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感想・レビュー・書評
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ブクログのレビューを読み、気になって手に取った本です。
主人公の伯爵は軟禁生活の当初、少しに怠惰的になりそうになったのですが、自らを律して品格を保った生活を送ります。
ロシアの文化について知ってから読んだ方が、物語をより楽しめそうなので、二月革命あたりの歴史を勉強し直してから再読したいです。
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自らの境遇の主人にならなければ、その人間は一生境遇の奴隷となる。それを念頭に、伯爵は思案した。軟禁という終身刑に処された場合、境遇の主人になるにはどんな方法があるだろう?(本書から抜粋)
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◆文章表現がオシャレ。
女の眉のアーチが音楽のマルカート記号にそっくりなのに気がついた。もう少し大きな音でと指示するあのアクセント。(本書から抜粋)
◆食文化
カーシャкаша(そばの実や小麦で作る粥)
シェーブルchèvre(山羊の乳のチーズ)
ブリヌイблины(そば粉のパンケーキ)
サモワールсамовар(湯を沸かすための金属製の伝統的器具)
◆フランス語
Je vous en prie.(ジュヴゾンプリ)「どういたしまして」(丁寧・フォーマル)
Je t’en prie.(ジュトンプリ)「どういたしまして」 (友達・恋人に)
De rien(ドゥ リヤン)「どういたしまして」詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
最高にすばらしかった。ベスト1かも。ほとんど再読というものをしないわたしが、読み終わったとたんにまた最初から読みはじめているところ。大好きだー。
ロシア革命後に、ホテルに終身軟禁という刑に処せられたを伯爵の、三十年余りに渡るホテル生活を描いた話、ってきいたときは、よく言えば静謐とか、悪く言えば陰気とかって感じの話なのかなと思っていたんだけど、それが大違いで。
ユーモアがあって、いつもエレガントで、骨の髄まで紳士で、だれからも愛される伯爵。彼は食事やお酒を楽しみ、ホテルのレストランのマネージャーや料理長と友達になり、ホテルに滞在する少女と仲良くなり、女優と密会し、と、「軟禁」って言葉からは想像できない波乱万丈の物語があって。でも、どんなできごとも、なんというか、すごくスマートに上品にことが運んで、さすが紳士。(って、好きすぎてなにいってるんだかわからなくなってきた)。とにかく読んでいてなんともいえず楽しかった。
淡々としてるけどほのぼのといい話、で終わるんだろうなーと思っていたんだけど、ラスト近くに予想外のミステリ的サスペンス的展開になってびっくり。まさかこういう話になるとは思わなかった。鮮やか。
そしてラスト一行で涙。
すばらしい。
※以下、再読記録のコピー
一回読み終わってすぐ再読。こんなことわたしには珍しいんだけど。
二回目ももちろんおもしろかった。一回目より落ち着いて隅々まで読めた気がする。再読って大事かも(めったにしないだろうけど)。
すぐ再読したくなったのは、実はいろいろ伏線がはりめぐらされていて、ラストのほうで、あああれがこれの伏線だったんだ、っていうのに気づくから。解説で、物語のなかの時間の経過が説明されているんだけど、それにも注意しながら読んで。本当によく構成とか考えられているんだなと感心した。
あと、ロシアの歴史をおおまかに把握できた(いや、できてはないけど)ような感じで、そのあたりもすごく興味深かった。-
コメントありがとうございます!
やっぱりその後が気になりますよね。
ソフィアに計画を話した時は、「自分も後から亡命する」ってきっと言っていま...コメントありがとうございます!
やっぱりその後が気になりますよね。
ソフィアに計画を話した時は、「自分も後から亡命する」ってきっと言っていますよね。(でないとソフィア一人では逃げないだろう)
いまさら捕まったりはしないはずですが、いまから亡命なんてできるの?
