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- / ISBN・EAN: 4547462074386
感想・レビュー・書評
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ジャック・ニコルソンの演じる男の姿が面白い。
タイトルの『恋愛小説家』を職業にして優雅に独身生活を楽しんでいる。彼は異常なほどの潔癖症で外出時は常に手袋を欠かさない。外を歩くときには周囲の人物との接触を極端に嫌う。
通い詰めているレストランにもマイ・フォークとマイ・ナイフを持参する始末だった。そんな彼は職業に反して女性との交流が下手だった。
そんな彼が隣人のホモの独身男やレストランのウェイトレスとの交流が深まるにつれて人格に変化が起きてくる。そんな様子をジャック・ニコルソンのあの強面の表情が微妙に変化を観るのも楽しい物でした。
また、彼がそんな変化をもたらす最初の要因が隣人の飼い犬の世話を焼くことから始まると云うのも微笑ましい話でした。それにしても小型犬の‘バーテル’ちゃんの演技が素晴らしく思いました。
自己中心的な潔癖男、パニック障害の息子を抱えたバツイチ女、親との断絶生活の上破産したホモ男の三人に生まれた不思議な恋愛と友情を描いたハートフル・ドラマでした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ジャック・ニコルソンとヘレン・ハント主演の1997年米国映画。
人と上手く関われず、思った事柄をそのまま口にして他人を怒らせてしまう癖強めの売れっ子小説家メルヴィンをジャック・ニコルソンが演じる。
自分の感覚認識も上手ではない様子で終始イライラしながら、他人を遠ざける生活が続く。
加えて強迫性気質で自ら課した幾多のルーティンと汚染恐怖による生活の制限。
本当は困難と苦渋に満ちていながらジェームズ・L・ブルックス監督は憐れむべき対象としては描かない。
同監督で、ジャック・ニコルソンも出演する『愛と追憶の日々』でシャーリー・マクレーン演ずる過干渉の母親にも通じる描き方。
メルヴィンが不覚にも恋に落ちてしまうシングルマザーのウエイトレス キャロルも貧困を抱えているが悲惨さは過剰に炙り出さない。
不運な事件により生業を失った芸術家の隣人 サイモンの苦悩も本来深いものながらさらりと添える。
正義の物差しで白黒つけないジェームズ・L・ブルックス監督の演出が好み。
それにしても偏屈な中年男性の哀しみも面白さもジャック・ニコルソンが演じると天下一品。心の底に沈むプライドと儘ならない現実に身もだえ、本当は寂しさを感じる悲哀のバランスがいい。 -
オープニングで、近隣住人の飼い犬をダストシュートに入れるシーンで思わず笑ってしまった。
このヒト(ジャック・ニコルソン演じるメルヴィンね)めちゃくちゃじゃん!まさかのシャイニングを彷彿とさせる…ポップな演出か!?ていうのは考えすぎでした。
いや、病的な神経症的な演出がすばらしい。このシーンがあって後半どんどんイイ人に見えてくるんだからすごい。
毒舌家で潔癖症、自己中心的なイヤな男・メルヴィン。よく行くダイナーのキャロルにだけは素直になれる。
同じフロアーに住んでいる画家・サイモンが強盗に遭い、犬を預かることに。そしてメルヴィンは、サイモンが借金のために実家の両親に会いに行く旅の運転手を引き受ける。その旅にキャロルを誘うのだが…
いや~もうメルヴィンのいやなヤツっぷりがすごい。
ゲイのサイモンにもうすごくストレートに「お前のおホモだちは…」なんて言ったりするんだけど、メルヴィンだからもうしょうがないね~的に思える不思議さ。変人ぶりがここまでくるともう「しょうがないんだから」的に見せるすごさはジャック・ニコルソンだからか!?
イヤなやつを通り過ぎて「あ~あ~」的に見ることができるのは俳優力か!?
イイ話なんだろうけど…
思わず「キャロル~この人と付き合うのはやめとけ!」と言いたくなった。
ということも含めて…キャロルのママの言葉が深い!
「そんな(理想の)男性はどこにもいないわ!」 -
甘い恋愛小説で暮らしを立てているが、毒舌家で潔癖性。そんな中年男のメルビン(ジャック・ニコルソン)が、カフェで働くシングル・マザーのキャロル(ヘレン・ハント)に恋をした。
想いは募る一方なのに、口を開けば暴言ばかり。果たして偏屈な恋愛小説家にハッピー・エンドは来るのだろうか。
個性派俳優No.1のジャック・ニコルソンが、ヒネた中年男の心情をユーモアたっぷりに演じたヒューマン・ドラマ。
毒舌で潔癖症だけど恋愛には不器用で恋愛が何なのか知らないメルビンを演じるジャックニコルソンがこわもてなのに、初めての恋を成就しようと奮闘するのを見てやがてキュートに見える傑作ラブコメディ映画です。
野放図なワンちゃんやキャロルとキャロルの子供との関わりの中で、頑なな心が次第にほどけて少しずつ変化していくメルビンの成長(息子の病気の世話のために生活苦のキャロルのために一流の病院のケアを受けられるように世話したり、大怪我して崖っぷちの隣人の世話を焼いたりなど)、息子の病気の世話するのが生きがいだったキャロルがその心配をする必要がなくなり自分の本当の望みに向き合う変化、ボルティモアに旅行した時にメルビンが初めて本当の気持ちをキャロルに打ち明ける名台詞「良い人間になりたくなったんだ」、恋愛がくれる魔法についての傑作ラブコメディ映画です。 -
すごく良かった~ジャックニコルソンすごくいい!
