- Amazon.co.jp ・電子書籍 (306ページ)
感想・レビュー・書評
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自分にとって初めてのカズオ・イシグロ。
ジェフベゾスがこの本を読んで、後悔しない考え方を身に付けた、ということを別の本や記事で知ってから読んだので、もうそういうテーマだという見方しかできなかったけど、いろんな考察の記事を読んで2度楽しめた。
物語が主人公の「語り」であるが故に、すごく静かにゆっくり進行するので、ちょっと退屈になりがち。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
イギリスの執事の回想。世界大戦の時代、イギリスとドイツそしてフランスとの関係性が垣間見られる。
旅の最後で執事がみた風景そして、執事であることをそこで初めて忘れ一人の人間としての心の声にぐっときた。 -
初めは高慢でいけすかないと感じた主人公から徐々に目が離せなくなる。歴史の時間に対し一個人の人生の儚さ。信じ切ることの美しさと愚かさ。人生とはなんと取り返しのつかないものだろう。自分の過ちに向き合い恥じて、そしてまた歩き出す最後の彼の姿にこそ品格を感じた。
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ノーベル文学賞という事で読んでみました。
私には難しいかと思いましたが、ちゃんと理解出来ました。イギリスのお話ですが、所々日本人っぽさを感じるような場面もあり読みやすかったです。
彼の目から見た日本が、良い国であれば良いなと思います。 -
思い出ばなし
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執事としての仕事に品格とやりがいを感じ、雇主にただひたすら尽くす。恋愛も自分の考えにも蓋をして…。
日々を回想する中で執事としてのプライドと自身を肯定しながらも、ミス•ケントの事や卿の最期のこと、自分の考え方に対しての自責の念を意識してたのかな。
桟橋で会った男の言葉からp.306「人生思いどおりにいかないからと言って、後ろばかり向き
〜」の部分はとてもグッときた。
最後、お堅い仕事内容の中でユーモアのある目標が見つかり、前向きな予感があり後読感をさらに良くしてくれた。
とても良かった。 -
ノーベル文学賞作家カズオイシグロ 原題 the remains of the day 執事スティーブが長年支えていた 英国の由緒あるダーリントン卿邸宅は 戦後米国人所有に。 オーナーから車を借り淡い想いを持ち 休暇旅行に出る。
昔の思い出は美しく華やか人生の終わり前のマジックアワー。 信頼できない語り手は何を語り何を語らないのか
執事の融通効かなさや恋愛への鈍感さの笑えます。 -
イギリスの執事の主人公が語り手として進んでいくストーリーは、時代背景や文化を知らない私にも情景が目に浮かぶようでした。個人的にはミス•ケントンとのやりとりが、素直になれない思春期の学生のようで微笑ましかったです。
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同じ作家を何冊か読むと、その作家との相性がよく分かる。カズオ・イシグロは好きだなぁと改めて思った。本作は30年前で出世作ということになるのだろうか。すでにこの頃から高いレベルの描写力をもっていたのだと驚いた。時としてストーリーの進まない小説は冗長に感じて苛立つのだが、カズオ・イシグロに関してはそれがない。だいたい、あまりイベントのない世界で、淡々と進むストーリーだが、飽きさせないのは風景だったり心象だったりの描写が匠で飽きさせないからだ。本作も言ってしまえば、居酒屋でおじさんが若者に昔話をしているだけのようなもので、大した話ではないのだが、話し上手で引き込まれた、という感じ。