三国志 (13の巻)

著者 :
  • 角川春樹事務所
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感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (306ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784894560611

感想・レビュー・書評

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  • ついに読了。諸葛孔明の戦略が気持ち良く、癖になってしまいました。

  • これは本当に奥が深い!多くの視点から多くの人物を楽しめる。特にクローズアップされていたのが裏切りの連続で親殺しも関係なく無法者とされていた呂布の気持ちなど読んでいてよくわかる。池上先生のコミック「覇」にあるような荒々しい呂布とも違い男として時代を駆け抜ける彼の美しさに心震わされ、それに3兄弟の末弟として強さだけが誇張され続けた張飛の繊細さに心配り、そして人を愛する気持ちなどは彼が死ぬ時にすべて読んできた中の思いが一瞬で溢れてきて涙が止まらない!

    先日、北方先生の「黒龍の柩」を読んで山南と土方のお互いの見えない思いについて語ったが、やはりこの三国志も同様であって男性が読むには心を揺さぶるいい作品です。

    史実に沿った作品ではあるが、名前だけでしか知らなかった魏延・馬謖・姜維・王平・許褚・張遼・韓当・馬超などもっともっと知りたいと思える人物が本当にいた。話の中で作られた人物が何人も出てくるが、彼らがしっかりとサポートして史実上の人物をどんどんクローズアップさせていく。

    頭の中で多くのシーンがフィルムとなって映し出されたが一番は呂布の愛馬である赤兎馬が死に掛けた時に劉備の配下であった成玄固に赤兎馬の命を託すシーンなど今でも僕の勝手な映像として頭の中に残っている。

    元々は呂布の配下であった張遼。その後は曹操の勇将として知られるが、呂布軍の伝統を貫き闘志無敵の騎馬隊を率いる姿も忘れられない。やはり何度も言うが北方先生の作品を読むのはすべての先生の作品を読んだ一番最後が妥当だと思う。本当の漢達を読ませてくれます!

  • 一カ月かけて、とうとう読み切ってしまった。
    自分の長い旅が一つ終わりを告げた気分です。

    本当に面白すぎました。漫画を読んでいるかのようなスピード感でむことができ、テンポもかなり良かったです。一つ一つのシーンが漫画の一コマのようで、少し文字を読むだけで情景がとても想像しやすく、それがテンポの良さを生んだ大きな要因だと思います。

    北方謙三の三国志は、大きな国がどうなるかと言うよりも、1人の人間、男の人生がどうなるかを中心に書かれており、世に名を知らしめる天下の武将とて、一人の人間で一人の男。怖いものは怖いし、女は好きで酒も好き、そして女房は怖い。それは今も昔も変わらないのでしょう。男として産まれた以上、共にするしかない運命なのだと思えるようになりました。

    個人的には、大きく派手な戦もそうですが、後半になるにつれて、秋(とき)を待つことの辛さが目立つようになり、それはどれだけ辛いことかというのを心から感じました。劉備は特に、本当に自分が輝ける一瞬のチャンスを待ちに待ち続けました。人間というは、耐えることが1番辛いことだと私は思っております。前進も後退も逸れることも許されない、ただ待ち続ける。これができる人間はなかなかいないでしょう。待てるのかどうか、自分が輝く瞬間を信じることができるのか、それまで志を胸に生きる事は、今の世でもとても大切で、今の世に足りない要素なのかもしれないです。

    ヒヤヒヤしたのは、袁紹vs曹操の戦です。どちらが勝っても本当におかしくないと思いながら読み進め、袁紹が足元を掬われるかもなと思いつつも、戦がどう転ぶかまでは予想もつかなかったです。ここで曹操は散るのか…そう思いながら、曹操に肩入れして読んでいました。

    1番好きな武将は個人的な関羽ですね。劉備という兄はいますが、張飛という弟をしっかり面倒見る長男タイプで、長くじっと耐えながら、道理を説く姿がとても共感でき、そして強いのがとてもカッコよく好きでした。

    読んでから気がついたのですが、初めから呉、蜀、魏と分かれているわけではなかったことに気づきました。漢という大きな国が帝の周りを中心に腐りかけていたころに、数々の武将が蜂起した。日本でいうと室町時代から安土桃山時代のいわば、戦国時代のようなイメージで、言われてみれば当たり前です。物語が進むにつれそれぞれの領土が大きくなり、呉、蜀、魏となっていく。読む前は初めから呉、蜀、魏が常に争うものだと予想しておりました。

    そして、この呉、蜀、魏。つまり、孫権、曹操、劉備の考え方が本当に違いすぎます。全く違うことであり、どれも天下への道として正しい。そこがまたわかりやすく、どの思想に共感するかによって、この物語の感じ方も大きく変わってくると思います。

