野と喜多川の物語』の幕が降りた時、悲しくて涙が溢れたがそれと同時に、穏やかで温かい気持ちにもなった。
    『箱の中』『檻の外』は人間愛に溢れた、尊く愛おしい名作です。

  • いやぁ…前作を読んでから、いてもたってもいられずに手を出しました。
    翌日仕事で眠くても、眠さなんて吹っ飛ぶくらい引き込まれます。
    心をごっそり持ってかれてしまって、真夜中に放心状態です。
    心をね、抉られてしまう。

    結局はハッピーエンドなんですが、これは家族愛に恵まれなかった喜多川の生涯の物語だったと思います。堂野が喜多川にむけた愛は、恋愛感情での愛ではなく、家族に向ける愛に近かったのではないかと思う。
    『死ぬまで一緒にいてくれ』と、そう願った喜多川の言葉の通り、堂野は
    最後まで、それこそ、喜多川が息を引き取るそのときまで側にいた。
    喜多川は本当に幸せだったんだとうな、と。

    堂野の元妻の子供、尚の視点で書かれた『なつやすみ』に至っては、もう
    涙がだらだら流れっぱなしで、堪らなかったです。

  • ここまで号泣した作品は他にありません。
    「雨の日」と「なつやすみ」までを読んで、この作品は完結するのだと思います(文庫版にも入れてくれればいいのに…!)

    「箱の中」で出会った堂野と喜多川が辛い出来事や困難を乗り越え、添い遂げ、そして喜多川の最期を堂野が見送ってあげるまでが描かれています。

    何も持っていなかった喜多川は、堂野を、家を、犬を、子供と過ごす夏休みまでもを手に入れ、最愛のひとに看取られて幸せに逝ったのだなあと、読み終えたときには自分も堂野といっしょに喜多川を見送ってあげられたような辛いけれどほっとしたような、不思議な気持ちになりました。

    純粋で不器用でひたむきな喜多川。彼の人生に堂野がいてくれてよかった。

  • 『雨の日』『なつやすみ』目的に。
    行為が割と直接的で驚いたが それ以上に喜多川のビフォーアフターに驚いた。
    きっと、46歳になるまで、堂野と 「人間らしい」生活を送ってきたのだろうな、と。

    母親の再婚相手にも驚いたが、まぁ、ドウナンダロウ??
    とも思うけれど、長い時間もたったようだし
    (元妻はどうなったのだろう??)

    最期は悲しいが
    以前 付録?で堂野の母親が亡くなり、 自分が先に死ぬ可能性を考えて。。。 という話があったそうで。


    作中でも 養子になったことにチラリと触れていたが

    きっとそこに至るまでを 見事に心情を描き切っているだろうから
    その付録「すすきのはら」を入れて
    もう一度 出版してくれないだろうか。。。


    (そしてもっと贅沢を言うなら
    R指定ナシの作品にして 全年齢の人に読んでもらいたいなぁ。。
    いろいろ 考えさせられるとおもうのだ。。。)

  • 文庫には載っていない「なつやすみ」が読みたくて新書を買い直しました。
    読めてよかった。喜多川が亡くなる話なのは先に知ってしまっていたが自分で読めてよかった。喜多川が堂野に看取られて亡くなったと、その後を書いてくれた木原先生に感謝。涙が止まりません。

  • 箱の中の後日談にあたる内容です。
    文庫版の箱の中を読んだ方の場合、表題作である檻の外は既に読まれていると思いますが、この作品の何が素晴らしいかと言いますともう書き下ろしの2作・・・特に「なつやすみ」は箱の中で二人の物語に感動した方なら涙を堪えられない内容となってます。

    喜多川が堂野と出会って知った愛、それが地を固め他の誰かにもそれを伝えてゆく・・・
    二人の人間を中心にしかもBLというジャンルから描かれていく人間の「愛」について、ここまで深く考えさせられるテーマを描き切った木原先生には読者という立場からではありますが本当に感謝させて頂きたいです。

  • 初めてBLでガチ泣きした作品。とても好き。切ないって、こういうこと。

  • 傑作と評するのも憚られる作品でした

  • 雨の日となつやすみを読むために購入。

    箱の中でだいぶやられていたけど、この二編を読んで余計にやられた。
    これはBLの域を越えてるよなー。
    2人のその後のイチャイチャだけで終わらないところが本当に好き。

    こんなに心が揺さぶられるとは思わんかった。
    喜多川、生まれ変わってきてー(´;ω;`)つらい

  • 文庫版のその後の話があると知り購入。その話にも少々ビックリした。まさか子供が出てくるとは思わなかったなぁ。でも素敵な話だった。そして、その後の話で、また涙腺崩壊。ホントにやばいです。

    別れから六年経ったある日、堂野崇文は、自宅近くの公園で喜多川圭に再会した。喜多川は「ずっと捜していた。一緒に暮らしたい」と告白する。六年前とまったく変わらぬ一途な想いに堂野の心は乱れ、連絡先を教えてしまう。が、すでに堂野には妻も子供もいて…。『箱の中』待望の続編!せつない二人の物語『雨の日』や『なつやすみ』など、大量書き下ろしを収録。(アマゾンより)

著者プロフィール

高知県生まれ。1995年「眠る兎」でデビュー。不器用でもどかしい恋愛感情を生々しくかつ鮮やかに描き、ボーイズラブ小説界で不動の人気を持つ。『箱の中』と続編『檻の外』は刊行時、「ダ・ヴィンチ」誌上にてボーイズラブ界の芥川賞作品と評され、話題となった。ほかの著書に『秘密』『さようなら、と君は手を振った』『月に笑う』『ラブセメタリー』『罪の名前』など多数。

「2022年 『コゴロシムラ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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