モンスター (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎 (2012年4月9日発売)
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醜さゆえに虐げられ、故郷を出て行った『和子』が、金や男を得る手段としてではなく、美しくなることを目的として、金を得て、整形を繰り返していく。美しくなる自分に喜びを感じ、美しくなるにつれて強くなる周囲の嫉妬と羨望をも喜びと変えて。
そして、自分の中にある英介への恋のため、『未帆』として故郷に戻る。かつて、醜いことで『和子』を蔑んでいた人々が、『未帆』の美しさに吸い寄せられ、称賛する。『未帆』はその人々に復讐していく。
ついには、その美しさで英介をも虜にしてしまう。幸せの絶頂にあるはずの『未帆』の中で『和子』が動き出す。『和子』として愛されていないと。

今の時代では美しさの解釈は少し変わってきているよなぁとは思いつつ、人々の根底にある美しさに対する憧れや嫉妬、光背効果などは変わらないように感じました。同じように醜さに対する嫌悪感や嘲笑、劣等感も。
過去や環境のせいで、美しさに取り憑かれざるを得ない和子に悲しさと共感を感じました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 図書館
感想投稿日 : 2023年10月31日
読了日 : 2023年10月31日
本棚登録日 : 2023年10月3日

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