経済学者の栄光と敗北 ケインズからクルーグマンまで14人の物語 (朝日新書) [Kindle]
- 朝日新聞出版 (2013年4月30日発売)
- Amazon.co.jp ・電子書籍 (432ページ)
感想・レビュー・書評
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正義とは、結局、お金で測った富の最大化である。
最近、お金のことばかり考えているせいか、特許が事業に貢献する権利でなはなく、利益を食いつぶす費用に見えてしまいます。案件を処理する時も、まずは放棄、から考えてしまいます。
たぶん、知財が役に立ったことを直に経験したことがないからだと思います。アップルvsサムソンのような華々しい出来事があるわけでもなく、淡々と権利化してしまっているのが現状です。
周り知財部の方々は、知財は大事、から考えが入ると思っているので、こんな逆の考えを持つ人間がいてもいいのではないかと思っています。それで、全体としてバランスが取られるのではないかと。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
いまだ市場万能主義の流れが続いてるように感じる。この本は最近の経済学者がどのように経済に対峙してきたかを、経済学者自身の個人史と合わせて説明している。だからか理論だけの本より体温が感じられて飽きずに読めた。
重要なポイントは「不確実性」のようだ。まだまだ実際の経済、というより人の営みを充分に観察しているだろうかと自問してしまう。
経済とは誰かのためでなく、そこに生きる全ての者のためにこそあるはず。そしてそれは政治が経済に役割を果たしてこそ成り立つはず。 -
経済学者ではなく、ジャーナリストが書いた経済学史に関する新書。著者は「厳密な科学的方法によるとされる経済学理論というものが、実は、それぞれの経済学者の人生や価値観によって」多くのバリエーションがあるということを紹介し、「経済学者を人生から言動から見ていくと、経済学者の気質の数だけ経済学がある」と断言する。
紹介される経済学者はケインズを始めとした14人。各章では、それぞれの理論の経済政策、経済史における立ち位置、人物の履歴書、そして彼らの出生環境、交友、性格の何が、それぞれの経済理論を構築していったかを論じている。内容はジャーナリスティックで、無味乾燥な経済学史の本ではなく、娯楽小説的な要素もある。かつ、著者自身が、各経済学者の著書に精通していて、薄っぺらな内容になっていない。
本書を経済学史の参考書として読むか、経済学者の評伝として読むか、いろいろと読み方はあるが、著者の言う「いま再び、ケインズの名声は甦りつつある。しかし、今の復活は果たしてケインズの遺産を生かしたことになるのだろうか」という命題を意識しながら読むと、本書の有用性は高まり、推理小説的な娯楽性も高まると思う。
2013年は経済における政府と中央銀行の役割が近年になく議論された年。本書を読むには絶好のタイミングだろう。 -
出自がどうであれ、各々の到達した思想がどうであれ、みんな気高いしみんな苦闘してた。