恩讐の彼方に

著者 :
  • ALLVD (2012年9月27日発売)
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感想・レビュー・書評

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  • 菊池寛はね、もっともっと読まれていいと思うんだ。

  • 悪人になって人殺しを続け、最終的には憎い女を殺すか殺されるか・・・・・どっちかだと思いきや、まさかの穴掘りのお話だった。執念深く、罪深く、懺悔の意味を込めて揺るぎない信念があれば、人の心は動かせるんだなぁ。ほんとうに面白かった。

  • 昔読んだことのある短編だと、途中で思い出した。短いながら物語がまとまっている。犯した罪を悔いる意識のありようが生々しく描かれ、仏教との出会い、仏教による悩める者に対する救済がわかりやすい。

  • 土曜日の午後10時20分~

    朗読「菊池寛作品集」
    (「恩讐の彼方に」新潮文庫 1994年) 【作】菊池寛【朗読】青木裕子

    文章の美しさといい人物描写の確かさと良い、素晴らしすぎる。菊池寛がこんなに優れた作家だったとは知らなかった。私が知らない事ってたくさんある。これからもたくさんびっくりするだろう。それが嬉しい。

    こんな風に朗読できるようになりたいな。

  • シンプルで分かりやすかった。三人称だけれど人物の心情が端的に書かれているのでありのままに読んでも伝わってきた。
    「青の洞門」を僧侶主導で掘ったという史実はあるがそこに至るまでと開通までにかかった年数や人手はフィクションらしい。「青の洞門」という呼称が作中で使われないのは、出版された当時に浸透してなかったという理由もあるのではないか。

  • psycho-passというアニメでこのタイトルを借りたエピソードがあり、読みました。

    短くまとまったなかなか良い話しと思いながらも古い作品で、読みなれない字句はやっかいでした。i-padで青空文庫のデータをビューアーソフトで読んだのですが、字句をOS搭載の辞書で簡単に調べながら読むのは初めてでしたが、概ね快適で、こういう読み方もあるものだなと思いました。

    罪をそそぎ、恨みを乗り越えるというのは、オーソドックスでありつつ泣かせるテーマですね。槌を延々とふるう様が千回峰のような仏教で行われる苦行荒行を連想させないでもないです。

    時代が異なるのですが、夢も願いもかなわない、中島敦の「山月記」を不思議と思い起こしてしまいました。

  • 主人の妾と慇懃を通じ成敗されそうになり逆に主人を殺してしまう。自殺の覚悟を決めたがその妾にそそのかされて逃げる。
    その後も美人局、恐喝、ゆすり、強盗、殺人を繰り返す。

    犯罪の当事者ではない里人や石工などの気持ちの揺らぎや、最終的に市九郎を信じて協力したことなどは現実にもありそうですんなりと話が入ってきました。

    ただ、当事者(遺族)の立場になってくると‥。心の底から許せるものなのでしょうか?街道で命を落とした若夫婦の最後が思い出され(あのシーンにはそれだけ鬼気迫るものがあり心が痛みました)最後どうしても素直に感動できませんでした。
    市九郎を許せた実之助は本物の聖人だと思います。

  • すごく面白かった……面白かったという言葉よりも、引き込まれた、のほうが近いかもしれない。
    短い話のなかに、人間の心理の変化がみっちりと詰まっていたように感じた。

    読み終わって色々と考えてしまった。(恨みを抱いているものがあったとして、それに対して、物語終盤の実之助のようにできるだろうか、いやきっと自分は疑ってしまうからダメだ……とか)

  • .

  • 読みやすくいい話

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著者プロフィール

1888年生まれ、1948年没。小説家、劇作家、ジャーナリスト。実業家としても文藝春秋社を興し、芥川賞、直木賞、菊池寛賞の創設に携わる。戯曲『父帰る』が舞台化をきっかけに絶賛され、本作は菊池を代表する作品となった。その後、面白さと平易さを重視した新聞小説『真珠夫人』などが成功をおさめる一方、鋭いジャーナリスト感覚から「文藝春秋」を創刊。文芸家協会会長等を務め、文壇の大御所と呼ばれた。

「2023年 『芥川龍之介・菊池寛共訳 完全版 アリス物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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