未来の年表 人口減少日本でこれから起きること (講談社現代新書) [Kindle]
- 講談社 (2017年6月14日発売)
- Amazon.co.jp ・電子書籍 (209ページ)
感想・レビュー・書評
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少子化に関して論じている書籍でも「少子化って深刻な問題だよ」と連呼する割には、統計的な数字の増減ばかりに言及し、具体的な記述が乏しく、具体的にどんなことが起こり得るのかイメージしにくいものが多い印象がある。
また、詳しく論じていても、ある特定の分野に起こる問題を深堀りするだけで、全体的な包括的な問題を多角的に論じることはない。
たとえば、介護がテーマなら「介護×少子化問題」、医療がテーマなら「医療×少子化問題」、保育がテーマなら「保育×少子化問題」、仕事がテーマなら「仕事×少子化問題」のように、1つのテーマに留まり、その他のテーマと関連付けて解説するものは少ない印象がある。
その点、本書は、人口減少と少子化・高齢化によって起こる問題を具体的に、様々な分野を多方面から解説する。たとえば、大学の運営や労働者、介護、空き家、輸血用血液、結婚など様々なことに少子化が影響を及ぼすことを説明してくれる。
ただ、新書であるため、一つ一つのテーマに関して深堀りはされていない。そのため、この書籍は、「少子化がもたらす問題を多面的に、包括的にザックリと知りたい」と思う人に向いている。
この本に書かれているテーマについて詳しく知りたいものがあったら、それについて書かれている別の書籍を参照することがいいだろう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
日本は高齢化、少子化…というけれど、その危機感がまだまだ不十分だった、ということに気づかされました。
日本人がいなくなる…国家の滅亡。
侵略せずとも外国人が日本の領土を実質的に支配することになる?
いやいや、そんなこと、考えたこともなかったですが、でも人口問題をどうにかしないと、そうなるしかない。
日本人の魂を持った日本人を増やさなければなりません… -
【文章】
とても読みやすい
【ハマり】
★★★★・
【気付き】
★★★★★
少子化と高齢化、無関係ではないけれど、別の問題として扱ったほうがよい。
すでに子供を産める人の数が少なくなってしまっているため、合計特殊出生率を上げたところで、少子化は止まらない。
社会保険の公費負担分は国から貸与したものとし、死亡時に遺産から返還してもらう、という制度は理にかなっているかもしれない。
ほぼ確実に人口が減少していく日本において、「戦略的に縮む」ことによってハードランディングを避けるべきだが、GDPや平均年収などの指標を持ち出して各国と比較したがる"マスコミ"は、なんとかならんもんか。 -
産めよ、殖やせよの時代はとうに過ぎ去り
人口ピラミッドが突然中間部分から膨らむことなど起こり得ないと誰もが周知しているのであるため
現実的な数値が見据えられる現状から、将来的なライフスタイルをいかに纏めあげるかについて
目を背けたくなる側面も多くあろうが、10年20年後の実生活をより直接的に公私双方から考えておかねば。 -
図書館で借りた。多分、予測どおりだろう。有効な対策は打たれない。
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誰でも「考えたくないこと」、「手をつけたくないこと」、
「面倒だと思うこと」はありますが、
今の日本社会、政府、企業、家族にとってみれば、
それは、人口減少社会への対応です。
日本は人口減少社会に突入しています(05年~)。
これから(15年ベース)、2030年にかけて、人口は2500万ほど減り、
そして労働者は1300万減ります。
人口統計ほど、ほぼ確実に当たる統計はないので(戦争や大規模災害が発生しない限り)、
この数字が意味することを考えるには(自身の対策含めて)、
この本はとても役立ちます。
人口減少社会で、日本社会はどう変わるのか?
社会、企業、家族、個人はどう変わるのか?
