どのようにして大坂の陣に至るのか、という経緯をじっくり描いている。
次巻の冒頭から真田信繁などが大坂から声を掛けられてとなるので、それまでの話になる。
この巻では有名な五人衆などは影も形もない。
前哨戦も前哨戦なので話は静かに進んでいく。家康方の緻密な政治工作や、豊臣方の道理に依った若干現実離れした考え方など、互いのスタンスの違いがよく描かれている。
派手な動きや人物が出ないので、小幡官兵衛が実質主人公として物語らしく動き、家康サイドと豊臣サイドの思惑の間を行き来する。
この官兵衛、どことなく国盗り物語の道三とキャラが被っている(笑)本人の才覚と大胆さと女を使って、情報収集・工作という役割。
有名所の話が見たいと思うのなら中巻からでいいかもしれない。
が、大きな山場などは無いながらも着実に戦に至るまでの空気を感じ取ることが出来るので、余裕があるならば手に取っていいと思う。
有名所の登場を巻跨ぎにしない辺り親切だし、上巻は一貫してそういう役割の巻になっている。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2017年8月22日
- 読了日 : 2017年8月10日
- 本棚登録日 : 2017年1月4日
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