- Amazon.co.jp ・電子書籍 (329ページ)
感想・レビュー・書評
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完璧に理解できたとはいいがたいけれど楽しく読んだ。
「父から娘に贈る数学」という副題がついている。
けどこの娘というのは高校生くらいを想定しているのかな!?
微積分、対数、行列、三角関数など、「中学生の娘」だとするとちょっと難しいかもしれない。
特に「ベイズの定理」のくだりが興味深かった。確率を用いれば、主観はおいといて、事実をここまでしぼり込んでいけるのかと、その手腕の鮮やかさに感動。たとえば、原発重大事故が再び起きる確率、とか。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
そんなに簡単ではない話を分かりやすく語っていると思った。
Webにある補遺も素晴らしい。 -
理解できてるような気分になっても、ほとんどわかってないのだということがよくわかる本だった。再びの大栗本である。インテリジェンスってこういう本をきちんと理解できることを言うのだろう。自分はインテリじゃないな。アリストテレス、ピタゴラス、エラトステネス、デカルトなんてよく知った名前もたくさん出てくるし、ティッシュのネピアと同じ語源のネイピア数、二次方程式の判別式とか、ギリ微積分までは、「というわけで~である。」といわれてもねえと、思いつつも、わかったふりをして読んだけれど、ガロアの「群」になるとまったくチンプンカンプンとなってしまった。
大学2年の教養部講義で、数学をとって、担当教員に、社会人になって加減乗除以外に数学なんて使わないでしょ、何のために大学で教えるのか?と質問し、研究室に呼ばれ、なんて言われたか忘れたけれど、社会人になって、微積分なんてほぼ使わなかった。それでも、やはり、数学のこうした入門書的なものは楽しい。大栗氏のような知性も、いづれは死ぬんだと思うと切ない。 -
p.2021/9/10
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これ、素晴らしい本です。自分が読んでももちろん面白い。10代のお子さんをお持ちであれば、彼らが数学の才能があるかどうかをある程度見極められる、という意味においても面白い。兎に角、素晴らしい。この本が、数学者ではなく、物理学者によって書かれたということに驚かされる、という意味においても面白い。
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カリフォルニア工科大学ウォルター・バーク理論物理学研究所所長という肩書の著者がお父さんとして娘に語りかけるという体裁の数学コラム。あとがきによると著者の娘さんは実在していて、ニューイングランドの寄宿学校に合格したそうです。
第1話 不確実な情報から判断する
第2話 基本原理に立ち戻ってみる
第3話 大きな数だって怖くない
第4話 素数はふしぎ
第5話 無限世界と不完全性定理
第6話 宇宙のかたちを測る
第7話 微積は積分から
第8話 本当にあった「空想の数」
第9話 「難しさ」「美しさ」を測る
この手の数学コラム/エッセイは過去に『数学幻視考』や『数学の悦楽と罠』を読んだが、いずれも話が込み入ってくると式や論理をフォローしきれなくなるのが悔しいところ。ただそれでも十分に知的好奇心を刺激される。大栗博司氏の著作は『重力とは何か』や『強い力と弱い力』等があり、これらを読んだ時はかなりワクワクした。今回はそこまでではなかったものの、完全に置いていかれることもなく、楽しく読み進めることができた。
自分が数学の世界にハマることはできなかったけれど、きっと今も誰かが新しい数学世界を切り拓いているに違いない。そう考えるだけでも、なんだか嬉しくなるものだ。 -
タイトルの印象よりかなり難易度が高いように感じた。特に自分のような高校レベルの数学に挫折した経験がある人にはどうにも読みづらいかもしれない。実際、自分も最初にこの本を読み始めた時は途中で挫折した。
しかしこの本とは別の数学に関する本をいくつか読んだあとで読み直してみたところ、数学の面白さを解くこの本を少しは理解できるようになっていた。数学はとにかく奥深く、そして哲学と同じぐらい太古から連綿と今につながる学問である。未だなおその影響力は衰えることがなく、自然科学の発展に寄与している。数字を恐れることなく、その深遠なる世界のほんの表面を楽しめる本。