項羽と劉邦(上) (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (1984年9月27日発売)
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本棚登録 : 4266
感想 : 266
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実は初の司馬遼太郎。
司馬遼太郎は虚構をいかにも史実のように描くと聞いたことがあったのですが、たしかにその言葉に納得できました。
書き方がドキュメンタリー風な上に、文体が力強い。
作品ごとに虚構の入れ方が違うそうですが、人物の造形などは司馬遼太郎が作ったものだろうと思います。
劉邦がなぜかくも男性にモテるのか?
それは可愛げがあるからである、という解釈が面白い。
項羽の人柄にしても、気品と豪傑さと激しさを持ち合わせた魅力的な人物に仕立てていて、この項羽と劉邦がいかに戦うのか興味が持てました。
横山光輝の漫画を先に読み始めていたので、視点も描き方も違うと感じました。
どちらかとうと、わかりやすい横山光輝版のほうが好きなのですが、一癖ある司馬遼太郎の文が妙に色気があって、内容うんぬんよりも文章と人物造形が興味深くて読み続けられました。
「史記」の面白さ、想像力を刺激する文学性の高さを改めて感じます。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2017年9月19日
読了日 : 2017年9月19日
本棚登録日 : 2017年9月14日

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