- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784892571169
作品紹介・あらすじ
世界の終わりを告げる声、そして「屋敷」は新世界への方舟となる-傑作長篇、本邦初訳。
感想・レビュー・書評
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シャーリイ・ジャクスンの未邦訳長編。
『くじ』や『丘の屋敷』といったホラーの印象が強いが、本作は人間関係を軸にした心理劇と表現する方が近い。癖のある登場人物が次々と現れるが、誰も彼も、決して親近感が持てるタイプではない……というのも面白かった。
本書は決して怖くはないし、既訳がある2つの長編『丘の屋敷』『ずっとお城で暮らしてる』のイメージで読み始めると、意外に感じられることも多い。が、本書で繰り広げられる人間関係を眺めていると、薄ら寒くなってくるのも事実。その辺りがシャーリイ・ジャクスンの上手さだなぁと思う。
文遊社はアンナ・カヴァンの邦訳も手掛けている版元だが、相変わらず宣伝をしてくれないので、ある日突然、書店の店頭で見かけて慌てて買う、というパターンが多い。もうちょっとアチコチで宣伝してくれないものだろうか……。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
文学
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豪邸に住む一家。主人の妹が亡き父親のお告げを受ける。ハルマゲドンが起こるがこの屋敷にいる限りは私の力で守られる。屋敷以外の場所は藻屑となる。
来たる日に備え食品を買い込みバリケードを作る。当主の妻は自分が屋敷の支配を完璧な物にするために息子を葬ったとの噂。あなたは余所から来た人で、この屋敷は兄と私の物、という小姑。お婆ちゃんが死ねばこの屋敷は私の物と口にする孫。その母親は実の息子を亡きものにしたと恨む。とまあ、世界の終わりを迎えるにあたって、一致団結したいけどー、ほんとにハルマゲドン来るのおー?という話。 -
読んでて
イライラする -
最近、シャーリージャクスンの作品がちょこちょこと出てるので、ほいほい釣られて買ってます。
本書「日時計」は、作者の数少ない長編の1つで、本邦初だとか。しかもお屋敷舞台ということで、かなり期待してました。屋敷からなぜか出られなかったり、屋敷そのものが意思があるかのように不気味な存在であるというところは、他の長編にも共通しているようです。
登場人物はすべて感じ悪く、子供すらかわいくなくてそこが面白かったです。ジャクスンは人間のいやーな所を書くのが得意なんで、真骨頂です。
今回はある意味終末ものでもあるのですが、カヴァンと違うのは、ジャクスンはどこか理性的である所かなーという気がします。
しかし、ジャクスン自身は家庭を持ち幸福だったと思いますが、なぜこんなに女性の孤独や閉塞感を書くのがうまいのでしょうか。女性はどんな状況でも、こんな気持ちをどこかに持っているのかもしれません。 -
何て変わった物語りだろう!
登場人物すべてがくせのある悪者ばかりで、一人として善人がでてこない!!強いて言えば、家庭教師のミス・オグルビーが一番ましかな…
ファニーおばさまのみた父の予言をみな信じて、最後の日に備えてみんなが行動する姿はなんとも滑稽だ。
いよいよその最後の日に、ハロライン夫人が階段から落ちて死んでしまうのは意外だった。
そして、ラストもなんか尻切れトンボ❗
せめて、一夜が明けたところまで描いて欲しかった。
シャーリィ・ジャクソンの他の作品も読んでみたくなった