青の炎 (角川文庫) [Kindle]

著者 :
  • KADOKAWA
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感想・レビュー・書評

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  • なんだかんだ最後まで無敵だった大門

  • 素晴らしかった。
    主人公の心情描写に心を引き込まれた。

  • 最後まで大切な人の幸せを守りたくて必死だった秀一。しかし彼の行動は決して誰のことも幸せにできなかった。

    彼の優しさ、事態をどうすることもできない無力さ、そして最後に誤った手段を選んでしまった幼さに胸が締め付けられる想いがした。


    決して許されない、間違った方向へ正義を向けてしまった少年。しかしながら、それを頭ごなしに非難できないほど、切なくやり切れない一冊。

  • 最後まで他人の為に行動した主人公だった。しかしその自己犠牲は、結果的に誰も幸せにする事が出来なかった事が哀しい。そしてその行動自体がする必要のなかった事であったということが何よりも救われない。それでも終始気高さを失わない姿勢に、強い感動を覚えた。

  • 17歳の淡く幼い思考は自分にとっても懐かしいものだった。許される殺人はあるのか、、、家族を守るため。その解決策が殺人しかなかったのか。ラストも家族を守るために。。。他に道はなかったのか。思春期ゆえの純粋な暴走はわかる気もするな。俺も小学生のころ、母親のオトコを殺してやりたいと思って方法をいろいろ考えたの思い出した(殺さなくてよかったw

  • 法律で裁けない、理不尽な暴力にどう立ち向かっていくのか・・・

    主人公が無慈悲な殺人鬼出ない分、苦悩や葛藤が伝わってきました。
    「自分」でなく「家族」を守ろうとするが故の葛藤と、それを乗り越えていく知略に酔いました

  • 貴志祐介氏の作品、2作目の読了。
    探偵役ではなく、犯人SIDEから見たミステリになっていて、しかもそれが狡猾な大人ではなくまだ幼さを残す少年の話で、それがまた面白かった。
    完璧な犯人像ではなく、少年らしいツメの甘さや態度+少年にしては冷静で頭脳明晰な所。それらが混在しているバランスの良さが全体的に伺えました。
    ドキドキしながら、最後まで一気に読めてしまった作品でした。

  • 新世界より→悪の教典からの青の炎。新世界よりはしばらく世界観から抜け出せないほど衝撃を受け、悪の教典はさくっと読めた。青の炎はまた違ったテイストで、こんなにそれぞれの本で違う読了感を残す作家さんもいるんだなと。貴志祐介さんの作品は、3分の1くらいまではあまり気が進まないまま読んでいるけど、突然止められなくなってしまう。有名な3作品を読んでしまったので、次は何を読もうかな。

  • 倒叙推理小説という小説の部類に入るようだ。
    通常は事件が起こり、警察あるいは探偵が捜査に乗り出し、犯人の行動や動機を推理して事件を解決すり。しかし、倒叙推理小説ではあらかじめ手の内やトリックを明らかにしておいて、それを警察や探偵の側がそうさを開始して事件を解決していく。という通常のミステリーとは逆の進み方をする。

    17歳の高校生である主人公が殺人を起こし、完全犯罪か。に思えたが、その犯罪が暴かれる過程、本書の結末と最高に面白かった。最初は文字が小さく文字量もかなり多かったので、読み切れるか心配であったが、毎日毎日読書する時間が欲しくてたまらないというのは久々の感覚であった。論理的で頭の良い感じの主人公というのが自らの姿と少し重なる部分があったのかもしれない。
    嘘を嘘で塗り固める。ここで止めれば。という葛藤。そういった心情が詳細に書かれているのも好きであった。
    初めて貴志祐介さんの作品を読んだが、これまで読んできた小説の中でも本当に面白いと思った作品であった。
    今、『新世界より』という本をストックしているが、今から読むのが楽しみである。

  • 思春期のあの頃、良い環境でなかった大人のみんなに読んでほしい。
    私も父親が良い人ってわけではなくて、今でこそ少し許せているけど、思春期の頃は本当にしんでほしいと思っていた。だから秀一の気持ちがすごいわかってとても辛かった。このくらいの子にとって家庭や学校は全てだから。秀一が悪夢を見るたびに、どうか実行に移したことすら夢であればいいのに…と何度も願った。もちろん犯した罪は重いけれど、この子が全てを背負わなくてはならないのだろうかと胸が苦しく切なかったです。
    きっと実行にこそ移さないけど家庭という逃げられない環境で辛い思いをしている子達ってたくさんいると思うので、その子たちのことを思うとさらに辛かった。

著者プロフィール

1959年大阪生まれ。京都大学卒。96年『十三番目の人格-ISOLA-』でデビュー。翌年『黒い家』で日本ホラー小説大賞を受賞、ベストセラーとなる。05年『硝子のハンマー』で日本推理作家協会賞、08年『新世界より』で日本SF大賞、10年『悪の教典』で山田風太郎賞を受賞。

「2023年 『梅雨物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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