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- / ISBN・EAN: 4988105071742
感想・レビュー・書評
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タイトルからイメージするロマンティックや華やかさは全くありません。3人の主人公は、上流・中流・下流からなる男女ですが、それぞれ悩みを抱えています。それが生々しくて、事件が起こりかねない不穏さもあります。ゴミゴミした生活感や立ちション、脇毛剃りなど露悪的ですね。俳優陣の演技が確かでとてもリアルです。幸い、それぞれ大事に至ることはなく、生活がたて直ったラストは後味のいいものです。温厚な黒田大輔さんの存在が素晴らしい。ひとりの人生を救ったと思います。
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心抉られた………。涙
苦しいよ、痛いよ、
その悲しみとやりきれない怒り、このクソみたいな世間、ほんとに世間ってこんなもんで嫌な部分がとてもリアルに描かれていて救われない。
私なんぞが到底わかることのできない感情だけど、わからないけどわかって、悲しみと苦しみに涙を流しながら観た。観終わった今も映画を引きずっている。 -
東京の都心部に張り巡らされた高速道路の下。アツシ(篠原篤)が橋梁のコンクリートに耳をぴたりとつけ、ハンマーでノックしている。
機械よりも正確な聴力を持つ彼の仕事は、ノック音の響きで破損場所を探し当てる橋梁点検。
健康保険料も支払えないほどに貧しい生活を送る彼には、数年前に愛する妻を通り魔殺人事件で失ったという、つらく重い過去がある。
郊外に住む瞳子(成嶋瞳子)は自分に関心をもたない夫と、そりが合わない姑と3人で暮らしている。
同じ弁当屋に勤めるパート仲間と共に皇族の追っかけをすることと、小説や漫画を描いたりすることだけが楽しみだ。
ある日パート先にやってくる取引先の男とひょんなことから親しくなり、瞳子の平凡な毎日は刺激に満ちたものとなる。
企業を対象にした弁護士事務所に務める四ノ宮(池田良)は、エリートである自分が他者より優れていることに疑いをもたない完璧主義者。
高級マンションで一緒に暮らす同性の恋人への態度も、常に威圧的だ。そんな彼には学生時代から秘かに想いを寄せている男友だちがいるが、ささいな出来事がきっかけで誤解を招いてしまう。
「恋人たち」というタイトルだけど、多種多様なコミニュケーションの断絶と絆についての映画。
恋人や親友と誤解やすれ違いで絆が途切れてしまった同性愛者の弁護士、姑との関係が上手くいかなくてある男に心惹かれた主婦は男に裏切られ、通り魔に妻を殺された男は弁護士や先輩に裏切られるけど仕事場の先輩と心を通わせて希望を取り戻していく。
無頓着に人を裏切り裏切られ、無頓着に傷つけ傷つけられ、それでも人と心を通わせ生きていく。そんな普通の人の物語。 -
それぞれの苦悩は、淡々とした日常の片隅にあり、それが不気味に通り過ぎていく。
それぞれの激情が、ただただ世に飲み込まれて消化されていくようで、でも、それはそれぞれの昇華だったのだろうか。 -
無名の俳優がみな凄い。
リアルだよ。
なんなんだいったい!ってくらい引き込まれた。
凄かったよ。 -
辛くて酷くて悲しい現実の中で、手を差し伸べてくれる人たちのあったかさ。重たくて終始ズシンとのしかかってくるけど、ふとした会話や人の面白さや救いが所々に丁寧に滲み出ていて、とてもいい映画だった。
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2015年 日本 140分
監督:橋口亮輔
出演:篠原篤/成嶋瞳子/池田良/光石研/安藤玉恵/木野花/リリー・フランキー
http://koibitotachi.com/
通り魔に妻を殺されて以来ぼろぼろになった男、ろくでもない男と不倫してしまう平凡な主婦、学生時代の親友を想い続けるゲイの弁護士、それぞれの日常と苦悩を描く群像劇。橋口亮輔ならではの、マイノリティや弱者、特別ではない平凡な人々の何気ない救いや痛みを丹念に拾いあげる作風、大声で背中を叩いて「がんばれよ!!!」っていう押しつけがましいポジティブさではなく、小声でそっと「もうちょっとだけがんばってみよ」と囁きかけてくるような映画でした。
