自分の中に毒を持て―あなたは“常識人間"を捨てられるか (青春文庫) (青春文庫 お- 1)

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  • 青春出版社 (1993年8月1日発売)
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なにが正しい、間違っているという観点から語られるものではなくて、人間として命をほとばしらせるにはどうすればいいか、ということを語られている。
とても感銘を受けました。

モノに溢れ、物質的にはなに不自由のない暮らしをしている現代人。
でも、何もかもやりつくしてしまったからこそ、本当の意味で「生きる」ことが難しくなってしまった。
安住した暮らしの中では、不安なんてないハズなのに、同じことを繰り返していると、なんだか生きているように感じないこともあります。

きっと、現代に生きる人は誰でも同じような漠然とした不安を抱えているんじゃないでしょうか。

教育システムだって、自立した人間を作ろうというので、社会で適応できる人間を作ろうとしているけれど、結局のところ、子供たちを守ろうと囲って、人が敷いたレールのうちどれでも好きなのを選びなさいという、追体験をさせようとしているだけなんですよね。
創作的な要素がないから、なんだか現実感が薄れてしまう。
ただ、誰かが歩いた道を同じように歩くだけ。

そんな中で、自分を持ちなさいっていうのはとても残酷な事なのかなあと、読みながら教育に携わる者としていろいろ考えました。

現代社会の漠然とした不安に対してとても適切な言葉で語られていて、毎日ほんとうに生きようとして、哲学を持って生きていらっしゃったんだなあと思いました。

励まされる言葉もいっぱいありましたし。
弱ければ弱いで、それを突っ切ってみることで道が開けるんだと。
マイナス面はむしろ武器になるんだと、とても強い気持ちになれました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2012年9月18日
読了日 : 2012年9月18日
本棚登録日 : 2012年9月18日

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コメント 1件

atuki029さんのコメント
2012/10/03

自分を貫く生き方をされている方は少なからず、自分の哲学をお持ちですね。

生きることの意味を考えてしまう現代で、
生きることそれ自体が大切だと気付かされました。

自分のうちに秘めているものを何らかの形で表現する。
それが周りに評価されるかどうかが問題ではなく、表現することそのことが大事であると。

岡本太郎さんのようには生きられないとは思いますが、自己表現の大切さを学びました。

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