起業の天才!―江副浩正 8兆円企業リクルートをつくった男 [Kindle]

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  • 東洋経済新報社
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感想・レビュー・書評

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  • 先駆けて何かを行う人はたたかれる?出る杭は打たれる文化は日本の悪しき伝統なのか?当時、「リクルート事件」という言葉だけは記憶にあるが、内容は全く知らず、興味すらなかった。書籍を読んで、江副浩正という人が築き上げてきたものに興味を持ちました。知っている名前のオンパレード、当時の日本人の中心にいたのではないかと思うほど、先見の明がある。冒頭にでてくるが、現在Googleが行っていることをやりたかったのだとしたら、本当に時代の先を見ていた人なのだと思う。リクルートが発信、配信している情報は、多くの日本人が身近に利用しているものがおおい。こう言う思考になるためには何を習得したら良いのか?どのような内容を教育に活用すればよいのか。いろいろな縛りがある世の中で、頭の中の発想は自由人でありたいと思う。

  • 間違いなく今年読んだ本の中では一番面白かったです。江副さんが作ったリクルートという会社がいかに個人それぞれの能力が高く、仕事につたいしても真摯にお客のために働く人が多いんだなと考えさせられました。

    本を読み終わった後は、映画を一本みたくらいの感慨深さがあります。
    ぜひ時間があれば読んでみてほしい本です。

  • 個人的には数あるリクルート本の中でも最高傑作、魂が震える1冊でした。
    江副さんの生い立ちから起業→成長→リクルート事件→バブル崩壊からの借金完済まで。時に同時期の北米の動向や現代の情報産業の趨勢を行き来しつつ、江副さんを取り巻く物語がダイナミックに綴られていて、読み物としてグイグイ読まされる面白さがある。
    数多いた実際の登場人物それぞれの視点や発言も豊富に盛り込まれていて、これは元Rひいきな目線になってしまうが懐かしいビル名や知っている名を見るたびこれが史実であることを実感し驚く。
    この物語のタイムライン上のどこかで生を受けている読者が多いはずなので、自分のリアルな記憶とも結びついて思い耽る場面がきっと多々ある。

    既に見知った話でも本書を通じて初めて知る事実もあり、リクルート事件の引き金となったメディアの業、江副さんが検察に受けた所業の数々に歯噛みする思いを感じることもあれば、ダイエー中内さんのあの有名な発言に改めて目頭を熱くしたり、また本書の終え方・エピローグには心にグッと来るものがあった。

    江副さん縁の地、いつも行きたいと思いながら行けていなかった安比高原にぜひ行こうと思う。

  • カリスマ的起業家が世の中を席巻する昭和の時代に、カリスマ性の欠如をコンプレックスに思っていた人間のノンフィクションは、同世代の他の起業家とは異質な生涯だったように感じた。また、学生起業家であることや能力がないことのコンプレックスという点で私と共通していて、組織開発に役立てられそうであった。
    何度か出てきた「水を得た魚」という言葉が当時のリクルートの組織の強さを物語っている。自らによって機会を生み出せる環境を作れたのが成功の大きな要因だったのではないか。あと余談だが、この国は官僚的組織がいつも邪魔者なんだなとリクルート事件のくだりを読んでいて感じた。

  • リクルート、、、いや江副氏半生のノンフィクション本。
    一冊を通して長いドラマを見ているような気分でした。
    冒頭、Amazon創業者ジェフベゾズと楽天副社長有馬氏の出会いがから始まりどの章も網羅的に臨場的に描かれています。その場にいるような感覚をもたせてもらい、一読者として非常に楽しませてもらいました。日本社会旧来の価値観(カリスマ経営者崇拝)を合理的な思考に変え、世の中の常識を破っていく姿はベンチャー精神ならではだと感じます。
    入念に調べ上げて構成され(大変だったと思います)世の中に贈りだしてくれた事に感謝したいです。

    ・本質をいち早く見抜く察知力
    ・起業家を指南してくれる有能な投資家の必要性
    ・既得権益読売との勝利における組織マネジメント
    ・有能な学生採用を実現する採用術
    ・リクルート事件の全貌
    ・リクルート退任後の半生

    ここには書ききれないですが
    ビジネス、人生でもこの本から学ぶ事は多いですね。

  • カリスマ性ではなく、それぞれがやりたいことを引き出す。

  • 起業の天才 江副浩正 8兆円起業リクルートを作った男
    大西康之 東洋経済新報社

    星新一のショートショート 服を着たゾウ 
    催眠がかかり自分を人だと思い込んだゾウに「あなたがた、自分が人間であると考えたことがおありですか?」と問われるストーリー。
    江副浩正なら、いまの経営者に「自分が経営者であると考えたことがおありですか?」と問うだろう。

    リクルートの創業は、1960年大学新聞広告車の個人商店に始まる。東大新聞の広告に企業就職情報を掲載したことをきっかけに収入を得てきたが、その仕事がうまくいきすぎて、東大以外の新聞にも情報を載せることにした。その後、就職情報だけに限った本を配るというアイデアを実現させ、拡大を進めた。

