人工知能の核心 (NHK出版新書) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 人工知能の発展に伴い、どのような課題や希望があるのか、羽生さんの考えをベースに紹介されている。現時点の人工知能の状況も紹介されていて、人工知能に関する基本的な知識を身につけるのにちょうどいい。

  • 羽生さん自らの言葉なのか、編集者の話なのか区別が付きづらいが、羽生さんが人工知能についてかなり専門的なところまで理解していることに驚いた。

    羽生さんは人工知能と人間の違いを一生懸命に見いだそうとしているが、そのほとんどは未だ人工知能が未熟だから生じているもので、やがて人工知能にもできるようになってしまうのではないかと感じた。少なくともハサビス氏はそう考えているだろう。

    「詩は人間が作った方が面白い」という言葉も人工知能の能力の限界を示しているというよりは、受け取る人間側の限界を示していると考えられないだろうか?

  • 数年前まではまだ遠い未来の話だと思っていたAI。私の職場でもワトソンの正解率が会議で進捗報告されるなど、ここにきてぐっと身近になってきた感がある。

    プロ棋士として、また、人の頭脳を体現する知性の持ち主として早くから人工知能の研究に協力するなど研究者・経営者たちと折りにふれ交流してきた羽生さんは、人間との違いとして「人工知能には美意識がない」「思考がブラックボックスである」ことを挙げる。
    恐怖心を持つことなく過去のデータに基づいた最適解を選ぶ人工知能に、なぜそんな危険な手を選ぶのかと驚く一方で、人が美意識(危険を察知する防衛本能に由来するもの)の中で認識できていない他のところに確度の高い選択肢がある可能性は十分あると羽生さんは言う。
    また、人工知能の思考はブラックボックスであり、どういうプロセスを経てその回答に辿り着いたか解明できず推測も難しいことから、人工知能が政治や経済の意思決定に関与するようになった場合には、意思決定の過程がブラックボックスであることに多くの人が不安を覚えるのではないか、その際は政策決定者が人々に分かりやすく説明できるかが重要であるとも語る。

    Wikipediaによると、レイ・カーツワイルは2017年3月、シンギュラリティの概念を提唱した2005年当時の予測より技術開発の進捗が早くなっていることから技術的特異点の到来は2029年に早まるとの見解を示すとともに、その際、人間の論理的思考を司る大脳新皮質を人為的に拡張することで、人類がポスト・ヒューマンに進化するというシナリオを提示したとのこと。
    やばい。鉄腕アトムとターミネーターをもう一度見なきゃ。

    なお、羽生さんは重要な対局の棋譜はプリントアウトして実際に盤面に駒を並べるそうですが、ある程度溜まったらそのプリントは捨てる。そう決めておけば、ここで覚えないともう見られなくなると覚悟を決めて学べるとのこと。たいへん勉強になりました!

著者プロフィール

1970年9月27日、埼玉県所沢市生まれ。1982年、関東奨励会に6級で入会。1985年12月、プロ四段に。1989年、19歳で竜王獲得。これが初タイトルとなる。以降、数々のタイトルを獲得。1996年には、当時の七大タイトル(竜王・名人・棋聖・王位・王座・棋王・王将)全冠独占の快挙を成し遂げる。2017年に、八大タイトル戦のうち永世称号の制度を設けている7タイトル戦すべてで資格を得る、史上初の「永世七冠」を達成した。タイトル獲得は通算99期、棋戦優勝45 回(ともに2022 年6月時点)。主な表彰として、2007 年特別将棋栄誉賞(通算1000 勝達成)、2018 年国民栄誉賞、同年紫綬褒章。さらに2022年、史上初の通算1500勝を達成し、特別将棋栄誉敢闘賞を受賞。将棋大賞は最優秀棋士賞など多数受賞。

「2022年 『改訂版 羽生善治のこども将棋入門 中盤の戦い方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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