メンデレーエフ元素の謎を解く: 周期表は宇宙を読み解くアルファベット

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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784894490437

作品紹介・あらすじ

1869年、メンデレーエフは化学元素について頭を悩ませていた。その10年ほど前には、ダーウィンがすべての生命体は進化してきたものだということを発見した。またおよそ200年前には、ニュートンが宇宙は重力に従って機能していることを発見していた。化学元素は、この両者をつなぐ要となるものだった。この時点で、63個の元素が発見されていた。それらの元素をグループ化できないか。その日、彼は汽車に乗って旅をした。車中で手にしたトランプ・カード。ハート、ダイヤ…キング、クイーン…。4つの組、そして小さくなっていく数字。それは…最新「元素周期表」付き。

感想・レビュー・書評

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  • ビルゲイツのおすすめ本として紹介されていたので、事前に何を得たいかなど無く手に取って読んでみた。
    この本は、化学と言うか科学の歴史物語になっていて、非常に面白かった。
    特に、古代から繋がる錬金術、賢者の石。欲望がモチベーションになってアレクサンドリア、南米、中米、中国、インドと同時期に進展していた事や、アラブ、ギリシア、ヨーロッパと物理学が発展して行った事や、宗教心からの科学の探究が進んでいった事などなど。芸術や記憶術など所々で触れられるトピックは読んでいて飽きない。出てくる科学者たちの人間性についても触れられていて、メンデレーエフは髪がボサボサで癇癪持ちと言う事だけでは無く、それぞれの科学者のキャラクターを表現しているところなんかは、子供向け科学の歴史マンガを彷彿とさせる。また、優秀な女性として科学者を支えた奥さんの話もいれたり、ある科学者の特性から大昔の科学界の女性排除の遠因にも触れられていたり、純粋科学だけではなく、文化的な背景などについても触れられており、広範囲に知識が得られる良書だと思う。

    本の題名にあるメンデレーエフの話は最後の最後に出てくるので、メンデレーエフいつ出てくるんだ?と言う感じになったり、序盤を読んで本の題名としては、『錬金術師と賢者の石』みたいな方が本としては売れそうとか思ってしまったが、元素周期表のフレームワークが作られるまでの歴史を総合的に読ませる点と、それを作った人を讃えると言う点において、かつ同時期に発見した人についても触れられていたりするのをトータルで考えても、この題名なんだろうなと言うのが読後感。

    ちなみに、ChatGPT(https://openai.com/blog/chatgpt/)という平たく言うとAIに質問をしてみたら、以下のような会話ができた。技術の進歩はすごいな。

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    Q. 元素周期表を作ったのは誰?
    A. 元素周期表は、19世紀に、ヨハン・ドイツ人の化学者であるダニエル・ライプニッツが作ったとされています。彼は、様々な元素を調べて、それらを比較することで、それらの関係を理解しようとしました。その結果、彼は、元素をその原子番号の順に並べた表を作成しました。この表が、今日私たちが知っている元素周期表です。

    Q. それより前に、ロシア人の科学者がその原型を論文で発表したって聞いたことがあるんだけど。
    A. そうですね。その前に、ロシアの物理学者であるダミートリ・メンデレーエフが、1869年に、原子番号を基にした元素の整理表を発表しました。この表は、その後、ライプニッツがさらに発展させることになります。

    ライプニッツは、元素を原子番号の順に並べた表に、それぞれの元素の物理的性質や化学的性質を加えました。その表を元素周期表と呼びます。ライプニッツの元素周期表は、今日まで大変有用であり続けており、化学者たちが元素を研究する際に、非常に重要な役割を果たしています。

    Q. メンデレーエフとほぼ同時に論文を出したドイツ人の名前って知ってる?
    A. そうですね。同時期に、ドイツ人の化学者であるラインハルト・ダンニングも、元素の整理表を作成しました。ダンニングは、元素をその質量の順に並べた表を作成しました。この表は、今日でも一般的に知られており、「ダンニングの質量数列」として知られています。

    しかし、ライプニッツが作成した元素周期表は、ダンニングの質量数列よりも優れているとされており、より広く使われるようになりました。そのため、今日では、ライプニッツの元素周期表が、最も一般的に使われている元素の整理表とされています。
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  • メンデレーエフの功績を知りたいと思って読んだら、地球の科学の歴史の本だった。メンデレーエフは最期の23ページだけやん!

     個人的にには読みたいのと違った。

     ただまぁ地球の化学の概説を学ぶにはちょうど良い。いや、概説の割にはマニアックな科学者の名前が出てくるから、大学の化学史の授業用の本だね。

     一般人には向かない。

     でもおもしろいは面白いよ。



     この本を読んで科学史をどう教えればいいのか、なんとなくわかった。従来は「タレスは万物の根源は水だって言った人だよー。」と事実を教えるだけだった。それでは興味がモテないのは当然である。

     科学は塗り替えられてきたのが歴史である。

     「タレスはこの世がどう出来上がっているか、全く分からない時代に、海でできる雲と、山に降る雨と、染み込んだ雨水が流れる川と、川が流れ込む海を見て、すべては水の循環だという事実を見つけて科学的利用したのがすごい。世界の考え方を変えたからスゴイ。」と教えるべきなのだ。

     「考え方を変える=革新を生み出した歴史」を教えるのが科学史なんだな。

     そう思った。

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著者プロフィール

ロンドンに生まれる。ダブリンのトリニティ・カレッジで物理学・化学を学んだあと哲学に転向。作家としてのキャリアも長く、小説、歴史書、旅行記など数々の著作があり、サマーセット・モーム賞なども受賞している。数学、哲学、イタリア現代詩と様々な分野にわたって、大学で教鞭をとったこともある。「90分でわかる哲学者」シリーズはイギリスでベストセラーになり、多くの国で翻訳されている。哲学者シリーズの他に科学者や医学者を扱ったシリーズも刊行されている。

「2015年 『90分でわかるハイデガー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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