主役の3人はほぼ素人俳優ということもあり(とはいえかなり芸達者だと思う)観客にとって先入観なく白紙の状態で見れるのが余計にリアリティがあって良かったです。芸達者な脇役の、安藤玉恵や光石研などの芝居のほうが、上手すぎて逆にわかりやすい虚構に見えてしまったくらい。とはいえ安藤玉恵のキャラクターは傑作で、ある意味癒しでした。主人公たちとは違う意味で彼女の役もまた底辺を生きる人なのだろうけど、突飛すぎて生々しさはなく、ゆえに安心してフィクション=息抜きパートとして笑えました。あ、あと離婚訴訟で弁護士に相談にくるフランスかぶれの女子アナもかなり面白かったです。
主人公たちが、ただ可哀想なだけじゃなく、結構イヤな面も持っているのがリアルだったなあ。通り魔に妻を殺されたアツシ、彼が失われた妻を想う気持ちは本当に一途で、その喪失感、切なさは痛いほどわかるのだけど、反面、役所で保険の手続きの際に職員に邪険にされ開き直るシーンなどは、正直、アツシのほうにちょっとイラっとしてしまう。
ゲイの弁護士も、ノンケの親友を一途に密かに想いつづけているあたりなどはとても健気なのだけれど、反面エリートゆえか高飛車で年下の恋人に対する言動はもはやモラハラ。誰かに背中を押されて階段から落ち骨折するのも、アツシへの対応などみる限り、いろんな人の恨みを買うような言動を日頃からしているのだろうなと匂わされているし。
不倫する主婦の日常は同性ゆえ余計に生々しい。サランラップを使いまわすケチな姑、ハゲちらかしてる旦那とのマンネリ化した夫婦の営み、でも誘われるとちょっとハニかむリアクション、年齢のわりに短いスカートを好む彼女はたぶん自分の体でいちばん脚に自信があるのだろうなとか、男の前で年にも似合わず大はしゃぎするところとか、細部の設定や演技が本当に上手かった。
そういう、登場人物たちをただ虐げられた気の毒で不幸な人々として描かず、欠点だらけの、でも愛すべき人間、として描けるのが橋口監督のすごさだと思う。アツシの職場の人たちが良い人で、アメちゃんくれた事務の女の子の「お母さんが一緒にテレビ見ようって」っていうエピソードも好きだし、やさぐれてるアツシを柔らかい言葉で励ます上司の人の言葉が何より沁みました。あのおじさんの言葉が、この映画が伝えようとしていることのすべてだと思う。
(2016/3/31) -
鶏のもも肉が欲しかったのに胸肉をもってきたと突っ返すといったどうということのない鶏のもも肉が欲しかシーン面白いこと。
日常を切り取るリアリティ狙いの映画は多いが、何度か「スゴッ」と言わせる出来栄え。
タイトルはおしゃれだが、登場するのは通り魔に奥さんを殺害された男、平凡な主婦、ゲイの弁護士で描写が徹底してリアル。田舎にある養鶏場の景色がキレイと言って、女性に屋外でオシッコさせて、吸ってたタバコをオシッコに投げてジュと言わせる。そこまでしなくてもいいのにと思う。他に登場する人物も市役所の職員、職場の若い土木員などもスゴイ存在感がある。
橋口亮輔監督は『飲みこめない想いを飲みこみながら生きている人が、この日本にどれだけいるのだろう。今の日本が抱えていること、そして"人間の感情"をちゃんと描きたい。』と言っていて納得だ。
これから着いていきます橋口亮輔監督という感じだ。ただこれだけ出口のない人たちを描いて、最後「空に向かってヨシ」といった救いを提示するのだけど、ここに来てウソっぽい。沈鬱なままでよかったような気がするのだが。
2015キネマ旬報日本映画ベスト・テン 1位映画芸術20155位 -
キネマ旬報とかいうので一位を取っただけのことはある作品かと思いましたね! 上映時間140分とのことで少々腰が引けていたところなんですけれども…観終わってみればあっという間、という感じでしたね。内容が面白かったからでしょう…社畜死ね!!
ヽ(・ω・)/ズコー
個人的にはジャケットに写っている主人公のお話よりも主婦やゲイの弁護士? のお話の方が印象に残りましたかね…。特に主婦の話は演じた女優さんが上手いからか、先が気になりました…社畜死ね!!
ヽ(・ω・)/ズコー
恋人を通り魔に殺された青年の話も良かったですけれどもね! 大切な人を殺されて人間不信に陥っても、やっぱり誰かしら、人間に助けられる…みたいなお話でしょうか!?