    本当にこの作品を読めたことは、自分の人生においてかけがえのない経験になる事は間違いないです。男の生き様を学ばせていただきました。本というのは無限の可能性がある。読書という行為がどれほど楽しい事であるかを認識できました。次は、大水滸伝シリーズです。水滸伝は読了済みなので、楊令伝、岳飛伝をまた読みたいです。

  • 孔明対司馬懿。司馬懿さんマジドM。
    最後のシーン。鉄は何のメタファーだったのだろうか? 自分にはよくわからないかった。が、三国志の時代、劉備や曹操、関羽に張飛に他の英雄達が後の時代に残したものがあるとすれば、赤子の頭ほどの鉄、のような質と形状のものだったんではなかろうか。そのイメージは、すごくしっくりくる。
    そして、北方謙三はそれをこう加工した。鉄をどう捉え、何に使うか。あとは個人個人の問題だろう。

  • 8ヶ月がかりくらいで、北方三国志読み終えました。
    五丈原でおしまい。
    関羽の死以来、毎巻の最後で重要人物が死んでいき、孔明が大トリということになる。
    だれの死も印象深い。
    三国志の後半をこういう風に演出するのか、うまいなあ、と思う。

    たしかに三国志の前半は、だれがどう描いても面白い。
    演義だろうが正史だろうが、桃園の誓いから始めようが歴史論文的な時代説明から入ろうが、どうやっても面白い。でもそれは赤壁までぐらいで、関羽が死ぬあたりからは、暗いし、だれる。だから読むほうも気合が入らない。
    今までの私がそうだった。
    それをこういう書き方でテンションを保つか。うまいなあ。

    毎度小便を漏らす司馬懿がすっかり好きになったので、この後が読みたいようにも思うが、まあここでやめておいた方がいいんだろう。

  • 読了。う~~~む。諸葛亮孔明の死をもって全十三巻終了か・・・。現在いまなおあの広大な中国の地で、それこそ開発という現代版戦国期を迎えてると思う。成都にでも旅行したくなった。ああ中国、されど中国。

  • これは司馬懿の話も書かなくてはならないだろう、北方先生。超越的な域に入った孔明、理想と現状がせめぎ合う呉、曹丕の死によって苦しみながらも上を見るようになった司馬懿……。続編が読みたい!

  • 三国志読了です。
    夏のはじまりからゆっくり読み始めました。

    なんだか、読めば読むほど登場人物に感情移入するのに、読めば読むほどみんな散っていくという…。二律背反? 違うか。
    はじめのほうの巻の帯のあおりが、どんどんきいてきました。

    死に場所を見つけられることは、ここが自分の生き場所であるということだからな。
    でも呂布が死んだときとか、関羽や張飛が死んだときは、あああ……ってちょっぴりブルーになってました。
    ん、まあな。みんなみじめではなかったので良しとする。状況がそうだったとしても、生きざまはそうではなかった。


    北方さんのインタビュー(三国志特集ではなく、対談集だったかな)で、“美しい”でも、“綺麗”でもなく、「“いい”赤」っていう、主観で語られた言葉の使い方をしたい…というふうなことを書かれていました。
    それを、劉備が死ぬ間際のシーンで思い出した。

    ぐずぐずしてて漢らしくないよ! と思ってたら、いい眼をして死んだ。



    途中名前がごっちゃになりかけながらも、見返しみながらならダイジョウブ。漢字だし。

  • もうどの巻にどんな内容が書かれたかわからないから
    コメントしずらいんだけど・・・

    でも本当に好きです!!
    歴史の流れは大きく、抗いがたい気がするけれど
    しかしそれは人が作っていくものなんだなぁ。

    登場人物が素敵です。

  • 最後の舞台は五原丈。孔明が亡くなった所で、「北方三国志」は幕を閉じます。北方さんの描く孔明は「演義」で見られるスーパー軍師とは全く違い、人間的に弱い部分をたくさん持った軍師でした。それがまた良かったと思います。

    そして、馬超の視点から語られる最後の文章が印象的。

    長いように感じられる「北方三国志」ですが、読み始めると本当にあっという間です。これまでの「三国志」に飽きている人には特にオススメです!

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著者プロフィール

北方謙三

一九四七年、佐賀県唐津市に生まれる。七三年、中央大学法学部を卒業。八一年、ハードボイルド小説『弔鐘はるかなり』で注目を集め、八三年『眠りなき夜』で吉川英治文学新人賞、八五年『渇きの街』で日本推理作家協会賞を受賞。八九年『武王の門』で歴史小説にも進出、九一年に『破軍の星』で柴田錬三郎賞、二〇〇四年に『楊家将』で吉川英治文学賞など数々の受賞を誇る。一三年に紫綬褒章受章、一六年に「大水滸伝」シリーズ(全五十一巻)で菊池寛賞を受賞した。二〇年、旭日小綬章受章。『悪党の裔』『道誉なり』『絶海にあらず』『魂の沃野』など著書多数。

「2022年 『楠木正成(下) 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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