それまでは読者にちゃんと答えを示してくれていたのに、ラストでいきなり謎が出たあ、という感じです。2020/08/12
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読み終わってすぐに再読、さらに再々読。
そして先日再々々読。4回目もわくわくして読了。1冊全部読み返すもよし、お気に入りの部分のみ楽しむもよし。-
5552さん
コメント、ありがとうございます。
へっぽこなコメントですのに、ありがとうございます。そうなんですよね、私も、あのヴォリュー...5552さん
コメント、ありがとうございます。
へっぽこなコメントですのに、ありがとうございます。そうなんですよね、私も、あのヴォリュームには、一瞬躊躇ましたが、装丁が気に入ったというけしからぬ理由で読み始めたのですが、最初の数ページで完全に「伯爵」に感情移入してしまいました。ここ数年、「ものがたり」の楽しさを忘れていた、というか心底わくわくするような本に出会うことが少なかったのですが、この本はまさに心踊る冒険小説でした。それも、ホテルという限定された空間での冒険。そう、敢えて私はこの物語を「冒険小説」と呼びたいのです。
私が好きなシーンは、伯爵が屋根裏に自分の居場所を見出だしたところ。アメリカの友人からホロヴィッツのカーネギーホールでのコンサート録音を譲られ、チャイコフスキーのPコンチェルトを聴きながら、今は亡き最愛の妹を偲ぶ場面。そして、伯爵が密かに「柳」と呼んでいた、後に彼の恋人となる女性との出会いの場面(ボルゾイの手柄!)等々です。もちろん、誰もが素晴らしいという本などないと思いますが、私にとっては最高の本の中の1冊です。2022/03/15 -
そういえば、余談ではありますが、ホロヴィッツはウクライナ人でした。アメリカに帰化して以後、始めてモスクワでコンサートを開いた時のロシア人(当...そういえば、余談ではありますが、ホロヴィッツはウクライナ人でした。アメリカに帰化して以後、始めてモスクワでコンサートを開いた時のロシア人(当時はまだソ連)の熱狂がライヴ録音に残されています。
あのとき、ホロヴィッツの演奏に涙した国が今、彼の故郷を蹂躙しているなんて‼️信じられません。2022/03/15 -
nazunaさん
熱いお返事、ありがとうございます!
私も図書館で借りてきましたよ!
確かに、表紙が素敵ですよね。
隣に同著者の...nazunaさん
熱いお返事、ありがとうございます!
私も図書館で借りてきましたよ!
確かに、表紙が素敵ですよね。
隣に同著者の『賢者の街』が、並んでいて、そちらも『モスクワの伯爵』と同テイストの赤の装丁で素敵でした。
音楽に明るくないので、ホロヴィッツを知らなかったのですが、著名なピアニストなのですね。
音楽に涙する心は同じでも、戦争となると敵味方に分けさせられ、命を奪い合う。戦争というものの無慈悲さを改めて感じます。
2022/03/16
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非常にユーモアが溢れていて面白かった。
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「結局のところ、ホテルのロビーで一分間会ったばかりの人について、第一印象は何を教えてくれるというのだろう?ついでに言えば、そもそも第一印象はどれだけあてになるというのか?もちろん、単なる和音のひとつがベートーヴェンを教えてくれたり、絵筆のタッチひとつがボッティチェリを教えてくれることはある。だが本来、人間はまことに気まぐれかつ複雑で、愉快な矛盾のかたまりであり、正しく見極めるには、熟慮どころか、再熟慮すべきなのだ――そしてできるかぎりあらゆる時間に、できるかぎりあらゆる状況で親しく付き合うまでは、軽々に判断しないというゆるぎのない決意が必要なのだ。」p.165
「コーヒーほど万能なものがほかにあるだろうか?リモージュ焼のカップでも、自宅でのブリキのカップでも同じように、コーヒーは夜明けの勤勉な者に活力を与え、真昼の内省的な者に静寂を、真夜中の追いつめられた者の心を奮い立たせる力を持っている。」p.173
「容易にへこたれる忍耐は到底美徳とは言えませんよ」p.192
「ミーシカは一生カテリーナを恋い慕うだろう!名称がどう変わろうと、ミーシカがこらえがたい喪失感を胸にネフスキー通りを歩かない日は二度と来ないだろう。当たり前ではないか。その喪失感こそは、私たちが予期し、覚悟し、今際のきわまで慈しむものなのだ。なぜなら、恋は儚いという俗説を最後に反証するのは私たちの敗れた心だけなのだから。」p.248 -
本を読んでいて右手側の厚さが増してくると、少し寂しさを感じた。長期休暇の折り返し地点を越してしまった時と同じ感じだった。
その点、すぐ再読できるので、本はいいなと思った。