600ページという分量だけ見れば長編に分類されるような代物だが様々な質問に真摯に、時にコミカルに返答する筆者の姿勢と短い回答分にすら見え隠れする文体の美しさから一気に読み切ってしまった。悩みの深刻さに限らず、至る所に人生の真理って隠れているんだなと実感。人生の警句は軽妙なユーモアと共に語られてこそ、染み渡る。
以下に何個か好きな言葉を書き残しておきたい。
「もしあなたのなかに空洞があるのならその空洞を出来るだけそのままに保存しておくというのも、大事なことではないかと思います」
「僕は基本的に人生とはただの容れ物だと思っています。(中略)だから容れ物とは何か?みたいなことを考え込むよりはそこに何を入れるかということを考えて行った方がいいかと思います。」
「規則正しさがすべめをうまく平準化していってくれます。」
「いちばんの問題は、愛よりは憎悪の方が、理性よりは怒りの方が、簡便に言語化できることです。あんな奴はカスだ、アホだ、無価値だ、非国民だと罵倒する方があの人はとても立派な人ですと説明するよりは多くの場合インスタントな説得力を持ちます。」
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2021年1月19日
- 読了日 : 2021年1月19日
- 本棚登録日 : 2021年1月19日
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