- Amazon.co.jp ・電子書籍 (200ページ)
感想・レビュー・書評
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危機感を持たせてくれる本
自分の老後心配詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
国民に上級も下級もあるか、くだらない分裂と陰謀論しか生まない馬鹿な言葉だ、と思っているのでタイトルから読もうか迷っていた。が、橘氏の本はどれも面白いので読みはしめた。面白かった。
弱者男性。男性差別。馬鹿らしいアンチフェミの造語のようだが、読んでみると、なるほど、面白い分析だ。
同著者の「バカと無知」を読んでから本書の男女の考え方の違いを読むとさらに面白いと思う。 -
現象の背景を知ることにより、社会構造を理解することができた。
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貧富の差って途上国ではすごく顕著だけど、日本にだってあるわけで。
日本の貧困層って海外と違って都市で物乞いをするようなタイプではないので、可視化しづらいのはあるかもしれない。でも幸福度という尺度を使えば学歴で確実に差があるのが現実。
なぜ上級国民、下級国民のような分断が起きるのか、戦後の日本経済が歩んできた歴史をかなり深いところから分析していて面白かった。
また日本だけでなくアメリカをはじめ世界の人々の格差にも踏み込んでいた。
右とか左とか、正直政治のことはあまり知識がないのだけど、すごくわかりやすかった。
人類の歴史を長いスパンで見れば、やはり今の世の中って色んな意味で異常だってこともよくわかった。
生きていく上で何が正しいのか、余計によく分からなくなったのが正直なところだけど、視野はすごく広がった。 -
図書館の電子書籍で。マジョリティの分断という考察。大卒か否か。教育の本質は格差拡大装置。教育を受けて現在の状況を打破する。教育の自由化と一般化はstautsの変更可能性を提供。富と性愛の分配。性愛のマネタイズ=エロス資本。知識社会化・リベラル化・グローバル化⇒究極の自己責任社会(自由で個別)。自分の自由を保障するために相手の自由も保障する。法に触れていなければ好きにすればいい。結果は自分で引き受けよ。先進国のベーシックインカムは国籍管理=排外性。生活が保障されても性愛は分配されない。いつかは知識社会も窮まって,別のステージへ。運と自由について考えさせられた。
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私はもちろん下級国民だと思う
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現代社会の潮流は「知識社会化」「リベラル化」「グローバル化」であることを認識できる本。
- 生産性と賃金の間には強い正の相関がある。
- 新入社員の3割はやめる。しかし、30代のほとんどはやめない
- 日本ではIT革命が到来しても、雇用対策を優先→業務のアウトソースができない
- 若者の失業率が急激に上昇したこと、低学歴の中高年が失業することは注目されない。それはホワイトカラーの正社員たちには関係ないから。
- 高齢世帯は多額の金融資産を持つ3割とほとんど持たない3割に分かれる。
- 思春期になると女性が冒険的になるように設計されている。
- リベラルの社会の負の側面は、自己実現と自己責任がコインの裏表であること、自由が共同体を解体すること
- 現代では自分を規定していた属性がなくなる。その中では再帰的になる。つまり自分を定義するにあたって自分を参照する。自分らしさにこだわり本当の自分を探し続ける。
- 社会から個人へと視点が変わる再帰的近代では、自己を正しく把握・管理することが重要になってくる。 -
今起きていること、起きようとしていること。
統計データとともに論じています。
総じて仰るとおりと思います。
時代が変わり、情報(知識)は人脈や伝承、書物等で調べていたものがその必要がなくなって、Google等で簡単に得られるようになりました。
さらに今は進んで、ググることすらしなくても済むように(ChatGPTを言っています。今まではGoogleで検索、得られた結果から自分で最適と思われるものをピックアップしていました。でも、ChatGPTを使えば、「風呂の鏡のうろこをとる方法を教えてください」、の回答を読むだけ)なりました。
これからさらに進んで、仕事もしなくてよくなってくるでしょう。
すでに仕分け、配達、梱包、運転、診断、、、等、人がする仕事が置き換わってきています。
これは(ひとさまの仕事を奪うことなので)よくないことだ、と言っているわけではなく、巻末にあるシンギュラリティに繋がっていくのだと思います。
それは、徐々に、ではなく突然、加速して訪れ、止めることができないものかもしれません。みえないところでコンピュータ、クローンが生まれ、進化し(人々を助けるかどうかはわからない)、世界が変わります。