強迫神経症で偏屈で嫌われ者の売れっ子恋愛小説家と、彼が通うレストランのウェイトレス、キャロルと、お金に困ってるゲイの絵描きの話。
最初はほんとにめちゃくちゃ嫌なやつなんだけど、話が進むにつれて、素直じゃないだけじゃん!ツンデレめ~!となってくる不思議・・・
途中でキャロルの子供の医療費を小説家が払うとなった後、「もう少し若い頃はいつも甘えられる男がいたのに」と言いながら泣くキャロルを見て号泣してしまった・・・
そして最後のシーンでキャロルの母親が言う「理想の恋人なんていないのよ」という言葉に超納得!そんな人いないよね・・・誰でも少しずつ許せないところとか色々あって、それでもこの人じゃなきゃって人がいるのだ、多分。
一番最後のシーン、パン屋さんのあかりがばばっと灯るところがすごく好き。 -
『結婚できない男』ってこれに影響受けてんのかな?(偏屈独身男と小型犬の組み合わせ)
ラブコメの定番ストーリーで結構楽しいのだけれど、劇中あまり活かされなかったロマンス作家設定にはもっと伸びしろがあると思う。 -
最初の印象が最悪なジャック・ニコルソン。でも次第に「こいつは神経を患ってただけで、悪いやつじゃないんじゃない」に思わせていく。このあたりはさすが名優。子犬やゲイの隣人(グレッグ・キニア)とのエピソードを絡めていくところも脚本の巧みさを感じます。
きわめつけは、彼が口にする人間味溢れる愛の言葉でしょう。"You make me want to be a better man"なんて名セリフすぎる! なるほど、恋愛小説家という設定がここで生きるのですね。 -
ジャック・ニコルソン演じる主人公、不器用だけど素敵でした。
開始5分で「あー、こいつ面倒臭い男だなー」ってすぐに分かるくらい変わり者なんだけど、見てるうちにだんだん応援したくなってくる。
犬とはすぐに心を通わせられたのに、大好きなキャロルにはなかなか気持ちを伝えられなくて、それを見ていてもどかしくなったりハラハラしたりするんだけど。
そこまで主人公に感情移入させちゃうこの映画はすごい。
人物設定もすごく好きです。
問題を抱えてるのが主人公だけじゃなく、みんながみんな何かに絶望したりイライラしたり、何かを克服しようとがんばってる姿は見ていて感動する。
例えばキャロルがお伽話に出てくるような欠点のないお姫様みたいな嘘臭い女だったらここまで映画に入り込めなかったと思う。ヒステリーを起こしたり時々欲求不満になったりする彼女だからこそ、見ている側も「そこで怒る気持ち、分かるかも」って思える。
ただの恋愛映画じゃなく、登場人物すべての人間臭さをちゃんと描いてるところがすごく好きです。
キャロルの母親の台詞に「普通の男なんていない」って言葉があるけど、その言葉どおり、普通の登場人物がいないところが魅力的な映画だと思います。 -
こんな男がいたら,イライラするだろうな。それでも愛が芽生えるというのだから,人間とは,男と女の関係とは,不思議なものだ…と思った。
売れっ子の恋愛小説家でありながら,私生活は「へんなおじさん」そのもの。高橋優くんの歌みたいに「道路を歩くときにはブロックを避けて歩く」。人の話には,いちいち直球の返事で答える。相手の気持ちをおもんばかると言うことは全くできない。
しかしある隣人の若者に起きた事件をきっかけに少しずつ変化していく主人公。でも,最後まで,ダメなんだよなあ。
ジャック・ニコルソンの演技がよかったなんて,そりゃそうだ。コメディーだな。
《NHKプレミアムシネマの解説を転載》
名優ジャック・ニコルソンが2度目のアカデミー主演男優賞、 ヘレン・ハントが主演女優賞を受賞。潔癖症で人間嫌いなのに人気恋愛小説家の独身中年男性と、シングルマザーのウエイトレスとの不器用な恋を描く大人のラブストーリー。 偏屈な男の心情をユーモアたっぷりに演じるニコルソン、お人よしでしっかりものの女性を演じるハント、ジェームズ・L・ブルックス監督のウィットとユーモアに富んだ演出が魅力的な恋愛映画の傑作。