あかいえのぐ

  • 瑞雲舎
3.86
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本棚登録 : 129
感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (48ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784907613013

作品紹介・あらすじ

サラとサイモンのお父さんは画家です。美しい絵を描くのですが、なかなか売れません。家族は貧しい生活をしていましたが、助け合って仲良く暮らしていました。ある日、とうとうお金がなくなってしまい、傑作を仕上げるための赤い絵の具を買うことが出来なくなってしまいました。サラとサイモンは、どうにかしてお父さんを助けようとしますが…。ふたりの子どもたちの健気な奮闘ぶりを描くアーディゾーニの名作絵本。本邦初訳です。

感想・レビュー・書評

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  • 本邦初訳のアーディゾーニの絵本。
    O・ヘンリーを彷彿とさせる温かい作品で、ややベタな展開とも言える起死回生のお話。
    だから言ったのに・・すぐ泣くからやめなさいってば!と自分に突っ込みを入れながら読んで、そしてやっぱり泣いた。。。

    「赤い絵の具」というのは、絵描きのお父さんが描き続けている「傑作」の、最後の刺し色。
    この一色がどうしても手に入らなくて、東西奔走するふたりの子どもたちが描かれる。
    そして、それはなかなか上手くいかない。
    なぜ一本の絵の具が買えないのかというと、赤貧洗うが如しの貧しさなのだ。
    スポンサー(後ろ盾)のない画家さんの厳しい現実が、最初から何度となく語られる。

    夢を追うのは素晴らしいことだけど、家族まで巻き込んでいいの?
    子どもたちにまでこんなことをさせていいの?
    というつまらない教育論はNGなのです。
    何故なら、ふたりの子はそれは幸せだから。
    一部屋に住んでいる五人家族。
    いつも同じ空気を共有して生きている。
    毎晩ワクワクしながら、「純と蛍」のように階段の上で寝る幼いきょうだい。
    お父さん・お母さんの手伝いをする誇らしさ。
    家族の役に立ちたい、喜んでもらいたいという素朴な願いを、今どれほどの子どもたちが持っているだろう。
    『幸せはお金では買えない』などと口で言うのはたやすいが、私たち大人は真剣にそれを伝える努力をしてきただろうか。

    淡いオレンジとグリーンのページが交互にあらわれ、アーディゾーニの線画が家族の表情までも上手く描き分けている。
    絵が売れるようになって別荘を建ててもなお、ここが大好きだからと一部屋のアパートに住む家族に、胸が熱くなる。
    79年に亡くなられたアーディゾーニさん、ご存命でしたらきっとファンレターを書いたワタクシです。
    48ページと長めで、約12分かかる。先ずは大人からどうぞ。

  • 月刊MOEの1月号の星座占いに、「あなたに贈る絵本」というのが載っていて、自分の星座でオススメされていたのがこの本でした。
    作者の意図するところはよく分かる。子供たち愛おしいし、絵もお話も優しくて、優しい人しかいない世界。
    そこに感動するべきなのはすごくよく分かる。
    けど、やっぱりひねくれ者の自分としては、『なんじゃこの親は?!』、『お金がないの分かってるのに子供に絵の具買いに行かせるな』、『三人目は絵が売れてから作れ』、とか思ってしまうのです。
    きっとこの子供たちは最終的にお父さんの絵が売れなかったとしても助け合って幸せに暮らしていったのでしょう。
    ……それでいいのか、父親ーー!母親ーー!と叫びたい。
    でもたぶん心のきれいな人が読んだら感動する絵本なのです…。

    • nejidonさん
      erierierinさん、こんばんは(^^♪
      どうしよう・・
      私、別に心が綺麗じゃないけど、すごく感動しました。はい、好きなお話です。
      ...
      erierierinさん、こんばんは(^^♪
      どうしよう・・
      私、別に心が綺麗じゃないけど、すごく感動しました。はい、好きなお話です。
      世間一般の尺度とはまるで違う幸せを手に入れたひとたちのお話なので、
      これで良いと思うのですが。。。。すみません。
      2021/01/19
    • erierierinさん
      nejidonさん、おはようございます(^-^)
      いえいえ、もうこれは絶対nejidonさんのように受け止めるべき作品だと思います。
      私のよ...
      nejidonさん、おはようございます(^-^)
      いえいえ、もうこれは絶対nejidonさんのように受け止めるべき作品だと思います。
      私のようなツッコミは不要で!という作品なのは重々承知しているのですが、それでも言わずにいられないやっかいな性格で(^^;(^^;(^^;
      お目汚し、失礼しました(^^ゞ
      2021/01/20
  • 〝ある処に、熱心な画家がいました。画家には三人の子ども(サラとサイモンと赤ん坊のリチャ-ド)がいました。画家は、うっとりする美しい絵を描くのですが、なかなか売れず、家族は苦しい暮らしをしていました。 ある日とうとう、お金がなくなってしまい、傑作を仕上げるために必要な「赤い絵具」も買うことができなくなってしまいます。サラとサイモンは、どうにかしてお父さんを助けようとするのですが・・・〟 家族を救おうとする子ども達。その健気な奮闘ぶりにほだされる<E.アーディゾ-ニ (1900-1976)>の名作絵本。

  • 「チムとゆうかんなせんちょうさん」に出会ってからアーディゾーニのファンの私にとっては素晴らしい本。

    毎日子どもに読みたい。

  • 絵描きの父親と貧しくも明るさを失わない子どもたち。
    親切な大人と意地悪な大人。

  • 売れない画家の父さんが、あと少しで傑作を完成させられる。でも、赤い絵の具が足りないーー。貧しい家庭で暮らすサラとサイモンがは、なんとかして絵の具を手に入れようと懸命にがんばっていく。社会の厳しさと人の温かさにふれられる作品。二人の懸命な姿と、二人に手を差し伸べる大人の姿に感動する。

  • 売れない画家のパパと、けなげな子どもたち。
    子供たちが工夫して家族を支えようとする描写や、明確なプロットが魅力的。
    アーティゾーニの作品では、しばしば主人公たちが困窮するけれども、貧しさの辛さというものが、ソフトに、簡潔にだけれどもきちんと描写されているのが貴重。

  • きれいな絵を描くけど売れなくてお金がない画家の子どもたちはおとうさんが傑作を描くために必要な赤い絵の具を買いにいくのだけど…

  • 2017年11月19日に紹介されました!

  • 絵描きの家族の大変さ。
    姉弟の懸命な努力が微笑ましい。

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著者プロフィール

エドワード・アーディゾーニ(1900~1979)1900年ハイフォン(現在のベトナム)生まれ。5歳の時イギリスに渡り、14歳まで東海岸のイプスウィッチで暮らす。高等学校卒業後、勤めのかたわら、ウェストミンスター美術学校の夜学で学ぶ。第二次世界大戦中、従軍画家として活躍。自分の子どもに絵本を書いてあげたことがきっかけで、絵本と児童書の挿絵の仕事に専念するようになる。主な絵本にケート・グリーナウェイ賞受賞の『チムひとりぼっち』(偕成社)、挿絵にエリナー・ファージョン短編集『ムギと王さま』(岩波書店)など多数ある。

「2021年 『詩集 孔雀のパイ 改訂版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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