ハリー・ポッターとアズカバンの囚人 (3)

  • 静山社
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  • Amazon.co.jp ・本 (576ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784915512407

感想・レビュー・書評

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  • これも映画先行で、はっきり云って映画の出来は今までの中では一番落ちると思った。というのもクライマックスの対決にヤマがないなと感じたからだ。
    映画はそういう感想だったが果たして小説ではどうだろうか。

    ハリー・ポッターシリーズの最大の特徴は何といっても最後の対決シーンで明かされる真相である。それらは常に驚きを与えてくれていた。
    1作のハリーを襲った犯人、2作目の怪事件の犯人しかり。しかもそれらがかなりショッキングな驚きを持っていたために印象強く残っているのだが、今回は題名にもあるアズカバンの脱走囚こと、シリウス・ブラックのハリーへの襲撃とシリウスがアズカバンに収容されることになった過去の事件の内容に焦点が置かれている。

    シリウス・ブラックがヴォルデモートの手先であり、ハリーの父親を殺害するのに手を貸したという過去の事件の真相は、またも英国本格ミステリらしいミスディレクションで今回も堪能できた。特に今回はロジックがひっくり返るというところに力点があったように思う。

    この作者が巧いなぁと感じさせられるのは、巧みに事実の断片を散りばめていること。読者の思考を勘違いさせる方向へ持っていくその手腕は今回も健在で、映画で真相を知ってても、あれは幻想だったのかと錯覚を及ぼすほどの力がある(例えばシリウスがアズカバンで寝言で「奴はホグワーツにいる。殺さねば」なんて台詞もハリー以外の誰かを指しているなんて思い出せなかった)。
    恐らく世の少年少女、ファンタジー好きの大人は作品に出てくる面白い道具、授業、空想の動物などに興味を持っているのだろうが、私はこの作者のミステリ・マインドに大いに興味があるのだ。

    ロジックに力点があった点、最後の対決、クライマックスシーンはなんとも薄味だという気がするのは、やはり映画で観たとき同様であった。
    ハリーが死力を振り絞って戦う相手が吸魂鬼(ディメンター)なんて大いに不満である。最初から出ているサブキャラでしかないし、守護霊を呼ぶ高等呪文が出来た根拠も一回やったから出来たなんて薄弱すぎる。作者によい理由が生まれなかったのが明白だ。
    そして難問をタイムスリップして過去に戻ってから解決するのは非常にアンフェア、いやミステリ作品ではないので非常に浅慮だ。これだと何でもありになってしまうからだ。
    作者はタイムスリップ中は誰ともあってはならないなんて制約を持たせることで一応常用性が低いことを訴えているようだが、それもまた空しい響きである。

    とまあ、やはり今までのクオリティ、特に第2作の複雑さに比べるとご都合主義が散見されて、評価自体も低くなってしまうのだが、本作には1つ特徴があることも忘れてはならない。

    1・2作で設定していたキャラクターを大いに活用し、しかもその1つを敵役にしている点。これはシリーズ小説の強みだが、よほど注意して書かないと矛盾を起こす恐れ大なのでかなりの技巧がいる。ハリー・ポッター世界を彩るだけの設定で設けていたであろうキャラクターが今回は実に有機的に働く。この辺のカタルシスは堪らなかった。

    暴れ柳の理由、スネイプがハリーを目の敵にする理由も今回明らかになるのだが、しかし何といってもやはりロンのペット、スキャバーズの正体が白眉。この設定は実に天晴だと思う。
    ウィーズリー一家がこのネズミを飼いだして12年かどうかは1・2作を読み返さないと判らないが、これに持ってくるのがすごい。今回の隠れテーマである『動物もどき』を思いついた時点での創作かもしれないが、素直にびっくりした―ただ不満なのはハリーの父親の獣化が牡鹿だったこと。蛇語を話す因子として蛇かなと思ったのだが当てが外れた。作者が別の納得のいく設定を考えていることを期待したい―。
    こういう過去の設定の消化が始まると、物語も1作ずつではなくシリーズとしての動きを感じるので大いにこれからも期待したい。

    • papriikaさん
      「過去にもどる」というのは、どうにも扱いが難しいものですね。
      「過去にもどる」というのは、どうにも扱いが難しいものですね。
      2021/10/23
    • Tetchyさん
      papriikaさん、コメント有難うございます。タイムスリップ物は扱いや条件をきちんと設定してないと失敗してもOK!みたいな感じになっちゃい...
      papriikaさん、コメント有難うございます。タイムスリップ物は扱いや条件をきちんと設定してないと失敗してもOK!みたいな感じになっちゃいますよね~。
      2021/10/24
  • やっぱアズカバンが1番面白いな。あとシリウスかっこいい

  • 3作目やし長いし前半魔法の授業風景が全く想像がつかなくて飽きちゃうかもと思いきや❣️ワァーォ両親との繋がりやらネズミ ネコ イヌっても〜ぅ!狼人間って前半の魔法の授業風景も後半に繋がっててアズカバンが1番おもろいやんって感想になりました。

  • とっても面白い。
    ハリーポッター嫌いだわ。おもんないし魔法とかファンタジー無理。 からの
    あ~。ちょっと面白い気がする。以外と偏見なしで見たら面白いね。 からの
    本最っ高に面白いやん!!!! 