    拡大の過程で“トヨタ”を顧客にしたかった。能力が高いと信頼していた部下を名古屋に派遣。「トヨタ課」をつくる提案を受け入れ、名古屋は日本一売上のある支店となった。

    日本株式会社の人事部をテーマに、採用したい人と採用されたい人に情報をつないだ。その過程で、各社の経営情報を得て、自社拡大につなげた。その過程で、“情報を売り物”にすることに、いち早く気づいていた。

    江副さんの組織の作り方
    ・自分よりできる人をたくさん集めて働いてもらう
    ・その人が思っていること(言わせたこと)の責任者にさせる
    君はどうしたい?と問いながら、やる気とアイデアを出す天才
    ・ちゃんとした組織図はなく、必要なタイミングで、責任者が都度チームをつくり仕事を進める

    外飯・外酒の推奨
     若手社員を顧客に育ててもらうため、夜の接待のために使えるお金をたくさん準備した

    IHIからNTT初代社長になった真堂さん
    NTTは分離して、通信の低コスト化を進めないといけないという考え方
    常に顧客が欲しているものはなにか?という観点から大局を見ている
    IHIで船を大富豪に売るため話をして、「ヨットを作ってよ」と言われたときに、「興味ありませんね。私は経済発展に寄与する船を建造することを天職と考えている。金持ちの遊び道具はごめんです。」と言った。ビジョンや思いを持って働いている人がすごい。

    新しいことを提案するとリスクが大きい、前例がないという後ろ向きな反応があり、俺は聞いてないとごねる中間管理職がいた。ところがリクルートでは、いったいなんのサービスと言いながら、全員がものすごいスピードで未知の領域に向かって疾走する。すごい。

    リクルートは、当時すでに、ティール組織だった。

  • 知らない内容も多く面白かった。あらためて凄い人だと感じると共に、晩年がかわいそうに思えた。

  • リクルート事件、概要知らなかったが理解できた。
    未公開株を周りに配るのは当時常識であったが、それをインサイダーとされ逮捕されたと。もしかしたら潰されたのかもしれないな。

    にしても新規部署のISIZEは人材の宝庫だな。人材は集積する。

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    ・後悔最小化のフレームワークbyベゾス
    ・君はどうしたい?→これもあるよね、の誘導、そこから君がやってよ
    ・アワードで表彰し、テクを共有させる。
    ・限定された市場で40%を取れ。
    ・計画経済は社会主義。利益2割など

    運命のタイミングで世界は変わる。

  • 虚業と言われれば、私も虚業で糊口を凌いている。自分がものづくりをしていないからこそ思うのかもしれないが、日本のものづくりは素晴らしい。

    ただ、ものづくりでは儲けられない時代になっている。現代はこの本で虚業と呼ばれた情報を扱う企業にお金も人も集まる時代になっている。

    日本のものづくりは素晴らしい、ただ、それだけにその成功体験を忘れられず、国自体が儲けられない体質になっているのではないだろうか。

    著者はリクルート事件こそが日本がものづくりから脱却できなかった原因だと書いていたが、個人的にはリクルート事件は、日本がものづくりという成功体験を手放せず、新しいものを受けるのに時間がかかることの証左なんじゃないかと思っている。

    本のタイトルになっている通り、江副浩正氏は天才だろう。ただ、だからと言って素晴らしい人間であるとは言えないのが面白いところではある。リクルート事件についてはややこしいので置いておくとしても、プラットフォーマーとしての最低限守るべき倫理規範を持っていなかったのは間違いない。不幸にも学ぶべき先達がいなかったというのは理解できるが、だからと言ってやれることと、やっていいことの区別もつかないのは頂けない。京セラの稲盛氏が第二電電の創立メンバーから江副氏を外したというのもうなづける。

    「変容」と書かれていたが、本の後半江副氏は人が変わったようになっていく、権力も才能も手に余るものを持ってしまうと不幸になるというのはこういうことを言うのだろうなと、どちらも持ってない私は思うのだった。

    本はシンプルに面白かった。『破天荒フェニックス』とか『渋谷ではたらく社長の告白』とか、『ぷしゅ よなよなエールがお世話になります』とかも面白く感じたし、おじさんだから基本的に企業の本が好きなんだろうな。まぁ、私はそれほど仕事に熱くなってはいないのだけれど。

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著者プロフィール

大西 康之(オオニシ ヤスユキ)
ジャーナリスト
1965年生まれ。愛知県出身。1988年早稲田大学法学部卒業、日本経済新聞社入社。欧州総局(ロンドン)、日本経済新聞編集委員、日経ビジネス編集委員などを経て2016年4月に独立。著書に『稲盛和夫 最後の闘い JAL再生にかけた経営者人生』『ファースト・ペンギン 楽天・三木谷浩史の挑戦』(以上、日本経済新聞出版)、『三洋電機 井植敏の告白』『会社が消えた日 三洋電機10万人のそれから』(以上、日経BP)、『ロケット・ササキ ジョブズが憧れた伝説のエンジニア・佐々木正』(新潮社)などがある。

「2021年 『起業の天才!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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