Third Way (サードウェイ) 第3の道のつくり方 (ハフポストブックス) [Kindle]

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  • ディスカヴァー・トゥエンティワン
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感想・レビュー・書評

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    ・社会性とビジネスのサードウェイ
    「途上国から世界に通じるブランドを作る」というビジョンを持っている。
    ビジョンは大きい方が良い。その方が長続きしてライフワークになり得るとのこと。
    利益を上げながら社会的ミッションを達成することをサードウェイとしている。
    社会起業家と言われることに本人はしっくりきていないそう。なぜなら本当に社会を変えるのは経済力だから。

    ・デザイナーと経営者のサードウェイ
    最近よく言われるデザイン思考は経営にも役立つ。
    著者の考えるデザイン思考は
    ・非言語、非数値に事柄に価値を認識する
    ・人モノ金すべての要素の調和をデザインすること

    デザイナーはお客様に物を届けるまでが仕事で、届かなければゴミを作っているのと変わらない、という結果への強いこだわり。
    VUCAの時代、プロダクトイン、プロダクトアウトのサードウェイもあり得る。

    ・個人と組織のサードウェイ
    家族的な組織を目指している。
    会社を「ハウス」と名づけて帰る場所にもしたい。
    自宅で働くフリーランスの職人を集めて工房を作ることで、職人同士が刺激をうけて成長できる場所をつくった。

    ・大量生産と手仕事のサードウェイ
    オペレーションに関わる部分は大量生産のノウハウを用いて、効率的に手仕事の美しい製品をつくる。
    ライン生産ではなく、月に1万個のバッグ生産を達成している。

  • 二項対立でも妥協でもない、第3の道を行く話。
    著者のバイタリティに頭が下がる。

    マザーハウスの公式サイトを見に行ったら、使いやすそうな素敵なバッグが沢山あった。
    百貨店で勝負できるクオリティの商品を作れるようにしたのが凄い。

    「0を1にする人」「1を10にする人」「10を100にする人」のバランスで会社の色が決まる、という話が面白かった。私はどのタイプやろう。

    言葉や文字だけが伝える手段じゃない、というのは目から鱗が落ちた。口下手でも伝える方法はある。

    私も社会貢献に繋がる夢を持っているので、実現するために、著者の体験を参考にさせてもらおう。

  • マザーハウスはもちろん知っていて、昔読んだ裸でもいきるは衝撃的だったので、読んでみた。

    サードウェイというのは著者なりにいえば、二択や極端な択をどちらかでなく、疑いつつ、第三の選択肢を出していくまたはその軸上にないものを作り上げる、というものといっていい。

    それはものすごく分かるのだけど、半分くらい読んで、本書自体が「ビジネス書でも」「小説でも」ないというところのサードウェイという感じだ。それらも記してある。例えば、著者の自伝的なストーリーは小説的、ところどころにある太字と章ごとのまとめはビジネス書的な印象をうける。

    それは良いのだが、サードウェイというところで言われたやり方や試みはなかなか真似ぶのが難しいと感じてしまった。

    マザーハウスや著者の生き方は嫌いではないし応援はしているので、なんというか考えかたのアウトプットとは別かなというところで着地。

  • 発展途上国の劣悪な労働環境を起業し商品をつくり改善する。
    そういうものはスモールビジネスで、信念に共感できる人が購入したり、逆に大企業の金儲けにはならないが良い起業アピールや社会的な責任のために行うものだと思っていた。
    だから、「これを買うことで途上国の経済的な支援につながります」という商品を、そんな理念を知らず、商品自体の魅力のみで購入し、購入した後でメルマガなどにより知る人が7割、ということには驚いた。
    思想や同調により「多少高くても購入してあげよう」ではなく、他の一般的な資本主義によって生み出された商品と競争し勝てる魅力ある商品を生み出している、ということなんだな……これが社会貢献と資本主義の両立なのか。
    対立ではなく両立する第三の道を考えるとはこういうことなのか。
    それは、資本主義や社会貢献のどちらかに偏らない。
    つまり、資本主義の世界の戦い方……売り場のつくり、マーケティング、魅力ある商品をつくりつつ、途上国の労働者の環境改善と両方ともに深く考え学ばなければならない。
    つまり倍は考えて動かなければならないだろう。難しい道だと思う。それを成している著者を尊敬する。

  • 「出会えるまで出会い続ける人に、最高の出会いは降ってくる」

    新しく取引する人たちについて
    「彼らにとっても、今までの延長線上ではない〝新しい挑戦〟。その伴走者に立候補することがすごく大事。」

    「小分けしたゴールは自分次第でいくつでも配置できる。 最終ゴールまでの道のりが長すぎて息切れしそうなときには、まずは小分けしたゴールの一つ目に向かおう。(略)
    そして、「ビジョンは大きく、抽象的で」」

    「大事なのは「これが自分にとって大切なんだ」という価値観を体現しているような手触り感がある「モノ」を心の中でもち続けていること。」

    「理想と情熱を長続きさせる3つのポイント
    ①ビジョンを大きくすること
    ②定点観測をして、自分の立ち位置をハッキリさせること
    ③プロセスの中で生まれた夢も追加する」

    「言葉で伝えるタイプの経営者じゃないんですって彼は笑っていたが、私はなんだか目からウロコだった。それから、伝える手段はなんでもいいんだって、肩の力が抜けた。大事なのは、伝えようとすることなんだと。文字や数字だけが意思伝達の手段ではない。私は、「とにかくつくって、見せてみる」のがいちばん自分らしいと思っている。」

    「集中して「工房」に集まり続けた後は、職人たちはまた自宅での製作に戻った。そしてまた数カ月後、工房での集中的な仕事が始まる。それを繰り返す。   強みをもった個人が同じ場所に集う。 そしてそこでみんなが挑戦を共有することで、互いに新しい成長が生まれる。」

    「バングラデシュは、大量生産型の工場が多く、国としてもそれが可能なほどの労働人口をもつ、いわゆる大国だ。しかし、世界には人口も少なく、また資源ももっていない小国が多い。   小国では、規模による大量生産型のものづくりが難しく、その国固有の伝統技術や手仕事で、生きていかなければならない」

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著者プロフィール

やまぐち・えりこ1981年埼玉県生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業、バングラデシュBRAC大学院開発学部修士課程修了。大学のインターン時代、ワシントン国際機関で途上国援助の矛盾を感じ、当時アジア最貧国バングラデシュに渡り日本人初の大学院生になる。「必要なのは施しではなく先進国との対等な経済活動」という考えで23歳で起業を決意。「途上国から世界に通用するブランドをつくる」という理念を掲げ、株式会社マザーハウスを設立。バングラデシュ、ネパール、インドネシアの自社工場・工房でジュート(麻)やレザーのバッグ、ストール、ジュエリーなどのデザイン・生産を行っている。2016年現在、日本、台湾、香港などで28店舗を展開している。Young Global Leaders(YGL) 2008選出。ハーバード・ビジネス・スクールクラブ・オブ・ジャパン アントレプレナー・オブ・ザ・イヤー2012受賞。毎日放送「情熱大陸」などに出演。著書に『裸でも生きる 25歳女性起業家の号泣戦記』『裸でも生きる2 Keep walking 私は歩き続ける』『自分思考』(いずれも講談社+α文庫)。

「2016年 『輝ける場所を探して 裸でも生きる3 ダッカからジョグジャ、そしてコロンボへ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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