山月記

著者 :
  • TRkin (2012年9月27日発売)
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感想・レビュー・書評

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  • 30分掛からず読了。新字新仮名。官僚としての才には優れていたが詩の才は至らず、かと言ってそれを認めるのを恐れ技量を磨くよりも世間と隔絶する道を選び自分の自尊心を守った末、虎になってしまったと。詰まるところ、才能ないのに努力もせず、ただプライドは高い。自分と重なる部分もあってやけに共感してしまった。

  • 高校生の時に読んで、久しぶりに読み返した。

  • 臆病な自尊心と尊大な羞恥心。

  • 高校生の頃に読んで本当にハマった一作。
    これを読んで、自分もまさに李徴だ!…と思う凡人は多いんだろうなあ。李徴は少なくとも才のある人間ですが、世の多くの「自称李徴」は何一つ秀でているものがないのに自尊心ばかり肥え太らせているのだから李徴より始末におえない。

    山月記の見所は虎にも人にもなりきれない李徴の悲哀、胸を裂く苦しみと取り返しのつかない後悔。これが胸を打ち、共感し、堪らなく好きな描写。
    名文である「臆病な自尊心と尊大な羞恥心」の下りも好きですが、最後に妻子のことを頼みつつ自嘲するシーンも大好き。
    李徴はさすが博学才穎なだけあって、ちゃんと自分のことを分析して言語化できている。自分は何が駄目だったのか。どうすればよかったのか。
    …それがわかっているのに、こんな状況になってもまだなお正すことはできないことにグッとくる。「己が人間だったなら」ほんとにね….。

    そして何が悪かったのか、どうすればよかったか理解しつつも、虎に身を堕とした今となっては最も欲した望みも最早絶対に叶わない。もう取り返しのつかない絶望。どうすればいい?もうどうしようもない。
    是非、思春期に読んでほしい作品。

  • 随分と昔、それこそ学生時代に教科書で読んで以来の『山月記』を読んだ。
    『山月記』は物語のセットアップの段階のハードルが高くて、それこそ中国の地名や人名、そして聞き馴染みのない漢字の応酬に最初の数ページはウッとなってしまう。
    だが、あるラインを超えるとするりと意味が入ってきて物語の面白さに惹き込まれる。そしてその物語が語ろうとしているテーマに心をグサグサと刺されてしまう。
    自分も主人公の李徴のようにプライドだけ高くて、己は他人とは違うという思いだけはある。だが刻苦して磨いてこなかった。
    李徴の想いは自分も痛いほどにわかる。
    だが李徴は尊大な自分を抱えつつも最後の最後にそんな人生を反省し妻子への想いを吐露する。
    現代を生きる我々の視点からすると妻子のほうは堪ったものじゃないと思ってしまうが、それでも憐憫の情は覚える。
    忘れていたが、自分の中にも尊大な虎がいる。その虎とどう向き合うか『山月記』を読むことで、多少なりとも見えた気がする。

  • 高校の教科書で読んだ時には何も思わなかったが、それから四半世紀過ぎてから再読したら、涙が止まらなかった。
    これからは悔いなき人生を送りたいと思う。

  • 大人になってから読むと、李徴の言葉が心に刺さる。

    そして、いつ読んでも
    「時に、残月…」の一文がとてつもなくカッコいい…!

  • 高校?の国語で読んで以来20数年振り。
    あのときには不思議な話だな、くらいの感想しか持たなかったが。

    いま社会人十数年、子育ても十数年で染みる。

    やりたいことに、言い訳してやらないでいたり、自己意識を拗らせたり。
    いまにも通じるテーマだな。

  • 昔、高校の国語の授業で読んだ記憶がある。
    そのときは、読み流していたけれど、
    今、再読してみると深い。

  • 教科書の定番ですが、読んだ記憶が無かったので。
    自分自身を俯瞰で見られるようになる頃には手遅れになっていることがあるのだと思いました。

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著者プロフィール

東京都生まれ。1926年、第一高等学校へ入学し、校友会雑誌に「下田の女」他習作を発表。1930年に東京帝国大学国文科に入学。卒業後、横浜高等女学校勤務を経て、南洋庁国語編修書記の職に就き、現地パラオへ赴く。1942年3月に日本へ帰国。その年の『文學界2月号』に「山月記」「文字禍」が掲載。そして、5月号に掲載された「光と風と夢」が芥川賞候補になる。同年、喘息発作が激しくなり、11月入院。12月に逝去。

「2021年 『かめれおん日記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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