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- / ISBN・EAN: 4988013880900
感想・レビュー・書評
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2004年 日本
監督:崔洋一
原作:梁石日『血と骨』
出演:ビートたけし/鈴木京香/オダギリジョー/田畑智子/柏原収史/新井浩文/中村優子
先に告白しておきますが、オダギリジョー目当てで見に行きました(笑)。『アカルイミライ』のときは何とも思っていなかったのに、昨年の大河『新選組!』の斎藤一役で突如評価が変わりまして…私の並々ならぬ十数年に渡る斎藤一への思い入れも含めて、今いちおしの俳優さんです。
しかし、映画館を出るときにはすっかり映画そのものの重々しさに打ちのめされて、ぐったりしてました…。映画見た翌日くらいに日本アカデミー賞の発表とかテレビでも中継してたりして、監督賞、主演女優賞、助演男優賞といろいろ受賞してましたが、個人的にはそれも納得の大作、映画らしい映画だったと思います。
なんといってもやはり役者・たけしの存在感が圧倒的で…。けして台詞が上手いとかそういう役者ではないんだけれども、なんかあの暴力的で、狂人めいて、それでいてどこかしら憎めない人間の情みたいなものを感じさせるという部分では、ホント圧巻だと思います。
ミーハーな部分に移ると、オダギリジョーはやっぱりカッコ良かった(笑)刺青に腹巻きで広島弁のチンピラなんですけど、状況だけ見れば最低の人間でもおかしくない役を、彼が演じることでどうにも憎めなくなってしまうところが流石というか、それが役の上での父と息子の関係にも現れてしまってるというか。突然息子を名乗って現れた彼を、たけし演じる父親のほうは、日頃の暴君っぷりからすれば、ぶん殴って追い出してもいいようなものを、それができない。最後は雨の中での大乱闘に発展するわけですが、このシーンも他の暴力シーンと違って、どこか親子の愛情みたいなのを感じさせられてしまう。不思議な存在でした。
しかし個人的には、あまり話題にならなかったけど柏原収史や北村一輝の芝居も良かったので、もっと評価されても良かったのにと思いました。柏原兄弟はもともと兄のほうは岩井俊二の『Loveletter』以来のファンで、『マインドゲーム』も『アナザヘヴン』もそれで劇場で見たクチだったりするんですが、最近弟のほうの評価がメキメキ急上昇中です(笑)夢のような理想や詩ばかり語る青白いインテリ青年なんですが、彼にひそかな恋心を抱く田畑智子の不憫さもあいまって、なんとも「綺麗」な青年役でした。
女優陣も、前述不憫で可憐な田畑智子はじめ、鈴木京香はいわずもがな、個人的にはたけしの愛人になる清子役の女優さんがとても綺麗で大好きでした。脳腫瘍の手術のあと、ほとんど廃人のようになった彼女を、守銭奴のようなたけしが、それでも世話を続けていたところとか、非人間的な主人公の唯一の聖域としての彼女の存在が伝わって、この映画の中でもオアシスのような部分ではないかと思います。対照的なのは、彼女の世話係兼新しい愛人として登場する濱田マリ。個人的には彼女の大阪女のど根性っぷりは助演女優賞ものだったと思います(笑)
全体的に、役者陣の芝居に支えられた映画という印象が強かったですが、それってテレビの2時間ドラマで充分じゃないの?というような日本映画の多い昨今、映画であるべくして作られた映画というか、映画である意味のある映画でした。
(2005.02.17) -
映画もすごいが小説の方はより血なまぐさすぎて、夜眠れなくなります…
なんとも忘れられなくなる映画、こうも凄まじい生き方があるのか…
観たあと濃すぎてしばらく観たくなりませんが、なぜかたまに観たくなります。その都度レンタルしていましたがついに買いました。
映画はかなり荒削りですが脚本もよくまとめられていて、キャスティングはかなり良いです。
映画を観たあとに梁石日さんの小説を読む事をおすすめします。 -
得体のしれない凶暴なエネルギーで周囲のものを理不尽に攻撃しながら生きる父親の配役にたけしを選んだのはナイスキャスト。一人の人間に封じ込められている圧倒的な狂気。それを描くにあたってビートたけしという人のパーソナリティを利用したのは慧眼であると思う。たけしがキャストとして映画に出るとほとんどの場合は役というよりも"たけし本人"に見えてしまうが、この映画に関してはそれが良い方向に作用していると思った。
全体としてはかなり凄惨で心をえぐられるような話だったが、それでもいまいち真に迫るような迫力を感じなかったのは撮り方のせいかもしれない。絵面が淡々としているというかやけにカメラが引いていてお上品な感じ。いまいち「それが目の前で起こっている」という感覚がなかった。遠くで起こっていることだから観ていて辛くなったら気持ちを簡単に画面外に逃がせてしまう。なんだかNHKの朝ドラみたいな撮り方だった。過剰にドラマチックな撮り方をすればいいとは思わないが、それでも演出としてこの引き方が、この上品さが、プラスに働いているようには思えず。あえてこの撮り方をしたというよりこれで逃げているように感じてしまった。何かもっとば別の撮り方があったんじゃないかと惜しい気持ちになる。
些細なところだが、たけし演じる父親が豚の生肉を常温で野外に置いておきわざわざ腐ってウジが湧きはじめてから食うというオリジナル健康法(?)を行っている、という設定が良かった。当たり前だけどそんな食べ方は実際存在せず、作中のフィクションらしい。かなりキテる。不気味きわまりない。 -
2008年5月鑑賞。
戦後日本という時代背景に生きた、ある在日朝鮮人家族の辿る人生を色濃く映し出している。
主人公には全く共感できなくても、2時間24分飽きる事もなく観られるという意味では悪くはない。
正直、原作を読んでみないとわからないな。
と思ってしまった作品でもあります。 -
セットなのかわからんが、建物がすごく良い。人間の脂臭さが染み付いている感じが出てる。
主人公のキャラクターがとてもよかった。
胸中では何を思い、暴力をふるったり金を集めたりしていたんだろう?
主演のおじさんの言葉がもう少し聞き取りやすかったら星四つだった。 -
20代で見た時は、
なんて悪い奴なんだと思って見ていた。
あれから10年以上たち、改めて見てみると、
野心、肉欲、暴力、支配欲が持つ力を感じる。
市場の廃棄された野菜で作るスープ、蛆を沸かせ発酵させた豚肉など、生命欲の象徴たる描写が多く、またに欲を欲しがっている方にオススメ。 -
窓ガラスがよく割れる映画だ。
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2018/1/7鑑賞
ただただむごい映画だった…
在日の世界は独特で、これは極端なのだろうけど、こんな世界が普通にあったんだなーって。
ビートたけしはやはり演技がうまかった。
死と暴力が日常にある世界。
私なら気が狂うし、自殺が多いのも納得だな。