- Amazon.co.jp ・電子書籍 (246ページ)
感想・レビュー・書評
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あまりにひどい現状ばかり書かれているので怒り狂いそうになりながらも読んだ……。多国籍企業になんもかんも売り渡してしまうことを民間への解放と呼ばれる悔しさ。行政が市民を騙すような仕打ちをあまりに多くしていることを痛感する。
ただ、科学的にどの程度信頼がおけるのかは不明。
社会的な本だと思う。
以下メモ。
種子の原原種・原種の維持や品種開発には膨大な時間とお金がかかる。また、品種の多さは飢饉への対策。品種を数種類(これがつまり民間の種)まで集約すると対応できなくなる。
F1品種は「雄性不稔種」(=無精子症)のものを使う。ミトコンドリアの遺伝子異常による。このタネとりに使われるミツバチには異常が起きた。野菜はすでにかなりがF1の種。
遺伝子組み換えの植物は、風で花粉が飛ぶことにより周囲のものと交雑、結果として汚染するおそれがある。有機農業ができなくなった土地などが生まれている。交雑で生まれた遺伝子組み換え植物について、権利者である企業が農家に訴訟を起こしたりもしていて地獄絵図のよう。
遺伝子組み換え「動物」も生まれている。そのひとつは鮭。
農薬につよい種を作っても、同じように農薬につよい雑草が生まれてくる。毒を仕込んだ種も同様に、その毒に耐性を持つ新たな虫が生まれる。土壌は過度な多肥で変質していく。
所感。
都合のよいものを求めるのは農家も消費者もそう。育ちやすいとか形がよいとか。特に農家は生活がかかっている(ので、買取制度が重要)(それを保証する巨大資本に巻き込まれるが結果としてジリ貧になっていく)。
でもそのために手を出す技術によっては自らを滅ぼしかねない。土壌を種を汚染して環境を破壊する。ひとも精子が減り(因果は未証明)流産と病気と障害が増える可能性がある。
安全な食べ物を手にいれる難しさ、そのために必要な知性と態度について悩んでしまう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
種子法廃止&種苗法改正についてもっと知りたいと思い読み始めましたが、書いてあるのは種子法についてのみでした。
どちらかというと種苗法と品種登録、海外流出について興味があったので、その点は残念。
種子法の廃止は、主にアメリカの企業が遺伝子組み換え作物を売り込むため、肥料や農薬とタネをセットで売り込む為、としていますが、種子法廃止から約2年半経った現在もそのような動きはなく、あまり的を得ていないのかな?と思ったりします。
では何故突然たいした議論もなく種子法は廃止されたのか、想像が難しいところですが。
ただし、遺伝子組み換え作物の各国の考え方や登録状況などは大変興味深かった。
しかしながら、遺伝子組み換え作物について議論するならば、その危険性についてももう少し書くべきではないかと思う。危ないのは当たり前の前提で語られるだけなのは消化不良になりました。
野菜のF1雑種について在来種より水っぽいと語る部分がありましたが、そことリンクして栄養価が下がっていることを分析し、米の種子が守られなくなったとき、そのようなタネになる危険性など語ったらもっと面白かったかなあ、など想像しました。 -
無知だったなあ、と。
ニュースを見ているだけではわからない。 -
いまはソフトウェアエンジニアだけど、私の学生時代の専門は進化生物学・昆虫生態学で、この本で扱っている内容はまったく専門ではないのだけれど、一応農学部も出ているし、植物遺伝学や育種学や栽培植物起源学の勉強もしたわけで。
その観点からはちょっと科学的な根拠に関する部分の議論が乱暴だと感じた。
多様性は維持されなれなければいけない、という主張の骨子そのものは理解はする、というか賛成するけど。
法的な根拠に関しては弁護士だという著者の言を信じることに、、、してもいいのかな。
ひとまず、種子法が廃止されたことに対する危機感は伝わってきた。
もろもろ判断は保留だけど、問題提起としては受け止めた。 -
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元農林水産大臣の人が、去年の4月に廃止された種子法に関して書いた本です。TPPにも関連の強い話でした。種子法の廃止はモンサントのような多国籍企業が日本の農業を独占しやすくするものです。それの何が問題かというと、この会社の種子で作った作物での健康被害が多発して危険だということです。
種子法の廃止については多くの人が知らないことだと思うので、できるだけ多くの人に読んでもらいたいです。
本を読むのが苦手な人は著者の方が講演されている動画もあるので、そちらを観ていただければと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=bqyojgPquWE