本書では、上級下級の2つの世界といった論点ですが、実際には1%の悪魔のような生き物が君臨、その下に数%のエリートがいて、あとは奴隷、なんてことはよく知られるところです。その論点が本書にはありません。
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131頁
なぜそのようになるかはとてもシンプルで、「他社の自由を認めなければ自分の自由もない」からです。これが「自由な社会」の根本原理です。
リベラルな社会では、ひとびとは「私が自由に生きているのだから、私の利益を侵さないかぎり、あなたにも同じように自由に生きる権利がある」と考えるようになります。
155頁
中国やインドはかつては世界の最貧国でしたが、わずか数十年でグローバル企業がいくつも誕生し、大きな中間層が形成されました。
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ただし、ここには問題がひとつあります。世界が「全体として」ゆたかになった代償として、先進国の中間層が崩壊したののです。これが私達が体験していることです。
190頁
もしかしたら遠い将来、なんらかのとてつもないイノベーションによって、全世界のすべてのひとに「健康で文化的な生活」を保障するだけのお金を配ることができるようになるかもしれません。
194頁
人工知能が人間の知能を超えるシンギュラリティ(技術的特異点)は2045年とされています。もしかしたが私達の令和の時代のあいだに、臨界状態から相転移に至る「知識社会」の終わりを目にすることになるのかもしれません。 -
言わずもがなタイトルにある「上級国民」と言う単語は、池袋で元高級官僚が起こした事故からきている。
先日読んだ「無理ゲー社会」と被る部分は多い。
現代社会は、上級国民/下級国民、正社員/非正規、モテ/非モテなどの分断社会である。
面白かったところをいくつか。
・団塊の世代を守る
平成は、団塊の世代の雇用を守る30年
バブルが崩壊しようがリーマンショックがあろうが、正社員の割合は変わらなかった。
割を食ったのが若者で、職にあぶれ、非正規雇用に流れていった。
正社員を過剰に保護し、労働市場に流動性がなくなる。
会社は「いったん入ったら出られない」タコツボと化してしまう。
これにより新卒でたまたま入った会社の業績という「運・不運」で人生が左右されてしまう。
平成が終わり、団塊の世代が労働市場から退場したため「働き方改革」が進み始めた。
令和は、団塊の世代の年金を守る20年になる。
年金問題が改革されるのは、団塊の世代がこの世から退場してからとなる。
・アメリカは黒人とプアホワイト(白人なのに貧乏)の対立
アメリカには、アファーマティブアクションと言う制度がある。
たとえば医学部の入学試験では、黒人は白人やアジア人よりも低い点で入学できる。
これはアメリカ国民の周知の事実。
そのため重篤な病気にかかった際に、黒人医師は避けられる。
黒人患者ですら黒人医師を避けるのだとか。
実力で医師になった黒人は災厄以外のなにものでもない。
そして、プアホワイトは自分たちも貧乏だと言うのに、白人であるがため一切優遇されない。
ここに対立があるのだとか。日本にも似た構図がある。
・ベーシックインカムが破綻する理由
世界には年収8万円で生活できる国もある。
そんななかで、日本がベーシックインカムを導入し、「日本人」であれば無条件に月額20万円が支給されるとする。
現在の日本の法律では、日本人から生まれた子供は無条件で「日本人」として認められる。
日本男性が海外で婚姻し、子どもができた場合、大使館・領事館に提出するだけで子どもは日本国籍がもらえる。
アフリカなどの新興国で、女性は生涯に10人前後の子どもを産む。
そんな女性が日本人男性と結婚して、子どもを10人産めば、年収2400万円になる。
そうなれば男は海外で子どもだけ作り、楽して暮らそうとするだろう。
こうした事態を避けるには「日本人」を厳密に定義する必要がある。
しかしこの考えは「優生学」そのもので、世界から人種差別国家とみなされてしまう。 -
現代が知能差によって分断され、上級と下級に二極化していると主張する一冊。近代史の流れやグローバルな状況など、知っていると役に立ちそうなことが随所に書かれています。
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PART1 下級国民の誕生
平成の30年間で日本はどんどん貧乏に
日本のサラリーマンは世界一会社が嫌い
平成の労働市場は団塊の世代の雇用を守り、若者の雇用を破壊してきた
働き方改革は団塊の世代が引退したから進んだ
PART2 モテと非モテの分断
現代社会は学歴によって分断
女性の方が幸福度が強い
男性の方が不安定性が大きい
男がモテる要素は金と権力、女は若さ
PART3 世界を揺るがす上級/下級の分断
農業革命が人口爆発、産業革命が豊かさの爆発
前期近代は領土を求めて争いが行われた
戦後は経済成長が争いのテーマ
後期近代は自分の人生を自由に選択可能になった
知識社会化・リベラル化・グローバル化
リベラル化=自己責任
市場が大きくなると格差が広がる