薬指の標本(新潮文庫) [Kindle]

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  • 小川洋子さんの物語に出てくる職業がいつも素敵で、標本室の事務職は特に憧れている仕事。時々読み返したくなって、レトロで秘密めいた標本室に想いを馳せてる。

  • 『薬指の標本』は、ちょっと村上春樹の世界観にも通じる印象。
    まずは「標本にする」という行為に着目したセンスには感心する。
    主人公の女性が、無意識のうちに危うい香りのする状況に入り込んでいく過程の、長閑な一方微妙に恐ろしげな空気感にの描出が秀逸と思う。

    『六角形の小部屋』も日常から繋がったちょっと不思議な異空間を舞台にしている点は共通。
    が、こちらの設定はややありきたりかな、という気はする。
    むしろ、男には窺い知れない、女性にとっての恋愛感情(が消長する瞬間)が作品に刻み込まれているところにドキッとした。

    いずれも小品だが、先を読ませる力はある。
    が、オリジナリティという点では今一歩であるようにも感じた。

著者プロフィール

1962年、岡山市生まれ。88年、「揚羽蝶が壊れる時」により海燕新人文学賞、91年、「妊娠カレンダー」により芥川賞を受賞。『博士の愛した数式』で読売文学賞及び本屋大賞、『ブラフマンの埋葬』で泉鏡花文学賞、『ミーナの行進』で谷崎潤一郎賞、『ことり』で芸術選奨文部科学大臣賞受賞。その他の小説作品に『猫を抱いて象と泳ぐ』『琥珀のまたたき』『約束された移動』などがある。

「2023年 『川端康成の話をしようじゃないか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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