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感想・レビュー・書評
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この本では、今のメーカーに「技術の押し売りをやめて、お客さんの問題を指摘、解決するような製品を作るべきである」と提言。ほぼその通りなのだが、一点だけ、この本の誤りを指摘しておきたい。その誤りとは、この本が、現在の日本のメーカーに技術力があると前提している点である。つい最近まで、日本を代表する電機メーカーに勤めていたが、その会社にはすでに技術力はない。非常に残念なことである。 ただし、それほど悲観的になる必要はない。この本では、技術なんかなくても、市場は作れると言っている。しかも、なかなかの説得力。技術はなくても大丈夫。会社を硬直化している設計プロセスさえ破壊すれば、日本のメーカーのスランプも解消できるのかもしれない。まあ、頑張ってくれ。
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地球上には、はじめ「道」はなく、人々の往来が増えたから「道」というものが結果として出来た、という括りの言葉が事業の 本質を突くかの如くで胸に響いた一冊。
冒頭の紹介文にも書かれていますが、物凄い調査量と膨大な経営学の論文に通ずる一方、飽くまで語り口は具体的かつソフトに 書かれており非常に読みやすくかつ濃厚な内容といえます。上期トップ5は硬い。
「新事業」や「大企業病」といったキーワードの間でジレンマを感じることがある ならば是非手に取っていただいて、そして本書を軸に語り合ってみたいと思わさせられ ます。 -
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【★★★☆☆】
「それ問題だと思っていたわ」と問題が解決してから思うことはないですか?
シャンプーのふた(押すとこ)に凸凹がついたときは目が悪い私はナイス発明と思った。それまでシャンプーを目の前に持ってきてリンスではないか、ラベルやおかんが「S」と書いたふたを確認していたのに。
こういうのを解決できるまでのプロセスを立てれるヒントがあればよいと思って読んだのが動機。
つまり、問題設定とそれを実行に移せれるよなにかを探すヒント。
この本は、近年韓国などの後進企業に押されている日本を立て直すべくメーカーを例に書かれているけど、別にメーカーを救う道を知りたいと思って読んだわけではない。考え方というのはどの業界にいても大事なもので私がいる業界にとっても大事。
自分にあてはまるところが限定され、学んだことはそう多くはなかったけどおもしろい本。
学んだこと
新しい市場を作るには、新しい文化、生活習慣、ライフスタイルの登場が必要
問題は発明の対象→問題の開発(価値観、文化のデザイン)こそがはじまりの「種」
問題は発見の対象という錯覚にとらわれるとひたすら外界ばかり見て自分が自分の価値観をどのようんに設定するかをおろそかにする→自分の理想とのギャップを正しくする -
思いやり、知らない人との新しい繋がり、自分の中のフィルター、まだ名前がないもの、そして、「地上にもともと道はない。歩く人が多くなれば、それが道なのだ」
これらの言葉を受けてフィルター(うろこ)が外せ
なければ未来はない。 -
早くも今年読んだ本の中ではベスト。ものづくり=技術という文脈で語られることが多いが、ものづくりの裏にはあわせて文化も開発されるべきなのではないか、という問題提起の話。
文化開発には4つのフェーズ=問題開発・技術開発・環境開発・認知開発があり、その中でも問題開発が最も大切。問題は潜在的に存在し、まだ発見されていないだけと一般には認識されているけど、実はそんなことはない。問題は誰かが問題提起しないと問題として認識されない、したがって開発されるものというふうに認識を改めるべき。
また問題開発というものがそもそも「企業の意図して管理する」というものとは全く反対の方向性でかつ偶然を含むもののため、その偶然をいかに必然的に作り出していくかという点が重要という話。これは今の企業組織の限界を表してもいる。問題開発のためのアプローチとして産官学の連携や地域との連携などが考えられる、という点は納得。
全体的に軽いタッチでしかも余談が多いため、長いが疲れずに読める。 -
優しくなくては、新しい市場はつくれません。/フランスのタイヤメーカー、ミシュランが、レストラン、ホテルのブックガイドを出しているのは、もともとは自動車旅行の文化習慣を広めるためだったこと。/奥さんの自転車にエンジンをつけてあげらばラクに買い物できるのでは、という優しさから生まれたホンダのバイク/暮らしの「文化的な差別化」/文化開発:世の中にまだないコンセプトから価値を創造する(本書のねらい)/何に価値を認めるか、という基準を突き詰めると、そこには科学とか技術とかを越えた人間の観念、まさに価値判断についての議論にならざるをえない/サーフィン。「板を使って波に乗れば面白いじゃないか」と思うこと、それを問題として意識するこ、問題として設定することが、ある地域は、最先進地域のポリネシアより、1400年も遅れた。/顧客が欲しがっているのはドリルではない、穴だ。/大組織では、現実に乖離した社会把握に水を差されることが間に合わず、どんどん社会と乖離していく傾向があります。「うちの会社では、とりあえずそういうことになっていますので」「ひとまずこういうことで行きましょうということで」「まあ、本当はこれではいけないのかもしれませんが」/自分が日々知ろうと思っている範囲の外にでて、知識を統合できる人が少なくなっている。/「最後に見知らぬ人と仲良くなったのはいつですか?」という問い。/書店で、時には、自分の関心分野とまったくかけ離れたところに足を運んで、新たな発見があることも。/魯迅の「故郷」より。”希望はあるといは言えないし、ないとも言えない。それは道のようなものである。地上にもともと道はない。歩く人が多くなれば、それは道なのだ。”