この視点で書かれた本は、意外に少ない。
財政の面であったりとか、企業の視点で書かれたものは、
ありましたが、「ざっくばらん」に書かれたものは、
ほとんどなかったと思います。
正直言うと、気が滅入る内容です。
あまりに、現実的過ぎて、かつ確実に起こるだろうと、
既にわかっているので、、、
じゃあ、対策を今のうちに、、、と考えますが、
正直、どこから手をつけていいかわからないでしょう。
知っているけど、わかっているけど、やれないというのは、
個人だけではなく、国もそうです。
つまり日本の社会システムを根本から、変更しなければいけないからです。
それは、既得権益を破壊するということとイコールなので、
誰も手をつけたがりません。
この著作には、数多くの統計とその数字がピックアップしているので、
自分の今の年齢に置き換えて、読み進めていくのも、
良いと思います。
日本でこれから起こることは、
過去に前例が、ほとんどありません。歴史に学ぶといっても、
長期にわたって、人口が減り続けて、働き手が減るという社会の中で、
どうするか?その前例はありません。
よって、前例主義が支配している日本の官僚制では、
対応できないということです。
問題が発生したら、対応、発生したら、対応という感じで進めるでしょうが、
これから、問題の発生が、四方八方から出てきます。優先順位をつけて対応とか、
そういうレベルではなく、どれもTOPクラスに対処しなければいけない問題です。
大変不謹慎な言い方ですが、3年おきに、大震災が起こると同じような、
感じになります。それだけ、事の大きさが、でかいということです
よって個人がすることは、政府や役人、政治家に期待しないということです。
期待すると、確実に裏切られるからです(ただ、一縷の望みで選挙には行きましょう)。
期待せずに、自分ができること、家族と協力してできることを、
早急に考えて、実行していく他ないと思います。 -
変化が激しく、先行きが見通せない、21世紀の世界。
そうは言っても、現在から未来に向かって歩まなければいけない/歩んでいきたい、自らの人生。
今後どのような世界に変わっていくのか?
自分の人生設計を考えるためにも、未来予測的な本を意識して読むようにしています。
未来予測に関しては、著者の主観に頼った書籍も見受けられ玉石混交ですが、その中では予測精度が高いと言われているのが、人口推移に関する予測。
その人口推移について、日本の未来の姿を論じた新書が話題になっていると知って、読んでみることにしました。
著者はこれまでにも複数の書籍を発表し、国や地方の政治家にも施策を提言しているという、人口問題のスペシャリスト。
本書はまず統計データに基づく人口シミュレーションを提示し、今後の日本がどのような社会になっていくのか、年表式に予測を記述しています。
その上で、人口が減っていくという現実にどう対峙すべきなのか、著者の10点に及ぶ提言が示されています。
全体として2部構成になっているのですが、ページ配分は前半が四分の三を占めていて、ボリューム的にもインパクトの大きさも、「日本の危機的な状況」についての記述が本書のメインになっています。
読み終えての感想としてまず頭に思い浮かんだのは、「こんなに早いペースで、日本人は減っていくのか」という驚き。
団塊世代が75歳以上となる2025年。
団塊ジュニア世代が高齢者となる、2042年。
現在の年齢分布から、かなりの確度で高齢者の人口というのは推測できるのだと思います。
そう遠くない未来がどのような姿になるのか、著者が提示する世界に正直、怖さを感じました。
年齢構成の是正については、個人レベルでなかなか、効果的な対策はとれないと思います。
しかし、今後社会がどのような姿になっていくのかをイメージし、経済的にも体力的にも、後に続く世代に負担をかけないように心がける。
いつかは高齢者となる自分としては、そのように考えなければいけないのだなと、改めて認識しました。
本書の記述の中には、さらに突っ込んだ解説を読んでみたい部分もあったので、関連する書籍を探して、読んでみたいと思います。 -
「人口減少経済の新しい公式」松谷明彦著が2004年。この本で日本の少子高齢化がまた少しクリアな形を見せたように思います。
(少子化と高齢化は全く別物、との本書の指摘はその通りと思います)
人口が減っていくのは止められない、とすれば少しでも柔軟な着地をすべく行動するしかない…。耕作放棄地問題など。
東京がこのあと介護地獄になる、というのは戦慄。いままで若者を吸い上げてきた首都圏からどっと高齢者が吐き出される流れか。