  • シリウスとリーマスという、ハリーの父ジェームズの親友にして人気キャラクターの登場巻。
    ポッター一家殺害事件の真相にどんどん迫っていくところが面白い。


    <新用語>
    ・ホグズミード
    ・ナイトバス
    ・ディメンター
    ・スニーコスコープ
    ・アニメーガス
    ・タイムターナー
    ・秘密の守人
    ・姿現し
    ・姿くらまし

    <伏線回収>
    ・暴れ柳が植えられた経緯 (←『秘密の部屋』)

    <伏線>
    ・勝手に動く馬車(5)
    ・赤い髪の男性に気をつけろ、と言われるパーバティ (トレローニー予言)
    ・魔法省で働くハリー(お茶の葉の占い)(8)
    ・予期せぬ大金(お茶の葉の占い)(4)
    ・ホグワーツ内では姿くらましと姿現しは出来ない
    ・ヴォルデモートがポッター夫妻を狙っていると教えたダンブルドアのスパイ (7)
    ・暖炉の日に向かってルーピンを呼ぶスネイプ
    ・狼人間のため就職が難しいルーピン
    ・狼人間に対する偏見
    ・トレローニー先生の本当の予言は2つになった
    ・ワームテールを救ったことの因果(7)



    <登場>
    ・リーマス・ルーピン
    ・セドリック・ディゴリー
    ・チョウ・チャン
    ・デイビース (レイブンクロークィディッチキャプテン)
    ・ワリントン (スリザリンクィディッチチーム)
    ・モンタギュー (スリザリンクィディッチチーム)
    ・マクネア (バックビークの死刑執行人)



    <解明>
    ・ハリーの両親はヴォルデモートに狙われており、ピーター・ペティグリューを秘密の守人にして身を隠したが、ピーターの裏切りによってヴォルデモートに居所が知られ殺されてしまった。
    ・ルーピンが変身する日、シリウスがスネイプに叫びの屋敷への行き方を教えたが、ジェームズが引き留めに行ったことでスネイプの命を救った。

  • 映画で省略された部分が分かって楽しかった。今のところアズカバンが1番好き。

  • 言わずと知れた世界的ベストセラー、ハリー・ポッターに対して私がコメントしても仕方ないので、やめます。読書好きでこれを読んでいない人がいるとは思えないが、もし読んでいない方は、ぜひ読んでください。

  • 3階くらい読み返しました‼︎
    名付け親に会えてとっても幸せそうで嬉しくなりました♡
    沢山冒険して成長していく姿が楽しかったです!

  • シリーズ3作目。
    凶悪犯が脱獄不可能な刑務所から脱獄しハリーを狙っているという話。
    吸魂鬼がこわい。
    枝葉でいろいろなことが起こるが、それらを最終的には回収してめでたしに持っていくのはすごい。

  • シリウスが1番好きなキャラクター。かっこいい。

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著者プロフィール

J.K.ローリングは、記録的ベストセラーであり多数の賞を獲得した「ハリー・ポッター」シリーズの著者。世界中で愛読された本シリーズは、これまで累計5億部以上を売り上げ、80カ国語に翻訳された。8部作の映画は大ヒットを記録。著者は『幻の動物とその生息地』に着想を得て、『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』の脚本を執筆。この作品を皮切りとして、5部作の映画シリーズの公開が始まった。J.K.ローリングはまた、『ハリー・ポッターと呪いの子 第一部・第二部』の舞台も手掛けている。この作品は、2016年夏にロンドンのウェストエンドで初演され、2018年春にはブロードウェーでも上演された。2012年、J.K.ローリングはウェブサイト〈ポッターモア〉を開設。このサイトでは様々なコンテンツや記事、J.K.ローリングによる書下ろし作品を楽しむことができる。他、一般書『カジュアル・ベイカンシー 突然の空席』を執筆したほか、ロバート・ガルブレイスのペンネームで犯罪小説を発表している。これまで、大英帝国勲章、レジオンドヌール勲章、ハンス・クリスチャン・アンデルセン文学賞など、いくつもの賞を受賞してきた。

「2020年 『イッカボッグ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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