これからの「正義」の話をしよう ──いまを生き延びるための哲学 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • オーディブルにて通勤中に聞いたけど、集中力が途切れて話を見失いがちだった。
    各問題に対する賛成派反対派の論拠を列挙してくれるので、元々その問題に対して抱いていた、善いことのような気がするけど感情的に釈然としない、、、といったぼんやりした気持ちの理由が整理される感じが良かった。

  • 正義の基準とは何か、という問題に対して、所謂「最大多数の最大幸福」は数値化できない価値を考慮しないことが気になるし、一方、人に迷惑をかけない限り自由意思が全て、という考え方は、基準がないと言っているに等しくなる場合がある。ということで、やっぱり伝統的価値観(≒美徳)もあると認めないと、議論のための議論になって腹落ちしないよね、という話だと理解しました。途中、いろんな哲学者の考え方が出てきますが、うまく3類型にまとめてくれているので、頭の中に入りやすかったです。でも、もう一度読まないと正しく理解しているか自信がないですが。

  • サブタイトルに書かれている通りの哲学書です。しかも、近代哲学から現在哲学のハイブリッドなのできわめて難解で、よくわかりません。

  • 解ったような?わからないような?どちらが正しいのか?議論のための議論のようで私には、「哲学」は難解すぎる。

  • 構成として秀逸だと感じたのは、本書で取り上げるところの「正義」を議論するにあたり必ずしも歴史上の流れに合わせて解説をするのではなく、歴史上では行ったり来たりしても、議論の流れにあわせて過去の学説を説明しているところである。高校の倫理の時間では、"偉人と各人が説く哲学"を勉強する感じだったので、どうしても流れがわかりづらかったのだが、本書のような構成であれば少なくとも一つのテーマ(本書の場合は「正義」)について、流れや複数の考え方を理解しながら読み進めることが出来る。
    また、著者であるサンデル教授が支持する考え方(論理)が明示されるのがかなり後半になってからというのも非常によいところだ。こういった曖昧な「正義」を講義するに当たって、最初に自分の考え方を明示してしまうと、どうしても議論がYes/Noで二分されてしまうことになりかねない。そういうことを避けるためにも、あるいは読者(学生)に対して様々な視点を提供するという意味においても、自分の考え方を最初に声高に主張しないというのは、非常に理性的かつ理知的な態度であると感じた。


    本書を読みながら自分の信じる「正義」を考えてみると、「何が正義であるのか」ということは、どれほど理論的に精緻に積み上げて行ったとしても、個人的なコンテクストなしに判断することはできないように感じた。おそらく自動運転やAIなどがこれから起こすであろう社会的摩擦も、結局のところその問題が発生する社会的な文脈なしで正義を決めることなどできないのではないだろうか。技術は持ち込むことはできても、受容する社会は自分たちで作らねばならないのだ。


    一点、翻訳についてやや読みづらいところがあったのが残念。これは翻訳者の責任ではなく、この長大な内容、かつ参考資料が非常に多岐にわたる内容を過不足なく訳してあると思ったのだけど、翻訳物の弱みで日本語で似たような意味の差が取りづらいところがあった。具体的には後半の議論で「正義」と「正しさ」が並列出てくるところがあり、そこで意味が取りづらくなってしまった。原文にあたってないので、おそらく「正義」はJustice、で「正しさ」はcorrectness なのではないかと想像しているのだが、この部分に最初だけでも英単語を当ててくれれば、もっと読みやすくなったと思う。

  • 「能力の高い者は、能力の劣る者にくらべれば、幸福になるためにより多くのものを必要とするし、そのためには、より大きな苦しみを甘受する場合も多くなる。」

    多くの哲学的考えについて、著者のコミュニスト的批判が加えられた本。哲学的思考の有名どころ、たとえば、功利主義、正義論、について広く学習することができる。

    カントによれば、人間性は究極目的であり、それは意志により達成する事ができる。つまり、なんらかの目的を達成するための道具であるはずの肉体、精神、意志の適切な利用こそが、生きることの究極目的であるとする。

    ロールズによれば、才能や努力はそれが属する人だけのものではなく、公共のものである。つまり、誰かの成功によってもたらされる経済は、公共の財産であるべきだとする。無知のヴェールによる出発点の均等化はいいにしても、結果の平等すら求めるのは共産主義的考えに通じるのではないか。

    マーシャルによれば、同性婚を認めるかどうかには結婚の目的が大切である。結婚は生殖が目的であるのか、愛情の独占であるのか。各国によって”結婚制度”が作られた背景は違うので、同性婚が認められるべきか否かは、その制度設立時の意図に従うべきである。同性婚を認める場合には、制度設立の意図を変えざるを得ないが、時代とともにそれが行われてもよいと考える。

  • 「アリストテレスは死んでいない」、この言葉をたまたまテレビで聞いて哲学へと導かれた。最新の情報機器に触れる内、新しいことは良いことだと信奉していたようだ。しかしそれは善い生とはどういことはを示してはくれない。古代からのテーマは今なお生きている。それに気づいた今、時代を超えて先人に学んでいきたいと思う。

  • 見た目に比べてかなり中身はハード。

  • 相手が殺すことに同意している場合の殺人は非難できるか、ジョーダンが高額を稼ぐことの是非、格差是正措置としての入学基準補正の問題はどこか、同族や共同体に対する優遇はどこまで許されるかなど。とにかく考える題材になる。

  • いろんな虐殺について触れている場面で、アメリカ人のインディアンの虐殺に触れていなかったのが、アメリカ人らしかった。

    内容は、難しかった。

    人の考えをいろいろ聞いてみたくなった。

    電子書籍だから、ふとした折に読み返そうと思う。

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著者プロフィール

1953年、アメリカ合衆国ミネソタ州ミネアポリス生まれ。アメリカ合衆国の哲学者、政治学者、倫理学者。ハーバード大学教授。

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