いま、大学で何が起こっているのか

著者 :
  • ひつじ書房
3.73
  • (2)
  • (4)
  • (5)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 74
感想 : 8
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (151ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784894767690

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ブログを昨年頃から拝読していて、つい先日この本のことを知って手にとった。
    いまの大学、特に国立大をめぐる状況にはいつももやもやしているのだけれども、その始まりの頃からの文書や報道が紹介されていて、おさらいと、考える材料を得ることができたのでよかった。
    大学改革の話題って、不寛容な社会、というのと根っこのところでは繋がっている話だと思うので、もっと社会全体を巻き込んで議論できると良いよね、と思うのだが。みんな自分のことで忙しいから難しいかな。

  • 文系教員から見た今の(国立)大学。
    予算獲得に走るしかない大学についてや,日本文学の研究がいかに大事か,など。

  • 【新着図書紹介】推薦図書入りました。http://booklog.jp/users/tokyokaiyolibs

  • 国立大学の人文社会系教員がご自身のブログにのせた、国の政策や現在の大学が向かっている姿への問題提起を書籍化した1冊。
    国立大学から人文社会系が消えるかもしれないことや、本当に大学が目指すべきグローバル化とは何かということに、教員の立場から言及しています。

    大学は学生にとって「実」ではなく「種」を獲得する場であるということは、大学職員として常に心得ていたいことだと思いました。
    芽が出る種ばかりではないかもしれないけれど、多様で懐の深い大学という場で獲得した種の中には、その後の学生の人生において思いもかけぬ形で花を咲かせるものもあることでしょう。
    また、創造的であるには、適度な余裕と自由に使える時間が必要、つまり人にも大学にも「遊び」が大切であるというお話に共感しました。

  • 官主導で、文学部とか役に立っていない学部なんて、必要ないし、という強引な大学改革の動きや教育学部不要論、東大などでの軍事研究Okの動きなど、なかなか見えにくい大学改革の流れを解説する復数の論考をまとめたもの。

  •  国は「国立大学に教員養成系、人文社会科学系の学部は不要で廃止するか他分野への転換に取り組むべき」といい、内閣府の産業競争力会議が「大学改革」を唱える。貧すれば鈍するとはまさにこのことで、ただでさえOECD諸国なのかでは極端に少ない高等教育・研究関連の予算をさらに減らしながら、成果を出せという。著者は言う「革新的イノベーションは、どこからやってくるか予想が付かないから、革新的なのである。逆に言えば予測可能な範囲内にある成果は、革新的とは言えない。だから限られた予算を有力な分野に振り向けるという戦略は、短期的には成功するかもしれないが、長期的には失敗する」。
     大学ついて、著者は「何かをしなければならないという強い責務がない状態は大事だ」とし、かつては「モラトリアム」の名の下に批判されたが、いまや「猶予期間」の大事さを思う、と書く。「学生にとって大学は「実」を結ばせる場ではなく、「種」を獲得する場である」。いちいちがもっともの話であった。

  • 大学を取り巻く状況はかなり良くない。著者の主張はとても正論だと思うが、刺激的ではない。それだけで支持されにくい。

  • 流れにまかせてFD関係の仕事をしているが,FD推進の名の下に多くの間違いを犯しているのかも知れない。立ち止まって考える余裕をもちたい。

全8件中 1 - 8件を表示

著者プロフィール

名古屋大学大学院人文学研究科教授
著書に『プライヴァシーの誕生 モデル小説のトラブル史』(新曜社、2020)、『文学の歴史をどう書き直すのか 二〇世紀日本の小説・空間・メディア』(笠間書院、2016)、『ジャパニーズ・アメリカ 移民文学、出版文化、収容所』(新曜社、2014)などがある。

「2023年 『なんで日本研究するの?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

日比嘉高の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×