まー…どれもこれも暗いトーンのお話なんですけれども、最後に少し救われた感じで終わるのが良いですねぇ…映画館で観ればまた違った感動を味わえるのでしょう…とDVDで観ながら思いました。おしまい…。
ヽ(・ω・)/ズコー -
☆☆☆☆☆
3人の主人公の生活は、現代社会に生きる誰でもが経験したか、身近に眼にしている、矛盾を抱えている。
アツシは数年前に愛する妻を通り魔殺人事件で失った辛い過去を抱えながら、さまざまな社会の矛盾のなかを生きている。
『クソ社会』といいながらも、そのなかで見せるアツシの社会の矛盾に対する抑制の効いた憤りの表現が、アツシの人柄をよく伝わえていた。
私もまだ若い頃は、公平とか、公正とかを前提に社会のフレーム設定して世の中を見つめていた。そして次々にぶちあたるこの社会の矛盾の壁に心のなかで叫んでいた『なんでこんなことが許されるんだ』『なんで俺だけがこんな理不尽な扱いを受けるんだ』そして、『なんで学校や親は社会の汚さを、その楽しさより先に教えなかったんだ』と
辛く思い過去を背負ったアツシや、自分に関心を持たない夫やそりの合わない姑との日常に閉じ込められた瞳子、エリート意識が強すぎるために人との関わりを身につけてこれなかった弁護士、四ノ宮。
彼らが生きる日常を見せられると、『クソ社会』と言って厭世的に社会を見つめるだけではいけないと思わされる。
「所詮、社会はクソだけど…」、「そこに生きる俺たちは、そこに溺れるものでも、穢されるものでもない」と
橋梁が支える高速道路のあいまにのぞいた“真っ青な空”を指差し確認する。
『ヨシッ!』
2017/02/09 -
近すぎて、あまりにも近すぎて観ているのがつらい。
それは釘づけを通り過ぎて他人ごとのように白々としてる。
こんなにも身も心も掻き毟って、さらけ出して、それでも生きてくしかないんだ。
でないと、こうやって話をすることもできない、から。 -
ほとんど無名に近い俳優3人を主演にしている。
弁護士役の人は演技も薄ぺらで存在感を感じなかった。パートのおばちゃん役の人は華も演技のメリハリも感じられなかった。ただ生活感は出ていた。通り魔に恋人を殺された男は淡々とした中にどこか納得出来ない物を感じながらも投げやり。その淡々さに感情移入を持って見られなかった。イライラしてしまった。
主演している3人の俳優に魅力は感じられません。これはもしかしたら監督の演出で役者の我を出さない事で物語をより引き立てようとしているのかとも考えますがどうなんでしょう。
暗闇の中にいて、そこから抜け出したい。かすかに見える灯りの所に行こうとする。行こうとしても中々いけない。さらに暗闇に向かってしまう。その暗闇の所にさらに遠くなってしまっても見える灯り。その灯りを見つめながら、まだ希望というか諦めてない的に終わる。
レビュー的には意外と評価は高いみたいです。私的には、どうなんだろう?と思いました。
面白い、そうでない とは別の枠に置いときたい映画でした。 -
いつも通り、刺さりに刺さった。映画館の時は、広島で見て、そして、またDVDでも見て。橋口さんがいるから、日本の映画は大丈夫だ、と思える。こういう映画ができる、そして見られる。それは幸せなことだな、と思う。最後のエンディングがとてもいい。あとは、後半に差し掛かる頃の、主人公の慟哭的な場面。また、きっと、何年後にも観る。何年かごとに見て、きっと、その度に刺さることになる。
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3人の物語どれもよかったですが、特にアツシの話が良かったです。やり場のない怒りと、それを周りが理解してくれないことへの絶望感。そして黒田さんの温かい言葉。良かったです。
個人的にこういう映画が好きです。
akeboshiの曲も良かった。 -
橋口亮輔監督・脚本・原作。篠原篤、成嶋瞳子、池田良出演。
<あらすじ(ネタバレ)>
•主婦の恋人
夫、姑と暮らす瞳子(成嶋)は、弁当屋に納品に来た肉屋の弘とたまたま会ったのち、家に訪問を受ける。懇意になった弘は養鶏場に瞳子を連れ出し、出資をもちかける。のちに意を決して弘の家に行くと、彼は覚せい剤を打っており、居合わせた連れの女に養鶏場の話はウソと知らされ、酩酊状態の弘に向かって職場のことや夫との馴れ初めをつぶやく。
•ゲイの恋人
弁護士の四ノ宮(池田)は階段で押されて骨折、見舞いに来た友人の息子に「色目」を使ったと友の妻に指摘され、関係が悪くなる話。
•亡き妻の恋人
通り魔で妻を亡くしたアツシ(篠原)が、彼女への想いを断ち切れないなか、加害者の刑事裁判で、措置入院が決まる。納得できず四ノ宮弁護士に相談に行くも、民事でも勝てないと言われ、自暴自棄になり密売人から覚せい剤を買うが偽物、風呂場で手首を切ろうとするも果たせず、妻の位牌の前で想いをぶつける話。
<コメント>
•群像劇。ありがちな話なのだろうが、娯楽性は乏しい。
•弁当屋の女将や女子アナの喋りが耳障りできつい。不快にさせない表現が他にあるはず。その反面、瞳子さんのおっとりさが、登場する中で一番女性らしかった。嫁にはああいうタイプがいい(うちのは弁当屋の女将タイプ)。
•細かいところで作りがイマイチ。妻の遺影の前でのアツシの慟哭、よく聞こえない。それと雅子さまの様子をスマホで撮っていたが、ご成婚の時にスマホはもちろんなかった。
評価が高いが、完成度はイマイチだと思う。 -
なんか難しかった。それでも生きていくってことでいいのかな。
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(2015年作品)
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いい。とてもやりきれない。
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2016/09/24
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深いけどわかりやすいし、ムカついたり泣いたり笑ったり、盛りだくさんの濃ゆい2時間半だった。主婦のオバさんのこと、ちっともずっと見ていたくないルックスでキツかったけど。笑 下痢するお姫様の物語は実際に彼女が作ったお話らしい。xx章までもつのかよ、みたいなツッコミ爆笑した。