日時計

  • 文遊社
3.07
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本棚登録 : 117
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784892571169

作品紹介・あらすじ

世界の終わりを告げる声、そして「屋敷」は新世界への方舟となる-傑作長篇、本邦初訳。

感想・レビュー・書評

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  • シャーリイ・ジャクスンの未邦訳長編。
    『くじ』や『丘の屋敷』といったホラーの印象が強いが、本作は人間関係を軸にした心理劇と表現する方が近い。癖のある登場人物が次々と現れるが、誰も彼も、決して親近感が持てるタイプではない……というのも面白かった。
    本書は決して怖くはないし、既訳がある2つの長編『丘の屋敷』『ずっとお城で暮らしてる』のイメージで読み始めると、意外に感じられることも多い。が、本書で繰り広げられる人間関係を眺めていると、薄ら寒くなってくるのも事実。その辺りがシャーリイ・ジャクスンの上手さだなぁと思う。

    文遊社はアンナ・カヴァンの邦訳も手掛けている版元だが、相変わらず宣伝をしてくれないので、ある日突然、書店の店頭で見かけて慌てて買う、というパターンが多い。もうちょっとアチコチで宣伝してくれないものだろうか……。

  • この本はコメディです(嘘)。他の本を読もうと思ったのに、冒頭からの掴みが素晴らしい。個人的には気に入っている。旦那の葬儀が終わった直後なのに、姑の死を願い、死ねばいいのに、と平然と娘の前で言う嫁と、意味は分かっているはずなのに無邪気を装っておばあちゃんを階段から突き落としてあげようか?と聞く娘。あまりの露骨さに笑ってしまい、この本を読むことに決める。屋敷を自分のものにしたいが為に息子を殺したと疑われても、平気で開き直り、新世界で女王になろうとする後妻と認知症の当主、病になるまでは情熱的な関係になっていた孫の家庭教師、と全てを書こうとすれば長くなってしまうが、登場人物全てが嫌味で人間臭い。皆、何かしらハロラン夫人を嫌っているけれど、傍から見たこの屋敷の人間全員が夫人と似たり寄ったりな我の強さをお持ちで、と言いたくなる。似た者同士。しかし、神様かお父様か知らないけれど、新世界の人選とんでもなく間違ってませんか?頭大丈夫ですか?と聞きたくなる。そこに面白さがあるのだけれど。所詮、人は世界が滅びると言われても気にするのは自分の周りの些末なことだし、旧世界の物事に未練たらたらだ。世界が滅びるとしても、自分のベッドを直す人間が居ないことに不平を漏らせるなんて、流石やんごとなき身分の方々の考えることは違うのだ。新世界では誰もが皆平等で幸せそうで、とか何とか言う割には巫女役のおばさまは身分にやたらと拘るし、自分は貴婦人なので、肉体労働をする気はさらさら無いです、とか平気で言うし。おいおい、平等で、と行やら何やらはどこへ行ったのか、とツッコミたくなってしまった。主要人物以外も微妙に嫌な感じの人が多いのは事実だけれど、人によってはコメディにもなるし、人間がどんな時も自分勝手な生き物だと言いたい物語としても読めるし、面白いかもしれない。ただ、はっきりとした結末が好きな方には、おすすめ出来ないことだけは確か。あまりにも唐突に幕切れが訪れるので、驚いてしまったぐらいなので。

  • 文学

  • 豪邸に住む一家。主人の妹が亡き父親のお告げを受ける。ハルマゲドンが起こるがこの屋敷にいる限りは私の力で守られる。屋敷以外の場所は藻屑となる。
    来たる日に備え食品を買い込みバリケードを作る。当主の妻は自分が屋敷の支配を完璧な物にするために息子を葬ったとの噂。あなたは余所から来た人で、この屋敷は兄と私の物、という小姑。お婆ちゃんが死ねばこの屋敷は私の物と口にする孫。その母親は実の息子を亡きものにしたと恨む。とまあ、世界の終わりを迎えるにあたって、一致団結したいけどー、ほんとにハルマゲドン来るのおー?という話。

  • 読んでて
    イライラする

  • 2017/6/7購入
    2023/6/29読了

  • 最近、シャーリージャクスンの作品がちょこちょこと出てるので、ほいほい釣られて買ってます。
    本書「日時計」は、作者の数少ない長編の1つで、本邦初だとか。しかもお屋敷舞台ということで、かなり期待してました。屋敷からなぜか出られなかったり、屋敷そのものが意思があるかのように不気味な存在であるというところは、他の長編にも共通しているようです。

    登場人物はすべて感じ悪く、子供すらかわいくなくてそこが面白かったです。ジャクスンは人間のいやーな所を書くのが得意なんで、真骨頂です。
    今回はある意味終末ものでもあるのですが、カヴァンと違うのは、ジャクスンはどこか理性的である所かなーという気がします。
    しかし、ジャクスン自身は家庭を持ち幸福だったと思いますが、なぜこんなに女性の孤独や閉塞感を書くのがうまいのでしょうか。女性はどんな状況でも、こんな気持ちをどこかに持っているのかもしれません。

  • 何て変わった物語りだろう!
    登場人物すべてがくせのある悪者ばかりで、一人として善人がでてこない!!強いて言えば、家庭教師のミス・オグルビーが一番ましかな…
    ファニーおばさまのみた父の予言をみな信じて、最後の日に備えてみんなが行動する姿はなんとも滑稽だ。
    いよいよその最後の日に、ハロライン夫人が階段から落ちて死んでしまうのは意外だった。
    そして、ラストもなんか尻切れトンボ❗
    せめて、一夜が明けたところまで描いて欲しかった。
    シャーリィ・ジャクソンの他の作品も読んでみたくなった

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シャーリイ・ジャクスンの作品

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