- Amazon.co.jp ・本 (393ページ)
- / ISBN・EAN: 9784887243767
作品紹介・あらすじ
大英帝国がインドを支配下においたころ、ヒマラヤ山脈の測量に従事した男は、山の孤独のなか高地の植生に魅せられる(「地図に仕える者たち」)。知的で学識豊かだった養父は聖書世界を証明する化石を掘り当ててから、人生を狂わせた。養父への複雑な感情を抱いたまま家業を引き継いだ男は、にわかに発掘を思いたち川を下りはじめる(「二本の河」)。大飢饉に見舞われたアイルランドから新大陸に渡ってきた不屈のノラ。移住のどさくさに生き別れていた弟と再会したノラは、静かな湖畔の村で、自らの知識を役立てるすべを見出す(「静養」)。科学が未来を照らしていた時代、ある人は科学に身を捧げ、ある人は翻弄され、ある人は取り残された。その隣には、遠く離れて思う愛、失われた愛、ふたたび手にした愛があった。秘められた地図が浮かび上がる珠玉の短編集。
感想・レビュー・書評
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上手いんだろうけど好みじゃなかった。
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アンドレア バレット 作
田中 敦子 訳
DHC (2004/9)
表題作 の他5編
「地図に仕える者たち」 O・ヘンリ-賞受賞作
〈 大英帝国統治下のヒマラヤ山脈で、男は地図製作のために測量に従事していた。
愛する妻子を故国イギリスに残し測量隊にはなじめず、募る孤独のなか、高地の植生に魅せられていく。
そんなおり、ヒマラヤ地域を放浪するフランス人から、驚くべき事実を知らされる。〉
19世紀の物語
様々な科学と人間の苦悩が描かれる
全く知らなかった著者と世界でとても興味深かった
ちょっと読むのに時間がかかったかな
ゆったりと読む作品だなあ
≪ 科学者も 愛するものと 紡ぎ合い ≫ -
それぞれが少しずつつながりをもった6作からなる短編集。
こういう連作短編集は最近多いような気がするけれど、この本はそれぞれのつながりがだいぶ薄くて、さりげない。
けれども、そのつながりが全体を通してみると一つの流れのようなものを作っている、という感じ。
すべての作品で描かれる様々な博物学的エピソードも特徴の一つ。
ほとんどの話が19世紀を舞台にしたもの。
ヒマラヤの測量隊員である男が綴る妻への手紙。
化石の語る歴史にからめとられた義父と息子の関係。
大自然に囲まれた町で結核患者の面倒を見る女性。
ある話で出てきた少女が別の物語では成人となって登場し、また、ある男性は祖父として会話の中で登場する。
読み始めは少し退屈かもしれない。
でも読み進めていくと、だんだん何かが、――人生の機微に対する共感のようなものが――心に響いてくる、そんな感覚に包まれる。
ちょっとほろ苦い正直さが心に残る小説です。 -
こういう味わいが好きです。
理系の香りがする文芸書。