- Amazon.co.jp ・電子書籍 (313ページ)
感想・レビュー・書評
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【双子、闇の中。】
どんどん面白くなるお話。
オーディオブックで読了。
アフターストーリーも気になります。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
一編完結のシリーズもん。盗っ人の本なんで、スカッとはしないが。
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辛い話だ。
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「ノビ師」とは、深夜寝静まった「人のいる」民家に忍び込む泥棒のこと。「ノビカベ」の異名をとる「ノビ師」真壁修一の連作短編集。
「双子というものは、互いの影を踏み合うようにして生きている」
修一の中には、亡くなった双子の弟の「声」が同居し、会話しつつ物語は進行する。
切ない話だった。
(電子書籍 kindle) -
ノビ師という泥棒を主人公にした,異色の連作短編集。「ノビ師」というのは,「空き巣」と違って,深夜寝静まった「人のいる」民家に忍び込む泥棒だそうだ。主人公ということで,単なる盗みに焦点を当てるのではなく,ノビ師の技術を使って様々な事件を解決していくというストーリーである。ちょっと屈折した,頭の良い主人公がクール。経緯は説明されないが,昔火事で死んだ双子の弟の魂が,内耳に住みついているという設定で,ここが各編を繋ぐ縦糸になっており,単なるダーク・ヒーロー物ミステリーとは一線を画している。この作家の文章は,売れっ子ミステリー作家にありがちな軽薄さがほとんどなく,気持ちよく読める。
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「トノカベ」と呼ばれる家屋忍び込み泥棒のプロ、真壁修一を主人公にした連作ミステリー短編集。
横山秀夫は短編ミステリーの名手と思うが、この作品は異色。
まずは、主人公を泥棒にしたこと、15年前に母親に無理心中で焼死させられた双子の弟が真壁の中耳に棲みこみ、「相棒」となっていること。凡作であれば、トホホな展開となりそうだが、さすが横山秀夫、面白い短編集となっている。
主人公は元々は司法試験にも受かる実力をもった秀才。しかし、弟の焼死に対し両親を許せずにいて、泥棒稼業を続けている。
主人公は非常にストウィックな人物に描かれていて、日本の地方都市を舞台にした、ハードボイルド小説としても読める。
この短編集は、泥棒稼業をしている故に主人公が巻き込まれる事件を、いかに真壁が解決してゆくかというもの。舞台は町内の闇社会であるが、闇社会の仕組みがわかりやすく、かつ何気なく説明されていて、リアリティーがある。また、闇社会独特の語彙がしばしば出てくるが、語源が面白い。また、表紙にあるように、主人公の移動方法は主に放置自転車。このあたりの、小説の雰囲気は、個人的には好き。
一事件、一短編という構成になっているが、真壁と恋人との行方、15年前の無理心中事件の真相が、各短編に絡み合い、最終編の大団円に向かい収束してゆく。
派手さはないが、読んで損はないと思う。個人的には好きな味の★4つ。