- Amazon.co.jp ・電子書籍 (214ページ)
感想・レビュー・書評
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アジャイル信者による納品なしビジネスモデルの本。
序盤に事例紹介、中盤にビジネスモデル、終盤に考え方について書かれている。作者はアジャイル信者で、アジャイルっぽく仕事しようとしたらこういうビジネスモデルになったらしい。感覚的なところは俺とそっくりだったので、非常に驚いた。俺はアジャイルとかどうでもいいから。
モノ作りがしたいだけの俺の考え方を述べると、以下のような感じになる。
【モノ作りがしたいだけの俺の考え方】
納期を守りたくない。
⇒しんどいから。
納品したくない。
⇒めんどくさい。変更する度に納品とかやってられるか。
終わりのない仕事はしたくない。
⇒デスマーチは嫌だ。同じことをずっとやるのも嫌。
顧客と話したくない。
⇒リスクを丸投げしてるだけのくせして、いいたいことだけいうな。
ドキュメント書きたくない。
⇒メンテナンスしないなら作るだけ無駄。
俺の思考回路でこれを改善する方法を考えると次の流れになる。ITが業界ごとブラックな原因のすべてが1にあるので、これをなくさないとダメだ。なので、納期を約束しないようにする。納品とかめんどくさいので、WEBサイトに公開して、自分で保守しよう。サービスとして使ってもらおう。サービス化して使ってもらってフィードバックもらえば、4はやらなくてよさそう。自分でサービス作ったら、好きに止めれるから3も解決だな。5は作るの止めればすむ。ということで、俺の結論は、「自分で会社を作って株主になってサービスを作って提供して売れたら、好きなモノ作りだけできる」というものだ。
俺のやり方はヒットしないと生きていけない大博打だが、作者のやり方は少しずつ積み上げていけるやり方だ。1、2、5を解決し、3と4を我慢する妥協案かな。そこからさらに突き詰めていて、これをやると必然的に顧客がかわってくる。既存のウォーターフォールモデルだと「リスクを外出しできる」規模に限られるが、納品なしモデルだと「大きすぎるリスクをいっしょに背負ってくれる」感覚に近くなるためだ。
思考回路は違うために結論が違っているが、途中の感性は似すぎてて気持ち悪かったw
俺はアジャイルに全く興味がない。アジャイルは技術者視点で作られたもので、顧客視点がなかったから。出てきたときからうさんくさいと考えてた。今もうさんくさいと思ってる。開発方法論の中でビジネスを語っても何の説得力もないから。今も昔もシステム開発がうまくやる方法はたったひとつで、それは「顧客と仲良くなること」だ。要するに、リスクを外出しする仕事の仕方ではなく、パートナーとしていっしょにやっていこうと思っている顧客とだけうまく仕事が回る。それはウォーターフォールとかアジャイルとか関係ないよね。というのが俺の見解。
単純に開発方法論だけ変更してもうまくいく訳ない。こいつらあほか。というのがアジャイル信者に対する俺の素直な感想だ。作者はそれをビジネスの問題に結び付けれているところがすごい。
作者のビジネスモデルでいくと、あとは、ギルド自体の質の問題だろうな。ギルドの規模が大きくなると、悪い素材が混じってくるから、そういうのをはじき出せるようにしないと、一発で他のSIerやコンサルと差がなくなるからね。
それ以外には、人と話をしたくないエンジニアは非常に多いから、ほとんどすべての開発者を救う訳でもないというところに注意が必要か。
いや、一番はあまり儲からないというところかw
一括請負保険業モデルから二人三脚モデルに変更したら、顧客層が変わってしまった。というのが一言で言い表したときの表現だなw詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ソフトウェア業界定番のビジネスモデルである「一括請負」受託開発に対して、よりモダンな開発手法でもって変革を試みる会社のお話。
ソフトウェア開発会社にとっては「納品」がゴールだが、そのシステムを利用する側にとってはそこからがスタートである。であるならば、「納品」をゴールにするのではなく、システムを作りそして成長させるという納品の先までを見据えることが真の顧客サービスに繋がるという主張には頷くばかり。
SI業界の今後を先んじて体現しているかのような稀有な会社像をかいま見える良い本でした。 -
ソニックガーデンによる「納品のない受託開発」。Clubhouseでソニックガーデンの話題が出たので、そういえばと手に取ってみた。日本における受託開発の闇をどうにか変えたいというのがDXR(2)に底通する問題意識。最近流行りのD2Cとかスタートアップとは相性良いのだろうな。これをスケールさせるにはどうすれば良いのだろうか?
まだ読み終わってはないけど、平鍋さんのアジャイルスタジオよりも、ビジネスモデルとしては突き抜けてそう。 -
顧客専属のエンジニアになる。
でもそれって個人として変化が止まりそうな気がしてしまう。
のれんわけで独立と教育。果たして専属エンジニアから急になれるもんなのか -
コミットメントには、結果の保証と、努力の保証の2種類ある。通常、ソフトウエアの開発契約には、結果の保証を求められるが、これが問題を引き起こす。一見不合理に見える、努力の保証コミットメントがうまくいくというのがこの本の趣旨(だが、コミットメントに対する分類は私の用語であり、この本には書かれていない)。まったくその通りなのだが、人を信じることができない人たちには、この本の内容を受け入れることはできないだろう。
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お客さんにとってもエンジニアにとっても理想的な枠組みだと思いました。現状、なかなか既存の仕組みからは抜け出せないですが、ぜひこのムーブメントが広がっていくのをこの期待したいです。
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変化が加速する時代のソフトウェア開発モデルの実験。権力の分散(『第五の権力』)に伴うビジネスモデルの変革の実例。