ジョン・ケージ 混沌ではなくアナーキー

著者 :
  • 武蔵野美術大学出版局
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784901631891

作品紹介・あらすじ

ジョン・ケージの音楽作品を音楽学者ならではの鋭い視線で分析。同時に、ブラックマウンテンカレッジやストーニーポイントなど、ケージと友人たちが生きた場所と時代—いつ、何処で、誰と誰が出会い、音楽を奏で、幸福なハプニングが生まれた—その瞬間を克明に描き出す。巻末には、初演者情報など、ケージの作品352曲(全作品相当)の作品表を収録。ケージ作品の全容をこれほど詳細に文字化した書籍は本邦初。2012年に、生誕100年をむかえるジョン・ケージのたぐいまれな才能とアナーキーな精神に刮目せよ。

感想・レビュー・書評

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  • ケージの面白さを「あの手この手で」伝えたいという著者の気持ちがよくあらわれており、概念的、美学的な問題に終始せず、作曲のための様々な手順などより具体的なところから掘り起こしていきたいという意図がよく現れている。ケージの作った芸術的コンミューンがケージの音楽の根幹に関わるものだという指摘は重要だ。(柿沼敏江)

  • 佐々木敦「「4分33秒」論」つながりで。/ジョン・ケージが影響を受けたクーマラスワミーの著作に当たってみたい。/マルセル・デュシャンのための音楽、のフレーズの切れ目ごとに入る休符、ソナタとインターリュードも、適宜休符が挟まれることで静かな印象。/「4分33秒」についても、「信じてもらえないかもしれないが、チャンス・オペレーションズのチャートを使って長さを決め、一つ一つ沈黙を繋いで曲を書き上げた」とケージは語る。/連続性が破壊された、ブーレーズのピアノ・ソナタ第2番が与えた衝撃。/ストーニーポイントでの暮らしは、キノコへの熱狂、ガラスで作られた部屋の開放性、権力支配からかけ離れた芸術家コミューンの形成をもたらし、ケージの音楽の根幹にかかわっていた。/ケージ「わたしは聴く人になったのである」/「自らを落ち着かせ、静めるために」作られた彼のあらゆる作品は、何かを語りかけようとはしない。それらを見聴きする人を穏やかで静謐な気分で満たすところに、最大の美点がある p.216/「サイレンス」「月曜から一年後」でエッセイやレクチャーを埋め尽くす小噺は一つのページであっても特定のテーマに沿って並んでいるのではない。

  • ジョンケージがどのような思想で作曲をしていったのか、また誰の影響を受けたのかなどがよくわかる。

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著者プロフィール

音楽学者、音楽評論家。武蔵野美術大学教授。著作に『ジョン・ケージ 混沌ではなくアナーキー』(武蔵野美術大学出版局、第20回吉田秀和賞受賞)、『すべての音に祝福を』(アルテスパブリッシング)、編著書に『音楽論』(武蔵野美術大学出版局)、共著に『はじめての音楽史』(音楽之友社)、『武満徹音の河のゆくえ』(平凡社)、『キーワード150音楽通論』(アルテスパブリッシング)など。NHKラジオにレギュラー出演し、朝日新聞で音楽会評を執筆している。

「2024年 『音楽評論の一五〇年 福地桜痴から吉田秀和まで』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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